分析ポータル作成とETLツールの実践活用法SQL Server 2005で学ぶデータ分析(5)(1/3 ページ)

ビジネスインテリジェンス(BI)の概要を解説した記事が多くのメディアで取り上げられるようになり、その基本的な理解は深まったと思われる。このような現状を踏まえ、本連載ではさらに一歩踏み込んだ内容として、データ分析の手法や注意点に焦点を絞った実践的な解説を展開する。(編集部)

» 2007年04月05日 00時00分 公開
[江口陽子, 内山英樹日本ユニシス株式会社]

 本連載では第1、2回で「データ分析」の基本的な考え方を解説し、第3、4回ではSQL Server 2005を使って「データ分析」の実践を紹介しました。最終回となる今回は、データ分析の支援機能である「データを見せる」機能(分析ポータル)と「データを作る」機能(ETLツール)について、Business Intelligence Portal Sample Application for Microsoft Office 2003(以下、BIPSA)とSQL Server Integration Services(以下、SSIS)を題材にして説明します(図1)。

図1 ETLツールと分析ポータルの支援範囲 図1 ETLツールと分析ポータルの支援範囲

分析ポータルの目的とメリット

 ポータルではさまざまなシステムへの入り口を一元的に管理することにより、ユーザーに対するサービスの向上を図れます。データ分析においても、会社内のいろいろな部署が作成した分析レポートや定型検索システムなどを1つのポータルサイトからアクセスできるようにすることで、よりデータ分析が行いやすい環境を構築できます。

 BIPSAは、SQL Server Analysis Services(以下、SSAS)やSQL Server Reporting Services(以下、SSRS)などで作成したレポートやピボットテーブルをポータルの画面上に表示する機能を提供します。BIPSAは無償でダウンロードできるため、ソフトウェア要件さえそろえば(表1)、手軽に導入できます。しかし、名前に「Sample Application」とあるとおり、ソースも公開されて、カスタマイズして使用することが前提なので、マイクロソフト社のサポートは受けられません。使用する際は注意してください。

 ただし、SQL ServerのBI機能と連携させて分析ポータルをイメージするには、有効なツールです。

サーバ
OS Windows Server 2003
SharePoint Windows SharePoint Services、または SharePoint Portal Server 2003
クライアント
ブラウザ Internet Explorer 6以降
Office Office 2003およびOffice Web Components
表1 BIPSA導入要件(詳細はマイクロソフトWebサイトを参照)

BIPSAの概要

 BIPSAは以下の4つのWebパーツで構成されています。

  1. BIP Tree
  2. BIP Viewer
  3. BIP Addin
  4. BIP Favorites

 その中でも、BIP ViewerとBIP Treeに特徴があります。BIP Viewerは最大4つのワークパッドで1つのビューを構成します。図2のBIP Viewerはビューを新規作成した状態で、4つのワークパッドが配置されています。

図2 BIPSAのビューの初期画面(画面をクリックすると拡大します) 図2 BIPSAのビューの初期画面(画面をクリックすると拡大します)

 ワークパッドにはピボットテーブルのほかにもデータを直感的に見られるチャートやゲージなど、グラフィカルな表示を可能にするコンポーネントが用意されています(表2、図3)。

 また、BIP Treeはフォルダを設定して階層的にビューを管理する機能です。分析した結果の画面(ビュー)に名前を付けて保存する際に、フォルダで分類して管理できます。

ワークパッド 表示内容
Spreadsheet Excelシートの表示
URL Webサイトの表示
Chart ピボットテーブルやスプレッドシートのデータのグラフ表示
Reports Reporting Servicesのレポートを表示
PivotTable Office Web Componentsのピボットを表示
Gauge しきい値を設定したゲージの表示
表2 BIPSAのワークパッド一覧
図3 BIPSAのワークパッドで分析結果を表示させるビューのイメージ(画面をクリックすると拡大します) 図3 BIPSAのワークパッドで分析結果を表示させるビューのイメージ
(画面をクリックすると拡大します)

分析ポータルのまとめ

 データ分析においては分析手法も重要ですが、分析した結果を情報として共有することも重要です。多くのユーザーで効率よく情報を共有するためには、分析ツールや分析結果をまとめたポ−タルは有効な手段です。

 また、ポータルで表示する情報は表形式の数値だけでなく、チャートやゲージなど直感的に見られる形で表示できることが大切です。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。