2009年6月24日に、オープンソースのIDE(統合開発環境)「Eclipse」の最新版であるEclipse 3.5、コードネーム「Galileo」の正式版がリリースされました。本稿では、その新機能を紹介します。
私事ではありますが、最近、「MR.BRAIN」というTVドラマにはまっています。MR.BRAINは、脳科学者である主人公が脳科学を使って、トリックが仕掛けられた難事件を解決していくという内容ですが、少し前に流行った福山雅治主演の科学者「ガリレオ」が難事件を解決するTVドラマを彷彿とさせる内容で、毎週楽しみにしています。
さてガリレオといえば、Javaの世界ではEclipse 3.5のコードネームGalileoを指します。そのGalileoが6月24日にリリースされました。本稿では、このGalileoの新機能を紹介していきます。
余談ですが、Eclipseのコードネームは、「Callisto」(Eclispe 3.2)、「Europa」(3.3)、「Ganymede」(3.4)と、有名な天文学者であるガリレオが発見した4つの衛星の名前が順番に付けられていました。Eclipse 3.5は当初、ガリレオ4衛星の名前でまだ使っていない「Io」と名付けられる予定でした。しかし、それだと「コンピュータ用語の「I/O」と似ていて紛らわしい」ということで、4衛星の発見者であるGalileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ、1564?1642年)の名からGalileoと命名されました。
以下、Galileoの新機能を見ていきましょう。
3.4からEclipseは“パッケージ”として配布されるようになり、Java EE向け、C/C++向けと用途ごとに同梱するプラグインが変わっています。
3.4からの変更点で一番大きいのは、本バージョンから、このパッケージの種類が増えて、新たに「Pulsar for Mobile Java Developers」「Eclipse IDE for PHP Developers」が加わりました。まずは、追加されたパッケージを紹介します。
Java ME向けのEclipseベースの統合開発環境としては、いままでは「EclipesMe」が提供されていましたが、EclipseMeにおけるEclipseの拡張プラグインは、Eclipse Foundationへコントリビューションされ、MJT(Mobile Tools for the Java Platform)として開発されることになりました。
Pulsarは、MJTを含むEclipseパッケージで、スマートフォンなどの携帯機器向けのJava開発環境です。デフォルトでは、下記のツールキットをサポートしています。
3.4までは、開発言語としてJavaとC/C++をサポートしていましたが、Galileoから新たにPDT(PHP Development Tools)を含むPHPのパッケージが追加されました。Java言語と同様にソースコードのフォーマットやハイライティング、コードアシストをサポートしています。
デバッグ機能としては、プレビューや、デバッグ、PHPスクリプト単独の実行機能があります。PHPのデバッグツールである「Zend Debugger」と連携して、デバッグができます。
Eclipseの本家サイト「Eclipse.org」で配布しているEclipseパッケージは、言語は英語のみのサポートとなります。英語のみのサポートといっても、ファイルの編集などで日本語を利用しても問題はありませんが、メニューなどのメッセージはすべて英語になっています。
そこで、MergeDocプロジェクトで提供されている「Pleiades」を利用すると、3.4以前と同様にEclipseのメッセージを日本語化できます。Pleiadesについての詳細は、MergeDoc Projectのサイトをご覧ください。
次ページからは、Eclipse 3.5の主な変更点を10個紹介していきます。
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