クラウドプラットフォームの代表格であるAmazon EC2(Elastic Compute Cloud、以下、「EC2」)をEclipseから利用するプラグインとして、「AWS(Amazon Web Service) Toolkit for Eclipse」(以下、「AWS Toolkit」)がAmazonから提供されているのをご存じでしょうか(参照:Eclipse中でAmazon EC2向けJava開発が完結)。
AWS Toolkitを利用すると、Eclipse上で作成したWebアプリケーションを簡単にEC2上にデプロイできます。また、これにより複数のWebサーバ(Tomcat)のクラスタを構築できます。本稿では、そんなAWS Toolkitの利用方法を紹介します。
なお本稿では、EC2をある程度ご理解したユーザーを対象としています。EC2が初めての方は下記の記事などをあらかじめ参照すると、本稿をスムーズに読み進めることができると思います。
AWS Toolkitは、EC2をEclipse上から利用するクライアントです。次のような特徴を持ちます。
EC2上の仮想マシンの起動や停止がEclipse上からできるようになります。
また、起動、停止にともなうファイアウォールの設定(セキュリティグループの管理)、SSHの認証鍵の管理、Elastic IP(固定IP)の管理もEclipse上でできます。
EC2のインスタンスはデフォルトでは鍵認証によるSSHの接続しか認めていません。そのため、SSHで接続するための煩雑な鍵設定が必要となります。AWS Toolkitを利用した場合、SSHクライアントとして後ほど紹介しるPuTTYをインストールしておけば、インスタンスに簡単にSSHで接続できます。
EBS(Elastic Block Storage)の作成や削除、仮想マシンへの追加や取り外し、スナップショットの作成ができます(参考:Amazon EC2がS3だけでなく、EBSからも起動可能に)。
Amazonでは、「SimpleDB」と呼ばれるデータベースを提供しています。AWS Toolkitを利用すると、EclipseのDTP(Data Tools Platform)を利用してSimpleDBへアクセスする拡張機能を提供しています。
Eclipse上のWebプロジェクトをEC2上の仮想マシンへデプロイできます。その再に、インスタンス(仮想マシン)の起動やロードバランサなども自動的に設定してくれて、簡単にクラスタを構築できるので、EC2を「Google App Engine」のようなPaaSのように使えます。
AWS Toolkitは、Eclipse 3.4以上で動作します。本稿では、Eclipse 3.5に便利なプラグインを追加し、さらに日本語化を施した「Pleiades All in One 3.5.1.20090930」のJava版を利用しました。
AWS Toolkitを利用するには、EclipseプラグインとPuTTYをインストールしておく必要があります。
Eclipseプラグインのインストールは、AWS Toolkit用のアップデートサイト「http://aws.amazon.com/eclipse/」から、「Amazon EC2 Management」「Amazon SimpleDB Management」「AWS Toolkit for Eclipse Core」をインストールします(SimpleDBを利用しない場合は、Amazon SimpleDB Managementは必要ありません)。
PuTTYは、オリジナルのバージョンでは日本語の利用に不都合があるので、下記のサイトで利用できる日本語対応した「PuTTYごった煮版」を利用しました。
次ページからは、Webプロジェクトへのデプロイ機能を中心にAWS Toolkitを利用してAmazon EC2をPaaSのように利用する方法をご紹介します。
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