2004年、ウイルスは新世紀へ。コンピュータウイルスの歴史をひもとく旅、後編は“攻撃者”の狙いが徐々に変化するさまを追います。
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第12回「プレイバックPart.I:ウイルスのかたち、脅威のかたち」に引き続き、コンピュータウイルスの過去を振り返ろう。Part.IIではいったんその歴史から離れ、コンピュータウイルスの進化、そして道具としてのコンピュータウイルスにフォーカスを当てたいと思う。
自身の複製をあらゆる経路から世界中に、そして自由に広げることができるようになり生命体とも呼べるレベルとなったコンピュータウイルスだが、本当の生物界に食物連鎖があるように、彼らには皆さんがご存じの天敵「ウイルス対策ソフト」が存在する。ウイルスは「ウイルス対策ソフト対策」という進化をしない限り、絶滅の危機にひんしてしまうのである。コンピュータウイルス作成者、またはそれを改造し、広めようとする者もそのことには気付いており、実際に「ウイルス対策ソフト対策」が行われているのである。
その対策の初歩として、彼らはウイルス対策ソフトの基本動作に着目した。ウイルス対策ソフトは、基本的にパターンマッチングという手法を用いて、検査対象のファイルがコンピュータウイルスであるか否かということを判別している。
この手法を逆手に取ると、既知のウイルスパターンにさえ合致しなければ、コンピュータウイルスではない、と判断されるということだ。
そのパターンマッチを回避するために、コンピュータウイルスは以下のような方法で進化を遂げることとなる。
ポリモーフィック(Polymorphic)とは、「多形の、多様な形の、多形態の」といった意味を持つ言葉で、生物学でも用いられる言葉である。
コンピュータウイルスの世界では、自身の一部をランダムな暗号化コードで暗号化することでパターンマッチを回避するものである。当然、暗号化されているので実行される際には、復号コードを用いるのだが、この復号コードがウイークポイントとなる。つまり、復号コードを検出することで、コンピュータウイルスであるということも検出できてしまうのである。
メタモーフィック(Metamorphic)とは、「変形の、変態の、変成の」という意味を持つ言葉で生物学、地学などでも用いられる言葉である。ポリモーフィックと大きく異なるところは、ポリモーフィックが自身の一部に暗号化という部分的な変化を加えるのに対し、メタモーフィックでは、自分自身全体に変化を加えるという手法を取る。
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