□ RIAはWebサイトのように注意を引くためのものではない
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なお、ニールセン博士の定義は「業務システム」でのユーザビリティに該当している。Webサイトでの広告や販促といった場合の心理プロセスである「AIDMA(Attention (注意)、Interest (関心)、Desire (欲求)、Memory (記憶)、Action (行動))」「AISAS(Attention (注意)、Interest (関心)、Search (検索)、Action (行動/購入)、Share (評価共有))」を考慮する画面ではない。
RIAに要求されるのは、Webサイトを閲覧した人が「どこから来て」「どのくらいい続けて」「どうやって抜けていったか」といった解析が必要な画面ではなく、毎日見て操作する「業務画面」である。Attention、つまり注意を引くための画面と「速く確実に」というような業務の画面は機能がまったく異なる。
□ UI=システム
インターネット・システムの大きなメリットは行き渡っているPCを利用できることだが、逆にすべての人にPCでのインターフェイスしか提供できない。だからこそ、UIは非常に重要である。
極論すれば「UIがシステムである」ととらえてもよい。しかし、考えたUIを「ユニバーサルデザインだ」と誇っても、すべての人への同じUIは、すべての人にとってベストなUIにはならない。利用者は身体的な特徴や障害、利用環境での制約など皆異なる属性を持っているからだ。
コラム 「老齢社会となる日本の課題とUI」 |
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どこの官公庁のシステムかはいわないが、施設に備えてあるパソコンの申請画面で、入力項目の横に青字で「全角」「半角」と書かれていた。この用語はそもそもコンピュータでの2バイト文字、1バイト文字といった話でありパソコンに慣れていない人には用語も分からないし、操作も分からない。隣で入力していた方が「どうやって全角に直すんですか?」と係に聞いていた。 RIAで作成する画面はこんなことがあってはいけない。 また、「私はパソコンなんて使えないわ」というお年寄りの方々が、書類申請での待ち行列に長時間立ち続けていた。それより若年の人たちは、座って四苦八苦しながらもパソコンを使っていた。利便性・効率性のあるパソコンが高齢者に使われない。目の悪い方も手の不自由な方もいるが、パソコンのインターフェイスは一律でしかない。 コンピュータシステムによる効率化、データ統合、集約による付加価値サービスは重要だ。しかしコンピュータ操作を要求することが絶対に必要なのか、ほかに方法はないのか。ますます老齢社会となる日本の課題を垣間見た。
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モバイルでのRIAとUI
次に、デスクトップPCとモバイルでのUIを比べてみたいが、ノートPCやネットブック/UMPCはデスクトップに近いため除外する。「実用性」としては、通信できない場合のローカルファイルに対する課題などあるが、これは後述することとして、まず画面でのインターフェイスに狭めて考えてみたい。
□ モバイルで動くRIA
RIAとしてモバイル(ノートPC、ネットブック/UMPCを除く)で動作する製品はまだ少ない。RIAC参加企業の技術としては、SilverlightやBiz/Browser Mobile、それ以外ではQtなどがある。また言語としては、2月に発表されたJavaFX Mobileもある。
なお、RIAという範疇ではないが、モバイルにリッチなUIをもたらすものとして、Flash Light(さらに、PCのFlashを、携帯電話を含む液晶を持つすべての端末で動かそうという活動「OSP(Open Screen Project)」もある)やAndroid、単独として携帯電話ではBREW、そしてiPhoneがある。
コラム 「Androidがもたらすオープン性は日本をどう変える?」 |
グーグルが発表して以来、Androidには期待を持った評論が非常に多い。グーグルのAndroidでの狙いは、モバイル端末のみでなく家電(家庭用電気製品)やカーナビゲーションなど、ネットワーク接続が可能となる端末をすべて「戦略ターゲット」とすることであり、それらをインターネットに近づけるというものだ。グーグルの目標である「世界中の情報を整理する」ことの延長線上にある。 Androidはソースを開示した「オープン・プラットフォーム」であり、動作環境としてではなく開発言語としてJavaを用いている。Androidの基盤はLinuxだが、グーグルがLiMoファウンデーションに参加せず、いまのやり方を選択したのも「主体的な製品化」が必要だからだ。同じオープン性でもここに差がある。 一方で、「日本の携帯端末はガラパゴス」といわれるが、音声通話や電子メール、インターネット、デジタルカメラ、ワンセグ放送受信、Felica端末、音楽プレーヤと、これはまさに複合家電で、世界の中で一番進化している端末である。 すでにAndroid Marketが開始され、コンテンツはここで課金される。App StoreやOvi Store、Windows Marketplaceなどのマーケット・プレイスも課金方法はそれぞれ異なるところがあるにせよ、既存携帯事業者のビジネス構造を破壊する可能性がある。 「オープン」という世界は危うい側面もある。各企業が公共性なども踏まえて、責任ある行動を取ることが重要だ。またグーグルが中心である以上、「品質の確保」という命題においてグーグルの責任は各企業よりも重くなってくる。今年、Gmailの大規模障害やGoogle Docsの障害が発生したが、Androidがモバイルやそのほかのプラットフォームとなるならば、被害はもっと大きなものとなるだろう。 そして、オープン環境がモバイル以外の家電などいろいろな端末に移植された場合、そのビジネスに精通した企業が、それぞれの機器や用途、拡張性の部分で活躍できる場ともなり、それは疎結合で実現されることになるのだろう。 世界の流れはオープンに向かってそれも速いスピードで進むかもしれない。日本の通信キャリア、端末メーカーがAndroidに対してどういった対応を取ってゆくのかは非常に興味深い。 |
□ モバイルアプリのUIコントロール
携帯電話やスマートフォン、HTなどモバイルのアプリケーションのUIを考えるうえでまず思い付くのが、「携帯性重視であるから画面が小さい」ということだ。画面の表現能力は、おのずとデスクトップPCにはるかに劣る。UIはデスクトップPCと同様に考えてはいけないのだ。
同じUI画面をモバイルでも利用するなどはあり得ない。文字もユーザープロファイルに考慮した大きさが必要である。また、ダイアログやポップアップを出すなど、余計な操作を強いるのは極力やめた方がよい。
情報閲覧においては、デスクトップPCではExcelのような表組みグリッドが多用されるが、モバイルでの縦スクロールもできれば避けたい。グループでの畳み込みやボタンでのページスクロールとするなどを検討したい。
□ モバイルRIAでもユーザー分析からUIは決まる
また、端末での操作性として、フルキーボードや縦横切り替え、タッチスクリーンなどの搭載有無による個体差があるが、これらの選択はユーザープロファイルから決定するものだろう。片手操作がメインの業務ならば、タッチスクリーンは無用なこともあるし、入力操作が少ないならフルキーボードは必要ない。
iPhoneに代表されるスライドインターフェイスを持つ機種があるが、こういったインターフェイスもすべてユーザープロファイルで決めるものである。
ISO13407においても、最初にやるべきことは「対象ユーザーの特定」であり、アウトプットは「対象ユーザープロファイル」である。その次に「対象ユーザーの業務の特定」「タスク分析」をする。モバイルRIAにおいても、やはりユーザー分析からUIは決まるといっていいだろう。
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INDEX | ||
特集:新時代の業務用モバイルRIAを考える(後篇) UIとユーザビリティから考える小さい画面でのRIA |
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Page1 モバイル端末選定には「バッテリー」も重要 いまさら聞けないUI、そしてRIAとの関係 |
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Page2 コラム 「老齢社会となる日本の課題とUI」 モバイルでのRIAとUI コラム 「Androidがもたらすオープン性は日本をどう変える?」 |
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Page3 業務用モバイルRIA開発の“課題”とは? モバイルは多種だからこそ人間に合わせた進化が可能 |
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