「OSI参照モデル(OSI reference model)」とは、OSIのプロトコルを定めるにあたって、さまざまなネットワークやプロトコルを研究し、OSIのベースとするために作成された基本的なモデルであり、ネットワーク システムがどのような構成要素によって成り立つのか、各構成要素の間のインターフェイスをどのようにするのかなどを表わしている。そのためOSI参照モデルは、ネットワークやプロトコルの概念、機能などの理解に役立ち、さまざまなプロトコルを識別するための基準にもなるため、広く利用されている。
OSI参照モデルは、パケット交換ネットワークを前提としたモデルで、ネットワークシステムの概念の複雑さを減らすために、7つの層に分けられている。
階層 | 名称 | 機能 |
---|---|---|
第7層 | アプリケーション層 | アプリケーション間でのデータのやり取りを規定する |
第6層 | プレゼンテーション層 | データの表現方法を規定する |
第5層 | セッション層 | セッションの手順を規定する |
第4層 | トランスポート層 | 各コンピュータ上で実行されている、2つのアプリケーション間での通信方法を規定する |
第3層 | ネットワーク層 | ネットワーク上の2つのコンピュータ間での通信方法を規定する |
第2層 | データリンク層 | 1つのネットワーク媒体に接続された複数のコンピュータの間でデータを伝送する方法を規定する |
第1層 | 物理層 | コンピュータのデータとネットワーク媒体上を流れる電気的な信号を変換する方法を規定する |
OSI参照モデル |
このOSI参照モデルに従って、実際のWebブラウザとWebサーバ アプリケーション間でのやりとりを当てはめると、次のようになる。ここでは、Internet ExplorerなどのWebブラウザで、Windows 2000 Insiderのトップページを表示する例を示している。
OSI参照モデルに基づく通信の例
OSI参照モデルは7つの層からなっていて、ネットワークシステムの概念や機能の枠組みを与えている。実際の通信がこのモデルにどのように対応するか、Internet ExplorerなどのWebブラウザで、Windows 2000 Insiderのトップページを表示する例を示す。
(1)Webブラウザは、HTTPというアプリケーション層、プレゼンテーション層、セッション層にまたがるプロトコルを利用して、「www.atmarkit.co.jp」のWebサーバに対して「/fwin2k/index.html」を要求する。
(2)「GET /fwin2k/index.html」というコマンドをWebサーバに送る。
(3)WebブラウザとWebサーバの間の通信(要求の送信や応答の受信など)は、トランスポート層が提供する仮想的な回線を利用して行われる。
(4)仮想的な回線からWebサーバに要求が届くと、Webサーバはそれを処理し、その応答として「/fwin2k/index.html」の内容を仮想的な回線を使って送り返す。
(5)仮想的な回線からWebブラウザに応答が届き、Webブラウザはそれを表示する。
(6)ユーザのコンピュータとwww.atmarkit.co.jpの間の実際の通信は、ネットワーク層が提供する機能によって実現されている。2つのコンピュータは別々のネットワークに属し、間にいくつものネットワークが介しているが、途中にある各ルータが経路を決定し、データを順次転送することで、2台のコンピュータ間での通信を実現している。
(7)コンピュータやルータといった各機器間の通信は、実際には、物理層とデータリンク層が提供する機能によって実現されている。
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