インストールが完了したら、次は新しいゲスト仮想マシンを作成してみよう。デスクトップ上に作成された「Oracle VM VirtualBox」アイコンをダブルクリックするとVirtualBoxの起動画面が表示される。
ツール・バー上の[新規]をクリックすると仮想マシンの作成ウィザードが起動するので、これを使って仮想マシンを作成する。なお、デフォルトでは仮想マシンのデータ・ファイルはユーザー・フォルダの中に作成されるが、管理やパフォーマンスのことを考えると、独立した高速なドライブ上に確保する方がよいだろう。そのためには、[ファイル]メニューの[環境設定]で設定ダイアログを表示させ、仮想マシンや仮想ディスクの保存フォルダを変更しておく。
それでは、以下、実際に仮想マシンを作成してみよう。以下では、Windows 7上のVirtualBoxで、Windows XP Professional SP3の仮想マシンを作成している。仮想マシンを作成するには、VirtualBoxの管理画面にある[新規]ボタンをクリックする。すると次のようなウィザード画面が起動する。
ウィザードの最初の画面ではインストールするゲストOSの種類(OS名、エディション、bit数など)を指定する。仮想マシンではエミュレーションで(OSカーネルの)プログラム・コードを実行しているため、ゲストOSのコードによっては正確にエミュレートできなかったり(例えば、高速化のためにコード書き換えを行っているなど)、パフォーマンスが著しく低下することがある(ユーザー・コード権限のコードはそのまま実行すればよいので、たいていの場合、特別な処理は不要である)。そのような状況に対応するため、仮想化ソフトウェアでは特定のゲストOSごとに固有な命令シーケンスなどを検出して最適化したり、正しく処理できるように個別に対応している(このような細かい部分の作りが仮想マシンの性能を左右する)。このためのガイドとなるのが、インストールするゲストOSのタイプの指定である。インストールするOSに応じて、適切なものを選ぶこと。
次の画面では仮想マシンに割り当てるメモリ・サイズを指定する。選択したOSに応じてデフォルトで例えば192Mbytes(Windows XPの場合)などに設定されるが、これは英語版OSにおける推奨値のようである。日本語版Windowsを利用したり、アプリケーションなどを後でインストールすることを考えると、提示されているサイズの倍ぐらいにしておくのがよいだろう。なお、仮想マシンの実行時ごとにメモリ・サイズが変わると再アクティベーションが必要になったりする可能性がある。ホストOSが64bit版Windows でメモリが十分ある場合は、常に1Gbytesずつ割り当てるといった運用の方が簡単でよいかもしれない。
ところでVMware PlayerやVMware Workstationなどと違い、VirtualBoxでは仮想マシンに対して、実メモリ・サイズ以下しか割り当てることができない。また、同時に複数の仮想マシンを利用する場合はそれらの合計が必要メモリ・サイズになるので、ホストOSで利用する分なども考慮して割り当てるメモリ・サイズを決めていただきたい(このあたりはWindows Virtual PCなどと同じである)。
次の画面では、仮想マシンに割り当てる仮想ディスクを作成する。VirtualBoxでは.VDIという拡張子を持つ仮想ディスク・ファイルを利用しているが、実際にはこれ以外に、VMwareの.VMDKやWindows Virtual PCの.VHDという形式の仮想ディスク・ファイルも利用できる。
上の画面で[次へ]をクリックすると、今度は「新規仮想ディスクの作成ウィザード」画面が表示される(先のものとは、ダイアログ左側のビットマップ絵柄が異なる)。以下、そのウィザードの画面を追ってみる。
仮想ディスクの作成ウィザードでは最初に仮想ディスクのタイプを選択する。Virtual PCなどでいえば、容量固定と容量可変の2種類からの選択となる。パフォーマンスを考えると固定サイズの方がよいが、扱いやすさ、管理のしやすさでいえば、可変サイズの方でよいだろう。
次の画面ではファイル名とサイズを指定する。サイズは4Mbytes〜2Tbytes(2048Gbytes)まで指定できる。適切なものを選んで次へ進む。
以上で仮想ディスクの作成ウィザードは終わりである。[完了]をクリックすると実際に仮想ディスク・ファイル(.VDIファイル)が作成され、さらに仮想ディスクにマウントされる。なおVirtualBoxでは、仮想マシンで利用する仮想ディスクや仮想CD/DVD-ROMイメージ・ファイル、仮想フロッピー・ディスク・ファイルなどはすべて、あらかじめ「仮想メディアマネージャ」という、メディアを一元管理するツールに登録してから使うようになっている(画面は後述)。このウィザードを終了すると、作成した仮想ディスク・ファイルは自動的に仮想メディア・マネージャに登録されるので、ユーザーがいちいち手動で登録する必要はない。この管理ツールについては後編で詳しく解説する。
以上で、仮想ディスクの作成は終了である。上の画面で[完了]をクリックすると、元の仮想マシンの作成ウィザード画面(次画面参照)へ戻ってくるので、内容を確認後、[完了]をクリックして作業を終了させる。
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