Windows 2000のインストールCD-ROMからブートすると、そこから速やかにWindows 2000のインストールを開始できる。それにはBIOSセットアップでCD-ROMブートを設定する必要がある。その手順は?
対象ソフトウェア:PCのBIOSセットアップ
Windows 2000のインストールCD-ROMには、起動用のイメージも収録されており、CD-ROMブートをサポートしているPCならば、これをCD-ROMドライブに挿入してシステムを起動することで、CD-ROMからインストーラを起動することができる。
CD-ROMからシステムを起動するにはいくつかの方法があるが、現在のPCで一般的なのは、IBM社とBIOSベンダのPhoenix社が共同開発し、1995年に仕様を公開した「El Torito(エル トリート)」と呼ばれるフォーマットである(「“El Torito” Bootable CD-ROM Format Specification Version 1.0」仕様書)。El Toritoを一言でいえば、CD-ROMブートにBIOSレベルで対応するための仕様である。通常はハードディスクなどに記録されている起動用イメージをCD-ROMに記録しておき、あたかもハードディスクやフロッピードライブからシステムを起動するように、CD-ROMから起動用のイメージをロードして、実行することができるようにする。
ここ数年の間に販売された新しいPCのBIOSでは、ほとんどがこのEl Torito対応のCD-ROMブート機能を持っており、Windows 2000のインストール用CD-ROMからインストーラを起動することが可能である。しかし、仕様公開が1995年と比較的新しいことから、古いPCでは、BIOSがEl Toritoに対応しておらず、CD-ROMブートが不可能な場合もある。このような場合で、Windows 2000を新規インストールするには、Windows 2000のインストール用CD-ROMから起動用のフロッピーディスクを作成し、このフロッピーディスクでシステムを起動して、インストール作業を行う必要がある(TIPS「Windows 2000インストール用起動ディスクを作成するには」参照)。
前の説明からも分かるとおり、CD-ROMブート機能はBIOSによって実現されており、このための設定もBIOSセットアップで行う。PCによっては、工場出荷時の状態から、CD-ROMブートが有効化されているものがあるが、この設定内容はPCベンダ、マザーボードベンダ次第で、ベンダによっては、無用なトラブルを避けるために、CD-ROMブートの機能は備えながらも、デフォルトではこれが無効(CD-ROMブートしない)になっている場合もある。
BIOSベンダによって設定方法などはまちまちだが、基本的に、CD-ROMブートがサポートされているBIOSでは、起動ドライブの選択(起動ドライブの優先順位の選択)を行うところで、ハードディスクやフロッピードライブに加え、CD-ROMが設定項目として現われる。設定方法も、ユーザーの使い方によって変化するだろうが、通常は、OSのインストール時など必要なときだけCD-ROMブートを有効化し、それ以外では無効にしておく方法、または起動ドライブの検索順を「フロッピードライブ→CD-ROM→ハードディスク」と設定しておき、ドライブにメディアを挿入して起動するか、メディアを挿入しないで起動するかを切り替えることで、起動ドライブを制御する方法のいずれかを使うことになるだろう。
最近ではIDEインターフェイスを使うCD-ROMドライブが広く普及しているが、システムによってはSCSIインターフェイスのCD-ROMドライブを搭載しているかもしれない。この場合もCD-ROMブートの設定はBIOSで行うのだが、システムBIOS(マザーボード上に実装されたBIOS)ではなく、SCSIホストアダプタ上のBIOSでの設定になるので注意が必要である。以下では、IDEインターフェイスを持つCD-ROMの場合(Award BIOS)と、SCSIインターフェイスを持つCD-ROMの場合(SCSIホストアダプタはアダプテック AHA-2940U2W)の設定例をそれぞれ示すことにしよう。
IDEインターフェイスのCD-ROMドライブを使用しているなら、CD-ROMブートの設定はシステムBIOSで行う。機種によってもさまざまだが、システムの起動時に特定のキーを押すことで、BIOSセットアップ画面に移ることができる。今回例として取りあげるAward BIOSでは、起動時にDelキーを押すことで、BIOSセットアップ画面に移行できるようになっていた。
上の画面が表示されたときにDelキーを押すと、次のようなBIOSセットアップ画面が現われる。
CD-ROMブートの設定項目がどこにあるかは、BIOSベンダによってまちまちだし、BIOSバージョンによっても変化する場合があるので、BIOSセットアップのマニュアルがある場合にはそれを参照するか、マニュアルがなければ自分で探す必要がある。今回の例では、左上から2番目の「Advanced BIOS Features」の中に設定項目があった。キーボードでこの項目を反転表示させ、Enterキーを押す。
[A]
今回の例として取りあげたAward BIOSでは、このように起動ドライブの優先順位を「First Boot device」、「Second Boot device」、「Third Boot device」の項目に順に指定するようになっていた。A:はフロッピー、C:はハードディスクである。ここで、第2項目にCD-ROMを指定するために、「Second Boot device」をカーソル移動キーで選択して、Enterキーを押す。
[B]
するとこのようにドライブ一覧が表示されるので、ここで「CDROM」を選択する。今回は無関係だが、このBIOSでは、LSやZipドライブも起動ドライブとして指定できることが分かる。
設定が完了したら、設定内容をBIOSに保存し、起動したいCD-ROMをドライブに挿入してから、システムを再起動する。以上で、CD-ROMドライブからシステムが起動するようになるはずだ。
SCSIインターフェイスのCD-ROMドライブを使用している場合には、システムBIOSではなく、SCSI BIOS側でCD-ROMブートの設定を行う。SCSI BIOSのセットアップウィンドウに移行するには、システム起動時のSCSIホストアダプタの初期化処理中に特定のキーを押す。システムBIOSのときと同様、この際の特定キーなどは、SCSIホストアダプタ ベンダなどによって異なるので注意が必要である。今回のAHA-2940U2Wでは、Ctrl-Aキーを押すことで、設定画面に移行できるようになっていた。
上の画面のようなメッセージが表示されている間にCtrl-Aキーを押すと、SCSIユーティリティが起動される。
SCSIホストアダプタの各種設定は、このようなSCSIユーティリティから実行するようになっている。ここで「Configure/View Host Adapter Settings(ホストアダプタの設定と確認)」をカーソル移動キーで選択して、Enterキーを押す。
CD-ROMブートの設定は、さらに「Advanced Configuration Options」の下にあった。
[C]
AHA-2940U2WのCD-ROMブート設定は、このような設定メニューの奥の奥にあった。ここで「BIOS Support for Bootable CD-ROM」の設定項目を「Enabled」(有効)にすれば、CD-ROMブートが有効になる。今回使用したSCSIホストアダプタでは、デフォルトではこの項目が「Disabled」(無効)になっていた。
設定を終えたら、システムBIOSの場合と同様、設定内容をBIOSに保存して、起動用のCD-ROMをドライブに挿入し、システムを再起動すればよい。ただし、今回テストしたAHA-2940U2Wでは、ホストアダプタの初期化直後に「Press any key to boot from CD(CDからブートするには何かキーを押す)」というメッセージが表示され、ここで一定時間キー入力がなければ、CD-ROMからのブートは行わないようになっていた(何かキーを押せば、CD-ROMからブートする)。
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