第4回 Windows Server 2008 R2の目玉機能「Hyper-V 2.0テクノロジ」とはWindows Server 2008 R2の真価(1/3 ページ)

ライブ・マイグレーションのサポートやパフォーマンスの向上など、着実に進化したHyper-V 2.0。その強化ポイントなどを整理する。

» 2009年10月22日 00時00分 公開
[小川大地日本ヒューレット・パッカード株式会社]
 
Windows Server Insider

 

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連載目次

「Windows Server 2008の真価」は、2009年10月22日に出荷された、Windows Server 2008の後継OSである「Windows Server 2008 R2」の注目機能について解説するコーナーです。


 Windows Server 2008の後継サーバOSとして今回リリースされたWindows Server 2008 R2の中で、最大の目玉となるのがハイパーバイザー型の仮想化技術「Hyper-V 2.0」だろう。Hyper-V 2.0では、“仮想化ならでは”の「ライブ・マイグレーション」など、運用管理を向上する機能が追加された。また、SLAT(Second Level Address Translation)といった最新プロセッサの持つハードウェア・アシスト機能に対応するなど、パフォーマンス部分についても着実な進化が図られている。今回の機能強化によって、Hyper-Vはサーバ仮想化の要件を十分に満たすようになった。今後は本格的に普及が進んでいくことだろう。

 本稿では、まずHyper-Vをおさらいし、続いてバージョン2.0の概要や強化ポイント、利用方法などを説明していく。

Hyper-Vとは?

 Hyper-Vは、Windows Server 2008に「標準付属」される仮想化機能として、2008年7月にバージョン1.0が正式リリースされた。ここでの仮想化とは「1台のサーバ・ハードウェアで、同時に複数のOSを動作させることができる」技術だ。マルチブート(デュアルブート)と勘違いされることがあるが、マルチブートは起動するOSを選択できる技術であり、複数のOSを同時に動作させることはできない。

 VMwareなどの寡占状態であったx86サーバ仮想化市場の中で、Hyper-Vの最大の特徴は「OS標準である」ということである。言葉のとおり、Hyper-V 2.0は一部の特殊なエディションを除いてWindows Server 2008 R2に標準で付属する。これは、はやりのサーバ仮想化を標準利用できるということであり、専用製品を利用する場合と比べて導入コストを大幅に抑えることが可能だ。

  Web Foundation Standard Enterprise Datacenter Itanium
Hyper-V 2.0の有無 × × *1  ×
1ライセンス当たりのインストール権 物理:1台
または
仮想:1個
物理:1台 物理:1台
かつ
仮想:1個
物理:1台
かつ
仮想:4個
物理:1台
かつ
仮想:無制限
物理:1台
かつ
仮想:無制限
位置付け Webサーバ専用 エントリ/サーバ専用 一般用途 一般用途 仮想化または大型サーバ Itaniumサーバ専用
Windows Server 2008 R2のエディションとHyper-V機能の有無
Hyper-V 2.0は、一般用途であるStandard/Enterprise/Datacenterの3種類のエディションに付属する。また、Windows Server 2008でラインアップされていた「without Hyper-V」版はR2では廃止された。上記のほかに、Hyper-V 2.0のみを切り出した「Hyper-V Server 2008 R2」という無償製品も提供されている。ただし無償で利用できるのはホストOSのみで、ゲストOSのライセンスは別途購入が必要だ。従って、実際の利用機会は限られるだろう。
*1 フェールオーバー・クラスタ(WSFC)機能を利用するLive Migration、Quick Migrationは利用できない。

 また、標準付属のメリットはコストだけではない。Windowsとシームレスに統合されているところも大きなポイントだ。Hyper-V 2.0は、管理OSに相当する「親パーティション」が通常のWindows Server 2008 R2となるため、セットアップから管理に至るまでWindowsの知識だけで対応できる。もちろんすべての操作はグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)ベースだ。

 また、Hyper-VにはWMIプロバイダも用意されているため、上級者であればWSHやPowerShellなどといったスクリプトを作成して、運用を独自にカスタマイズすることも可能になっている。マイクロソフトが運営している開発コミュニティ「CodePlex」では、スクリプト・ベースで利用できる豊富なライブラリも公開されているので、アクセスしてみるとよい。

Hyper-Vのアーキテクチャ

 マイクロソフトはWindows Server 2003時代にも「Virtual Server」という名前でサーバ向けの仮想化ソフトウェアを無償公開していた。Hyper-Vは、Virtual Serverと比べてアーキテクチャが大きく刷新されているため、パフォーマンスを筆頭にさまざまな点が向上している。詳細は「Windows Server 2008の基礎知識 第14回 Windows OSに標準搭載された仮想化機能「Hyper-V」」を参照してほしい。

 なお、マイクロソフトはHyper-VをVirtual Serverの後継として位置付けており、現在Virtual Serverで運用を行っているシステムは、Hyper-Vに移行することを検討した方がよいだろう。


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