ブロケード、FCoE対応製品は既存インフラの移行を重視ファイバチャネルスイッチとしても使える

» 2009年05月11日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 ブロケードコミュニケーションズシステムズは5月初め、米ブロケードが4月7日に発表したFCoE(Fibre Channel over Ethernet)対応スイッチとCNA(Converged Network Adapter)について国内で説明した。

 FCoEは、専用のアダプタやスイッチを必要とするファイバチャネルに対し、このプロトコル(の上位レイヤ)をイーサネット上で動かすようにすることで、IPネットワークとストレージ・ネットワークの配線を統合することを目的とした技術。ただしこの場合、ストレージアクセスの信頼性やリアルタイム性を確保する観点から、従来のイーサネットは使えない。「CEE」(Converged Enhanced Ethernet)などと総称される次世代イーサネット規格のサポートが必要。

 米ブロケードが発表した「Brocade 8000」スイッチは、ラックマウント型のボックススイッチ。CEEをサポートする10Gbpsイーサネット・ポートを24ポート、そしてファイバチャネル・ポートを8ポート固定で搭載している。

Brocade 8000スイッチの特徴

ファイバチャネル・スイッチングが特徴

 シスコシステムズなどは、次世代イーサネット規格をサポートした10Gbpsイーサネットスイッチをすでに販売開始しているが、これらはイーサネットスイッチにFCoE―ファイバチャネル変換機能を持たせたもの。シスコのスイッチでは、ファイバチャネル接続をオプション・モジュールで行う。対してBrocade 8000は、純粋な小型ファイバチャネル・スイッチとしても利用できる帯域とポート数を備えている。ここに本来はストレージ・ネットワーク製品ベンダであるブロケードと、IPネットワーク機器ベンダであるシスコなどとの違いが見られる。

 ブロケードでは、サーバ側ではCEE/FCoEの採用が進むとしても、ストレージ側ではFCoEへの移行メリットが少ないため、FCoE直結のストレージ機器が一般化するのは2012年以降と見ている。このため、当面はストレージをファイバチャネル接続する顧客のために、本格的なファイバチャネル接続機能を提供するという。

Brocade 1010/1020の特徴

 米ブロケードはスイッチと同時にサーバ用のCNAも発表した。CNAとはCEEとFCoEに対応したサーバ用のアダプタ。従来のネットワークアダプタとファイバチャネルHBA(ホストバスアダプタ)の双方の機能を果たすことができる。CNAは10Gbpsイーサネットが前提であり、この帯域幅を生かして、複数の論理的な接続を単一のアダプタで処理することが可能だ。

 ブロケードが発表したCNAは、1ポートの「Brocade 1010」と2ポートの「Brocade 1020」。すでに、米QLogicや米EmulexがCNAを提供開始済みだ。しかしブロケードのCNAは、CEEとFCoEを単一のASICで処理できる点に違いがある。FCoEの処理能力についても、他社製品が4Gbpsであるのに対し、8Gbpsに対応しているという。

 上記製品の出荷開始時期は、OEM供給先ベンダにより異なる。5月後半から夏にかけて各社から提供の予定という。また、ブロケードはデータセンタースイッチ「Brocade DCX」用のCEE/FCoEブレードも、今年中に提供開始する。

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