RFCはその内容に応じて、いくつかのカテゴリに分類されている。プロトコルのカテゴリとしては標準化のプロセスで解説した、Standards Track、Experimental、Historic、Informationalがある。
プロトコル以外の各種の情報はInformationalに含まれるが、IETFの公式な情報のためのBCP(Best CurrentPractice)と呼ばれるカテゴリがある。InformationalはIABのRFC編集者の判断によってRFCが発行されるが、BCPはIESGとIETFの承認が必要である。
カテゴリ名 | 意味 |
---|---|
Standards Track | 標準化過程にあるプロトコル |
Experimental | 実験的なプロトコル |
Historic | 現在は使われていないプロトコル |
Informational | インターネット社会への情報提供 |
Best Current Practice(BCP) | IETFに承認された情報 |
RFCのカテゴリ RFCは、その内容に応じていくつかのカテゴリに分類されている。 |
「カテゴリ」という分類以外に、RFCにはSTD、FYI、BCPという「サブシリーズ」という分類もある。RFCは内容が改訂されると新しい番号を割り当てられてしまうので、ある特定の内容を参照するためにはRFCの番号は不便である。たとえば2000年5月末の時点では、FTPプロトコルの最新のRFCはRFC959であるが、その仕様が改訂されると別のRFCの番号になってしまう。そのため、書籍などでFTPプロトコルの最新の仕様をRFC番号で表わすことは適切ではない。このような不便を解消するために利用できるのがRFCのサブシリーズである。
STDは、Internet Standardsプロトコルを集めたRFCのサブシリーズである。Internet Standardsプロトコルには、RFC番号のほかにSTD番号が割り当てられる。プロトコルの改訂が行われるとRFCは新しいものが発行され、新しい番号が付けられるが、STDは同じ番号が使われ、内容が新しいもの(最新のRFCの内容)に置き換えられる。たとえばFTPプロトコルにはSTD9が割り当てられているが、もし内容の改訂があっても、STD番号はSTD9のままである。
STDとRFCの番号の関係を知るためには、STD1「Internet Official Protocol Standards」を参照すればよい。現在のSTD1はRFC2600であり、ここ最近(RFC2200以降)は下二桁が00のRFCがこれに該当する。STD1は各プロトコルのその時点でのカテゴリを示したもので、Standards Track、Experimental、Historicのプロトコルをカテゴリごとにリストアップしている。プロトコルの仕様を参照する場合には、まず見ておくとよいだろう。
STDの索引は、RFCのrfc-index.txtと同様に、「std-index.txt」というファイルで公開されている。以下に、std-index.txtの例を示しておく。
FYI(For Your Information。直訳すれば「あなたのための情報」というところか)は、インターネットやその技術に関するチュートリアルなどをまとめたRFCのサブシリーズである。プロトコルの定義のような技術的なドキュメントではなく、FAQ(よく訪ねられる質問)やインターネットに関するさまざまな情報などが記述されている。STDシリーズと同様に、FYIドキュメントには、RFCの番号のほかにFYI番号が割り当てられている。ドキュメントが改訂されるとRFCは新しい番号のものになるが、FYI番号は変わらない。
FYIもまた、その索引が「fyi-index.txt」というファイルで公開されている。
BCPは、Best Current Practice(訳すと「現時点での最良の方法/やり方/流儀」というような意味であろうか。「現状通知」などと訳されることもある)のカテゴリに含まれるRFCを集めたサブシリーズである。現在行われているIP番号の割り当て方法や標準化の手順など、現在行われている各種の手続きなどを文書化したものが多い。BCPも他のサブシリーズと同様に、RFCとBCPの番号が割り当てられる。内容の改訂があった場合、RFCの番号は変わるが、BCPの番号は変わらない。
BCPも、その索引が「bcp-index.txt」というファイルで公開されている。
RFCは、さまざまなサイトからFTPやWebブラウザ、電子メールなどを使って入手することが可能である。RFCの編集を行っているRFC編集者のサイト(IETFのホームページからもたどることができる)に最新のRFCがある。また、Internet DraftもIETFのInternet-Draftsのページから入手することができる。
ところでこれらのページは、日本からは遠い上に、世界中からのアクセスが集中することが考えられるので、反応が悪くダウンロードにも時間がかかることがある。国内では、「ソニーコンピュータサイエンス研究所」を始め、いくつかの企業や大学などのサイトからも入手が可能となっているので、必要に応じて使い分けていただきたい。サイトによっては、RFCを番号やキーワードで検索できるサービスを用意していることもあるって便利である。
RFCはすべて英語で書かれており、残念ながら日本語の公式なRFCはない。いくつかのRFCを翻訳したものが雑誌や書籍に掲載されることはあるが、それらについての完全なデータベースがあるわけでもなく、求めるRFCが翻訳されているのかどうか、また、翻訳されていたとしてもそれがどこにあるのかを知ることは難しいだろう。それに、掲載されていることが分かったとしても、入手が困難な場合もあるだろう。
しかしボランティアベースで翻訳されたいくつかのRFCがWeb上で公開されている。これらの成果は個人の努力によるものが多い。そのため、計画的に翻訳が進められているわけではなく、さまざま場所に点在しており、希望するRFCを見つけるのは困難である。ただその中でも「RFC のページ」は、運営者が翻訳したRFCを公開している上に、雑誌や書籍で翻訳されたRFCの情報があるなど、充実した内容となっている。
また、点在している翻訳されたRFCのリンク集を公開しているサイトもある。その一つが「RFCJ -- RFC ならびに Internet Draft の日本語化文書集積/提供のページ」である。
翻訳されたRFCの要求も高いと思われるので、これらの活動は高く評価できるだろう。
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