今回は、シスコのルータ/スイッチをISDN回線に接続するために必要な基本的な知識と実際の接続方法や構成方法、また接続が有効かどうかを確認する方法について学習したい。
Q1) 次のうち、CiscoルータをISDN網にS/T点接続する際に、必要となるものはどれですか。
Q2) 次のうち、レガシーDDRを構成する際に必要でない手順はどれですか。
ISDNとは、Integrated Services Digital Networkの略で、電話、映像、データを総合的に扱うデジタル回線である。ISDNには、基本インターフェイス(BRI: Basic Rate Interface)と一次群速度インターフェイス(PRI: Primary Rate Interface)の2種類がある。今回は、CiscoルータをISDN基本インターフェイスに接続する手順について解説する。
さて、CiscoルータをISDN基本インターフェイスに接続する方法は、大きく2種類ある。BRIインターフェイスを使用する方法と、シリアルインターフェイスを使用する方法である。これらの違いについて、次の図1を用いて解説する。
ISDN回線のすぐ後ろに接続する機器がNT1(Network Termination 1)であり、DSU(Data Service Unit)がこれに該当する。このNT1の後ろに接続する機器がNT2(Network Termination 2)で、PBX(Private Branch Exchange)がこれに該当する。ただし、NT2は省略可能である。もしISDN対応の端末であれば、NT1またはNT2のすぐ後ろに接続できる。
このISDN対応端末のことを、TE1(Terminal Equipment 1)という。ISDNに対応していない端末の場合、既存端末とISDNインターフェイスとの変換装置が必要となる。この変換装置のことをTA(Terminal Adapter)といい、TA経由で接続するISDN非対応端末のことをTE2(Terminal Equipment 2)という。
ISDNの接続ポイントには、名前が付いている。TE2−TA間をR点、TE1(またはTA)−NT2をS点、NT2−NT1間をT点、NT1−ISDN網をU点と呼ぶ。ただし、NT2は省略可能であるため、S点とT点は同一インターフェイスとなる。このため、S点とT点をまとめてS/T点と呼ぶ場合がある。
BRIインターフェイスを持っているCiscoルータは、S/T点に接続する(正確には、U点接続するものもあるが、そのほとんどは北米用であり、日本では使用できないものが多い)。シリアルインターフェイスを持っているCiscoルータの場合は、R点に接続する。
CiscoルータをISDNに接続する場合、スイッチタイプを指定する必要がある。実は、ISDNではスイッチのタイプ、すなわち交換機の種類が標準化されていない。このため、電話会社で交換機の種類が異なることがあり、接続する電話会社によってはスイッチタイプを指定する必要がある。指定するコマンドは、グローバルコンフィグモード(またはインターフェイスコンフィグモード)から「isdn switch-type」を利用する。幸いなことに、日本で使用する場合のスイッチタイプはnttのみなので、次のようなコマンドを入力すればよい。
wg_ro_a(config)#isdn switch-type ntt
CiscoルータをISDNに接続する場合、DDR(Dial-on-Demand Routing)を構成する。ここではまず、DDRについて解説しよう(図2)。
DDRとは、必要があれば回線を接続し、必要がなくなれば回線を切断する機能のことである。DDRを構成したルータは、Interestingパケット、すなわち発呼の対象となるパケットが到着するのを待つ。Interestingパケットが来ると、回線を接続してルーティングを開始する。そして、一定時間Interestingパケットが来ないと回線を切断し、またInterestingパケットの到着を待つ。DDRは、ISDNや公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)に接続する場合に用いる。
ここでは、比較的簡単に構成できる、レガシーDDRの構成方法を解説する。レガシーDDRの構成方法は、次のとおりである。
(1)スタティックルーティングを構成する
DDRを使用する回線にダイナミックルーティングを構成すると、ルーティングプロトコルが通信するたびに発呼し、下手をすると四六時中(つまり24時間)回線をつなぎっぱなしという状態になりかねない。従って、DDRを使用する場合は、スタティックルーティングを使用するのが鉄則である。スタティックルーティングを構成するには、グローバルコンフィグモードから「ip route」コマンドを使用する。以下のコマンドは、10.0.1.0/24のネクストホップ(次にパケットを転送するルータ)のIPアドレスを172.16.1.1に構成する例である。
wg_ro_a(config)#ip route 10.0.1.0 255.255.255.0 172.16.1.1
(2)Interestingパケットを指定する
次に、どのパケットが来たら発呼するのかを指定する。Interestingパケットを指定するには、まずダイヤラーリストを作成する。ダイヤラーリストを作成するには、グローバルコンフィグモードから「dialer-list」コマンドを使用する。以下のコマンドは、IPパケットをInterestingパケットに指定する、ダイヤラーリスト番号1番のダイヤラーリストを作成する場合の例である。
wg_ro_a(config)#dialer-list 1 protocol ip permit
次に、ダイヤラーリストをインターフェイスに適用する。コマンドは、インターフェイスコンフィグモードから「dialer-group」を利用する。以下のコマンドは、BRIインターフェイス0に、ダイヤラーリスト番号1番のダイヤラーリストを適用する場合の例である。
wg_ro_a(config)#int bri0
wg_ro_a(config-if)#dialer-group 1
(3)ダイヤラ情報の構成
最後に、ネクストホップのIPアドレスと電話番号を指定し、ダイヤラ情報を構成する。コマンドは、インターフェイスコンフィグモードから「dialer map」である。以下のコマンドは、ネクストホップが172.16.1.1だった場合、5353−:xxxxにダイヤルするように構成する例である。
wg_ro_a(config-if)#dialer map ip 172.16.1.1 5353xxxx
ここまで構成できれば、Pingを使用して確認する。正常にダイヤルされた後、相手のルータと正常に接続されれば成功である。以下に、Pingが成功した例を示す(画面1)。
ただし、DDRを使用している回線の場合、接続に少々時間がかかる。従って、仮に正常に構成できていたとしても、最初のPingではすべて失敗する可能性がある。この場合、再度Pingを試みて成功すれば問題ない。なお、最初のPingは相手のBRIインターフェイス(シリアルインターフェイスにTA経由で接続している場合はシリアルインターフェイス)のIPアドレスを指定する。そうしなければ、もし失敗したときにDDRの構成に問題があるのか、スタティックルーティングの構成に問題があるのか、原因の切り分けができなくなる。
最後に、「show dialer」コマンドについて解説する。このコマンドを使用すると、DDRを構成しているインターフェイスの状態が分かる。以下に、実行例を示す。この実行例では、BRIインターフェイスの最初のBチャネルのみ接続されている。
Q1: A
Q2: D
Q1) 次のアクセスリストに関する記述のうち、正しいものはどれですか。
Q2) 次のうち、正しい標準アクセスリストはどれですか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.