ADのインストールが完了したら、次はサイトとOUを必要に応じて適切に設定し、ユーザーやグループを登録する。
本稿は、Windows 2000 Serverを対象とした連載です。Windows Server 2003向けの連載は以下のリンクから参照できます。
前回までで、Active Directoryのインストールのために必要な準備とインストールの手順について説明した。今回からはActive Directory導入後の管理者の作業(Active Directoryを運用していくために必要なオブジェクトの作成)における注意点を解説していく。
Active Directoryをインストールして1つのドメインが作成されたら、通常はその後、可用性確保のために2台以上のドメイン・コントローラ(以下DC)を設置することを検討する。だが2台目以降のDCをインストールする前に「サイト」を構成しておこう。「サイト」とは、組織内の物理的なネットワーク接続を表すためのオブジェクトである。2台目以降のDCをインストールする前にあらかじめサイトを構成しておけば、作成しようとしているDCのIPアドレスに基づいて、適切なサイト上にServerオブジェクトを作成してくれる。
2台目のDCをインストールすると、その後はサイト間に構成されたサイト・リンクの設定(スケジュール、複製間隔、圧縮)に従って、Active Directoryデータベースの複製が行われるようになる。
サイトの構成手順は次のとおりである。まず[Active Directoryサイトとサービス]管理ツールで、サイトを作成し、それらの間を結ぶ「サイト・リンク」を設定する。
デフォルトでは「Default-First-Site-Name」という名前のサイトが1つ存在しているだけである。今回は、東京本社と大阪支社に相当する「TokyoSite」と「OsakaSite」という2つのサイトを作成してみる。
[A]
作成したサイトにはサブネット・オブジェクトを割り当てる必要がある(どのサブネットに属するかを決める)。新しいサブネット・オブジェクトを作成するためには、管理ツールで[Subnet]を右クリックして、[新しいサブネット]を選択する。このとき、作成したサブネット・オブジェクトをどのサイトに割り当てるのかを選択する必要がある。1つのサイトに複数のサブネットを割り当てることはできるが、1つのサブネットを複数のサイトに割り当てることはできない。
[B]
サイトとサブネットを定義したら、サイトとサイトを結ぶ働きをするサイト・リンク・オブジェクトを作成する。サイト・リンクを作成するときには、2つ以上のサイトを選択する必要がある。選択した2つのサイト間での複製処理には、サイト・リンクの構成値が使用されることになる。ここでは、東京本社と大阪支社を結ぶTokyo-OsakaLinkというサイト・リンクを作成してみる。
[C]
フォレストに複数台のドメイン・コントローラを配置したら、次は、検索処理の可用性(1台のコンピュータが停止した場合でも、サービスの利用ができる状態)の確保と負荷分散のために、グローバル・カタログ・サーバ(以下GCサーバ)を構成しよう。デフォルトでは、フォレストの1台目のドメイン・コントローラが自動的にGCサーバの役割を担うことになっているが、可用性確保のためにも各サイトに1台以上のGCサーバを設定しておくのがよい。GCサーバは、ログオン認証や検索要求の際に利用されるので、これが停止しているとユーザーがログオンできなくなってしまう。従って可能なら、2台以上のGCサーバを構成しておきたい。
GCサーバの追加は次の手順で行う。
GCサーバはほかのドメイン情報のコピーを保持するため、あまり台数を増やしすぎると、複製用のトラフィックが増加する。そのため、各サイトに1台程度を目安として構成するのがよいだろう。
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