第8回 Active Directoryの導入後の作業管理者のためのActive Directory入門(1/3 ページ)

ADのインストールが完了したら、次はサイトとOUを必要に応じて適切に設定し、ユーザーやグループを登録する。

» 2003年03月28日 00時00分 公開
[伊藤将人(株)コメット]
運用
Windows Server Insider

 

「運用」のインデックス

連載目次

本稿は、Windows 2000 Serverを対象とした連載です。Windows Server 2003向けの連載は以下のリンクから参照できます。


 前回までで、Active Directoryのインストールのために必要な準備とインストールの手順について説明した。今回からはActive Directory導入後の管理者の作業(Active Directoryを運用していくために必要なオブジェクトの作成)における注意点を解説していく。

サイトの構成

 Active Directoryをインストールして1つのドメインが作成されたら、通常はその後、可用性確保のために2台以上のドメイン・コントローラ(以下DC)を設置することを検討する。だが2台目以降のDCをインストールする前に「サイト」を構成しておこう。「サイト」とは、組織内の物理的なネットワーク接続を表すためのオブジェクトである。2台目以降のDCをインストールする前にあらかじめサイトを構成しておけば、作成しようとしているDCのIPアドレスに基づいて、適切なサイト上にServerオブジェクトを作成してくれる。

2台目のDCのインストール
最初のDCのインストールが終了したら、Active Directoryが導入できたことになる。2台目のDCのインストール前に、[Active Directoryサイトとサービス]を使用して、サイトの構成を行っておこう。あらかじめサイトを構成しておくと、2台目のDCに指定したIPアドレスに基づいて、Active Directoryのインストール時点で、適切なサイトにDC(Serverオブジェクト)が自動的に追加される。

 2台目のDCをインストールすると、その後はサイト間に構成されたサイト・リンクの設定(スケジュール、複製間隔、圧縮)に従って、Active Directoryデータベースの複製が行われるようになる。

 サイトの構成手順は次のとおりである。まず[Active Directoryサイトとサービス]管理ツールで、サイトを作成し、それらの間を結ぶ「サイト・リンク」を設定する。

Active Directoryサイトとサービス
これはActive Directoryインストール直後の[Active Directoryサイトとサービス]管理ツールの画面。初めは「Default-First-Site-Name」という名前のサイトが1つ存在するだけであり、このサイト中には1台目の(最初の)DCが所属している。サイトを作成しておかないと、以後追加するすべてのDCがこのサイトに所属することになる。
 (1)最初に作成されるデフォルトのサイト。

 デフォルトでは「Default-First-Site-Name」という名前のサイトが1つ存在しているだけである。今回は、東京本社と大阪支社に相当する「TokyoSite」と「OsakaSite」という2つのサイトを作成してみる。

サイトの作成
2つ目以降のサイトは、[Active Directoryサイトとサービス]管理ツールを使って、管理者が手動で作成しなければならない。
 [A]新しいサイトを作成するためには、[Sites]のポップアップ・メニューから[新しいサイト]を選択する。→[A]

[A]

サイトの作成画面
サイトの作成を選択すると[新しいオブジェクト - Site]ウィンドウが表示されるので、ここでサイトの名前を入力し、さらにサイト間を接続するためのサイト・リンクを選択する。最初のサイトの場合は、まだサイト・リンクは作成していないので、初めから用意されている「DEFAULTIPSITELINK」を選択しておこう。
 (1)作成するサイトの名前。ここでは東京本社のサイトとして「TokyoSite」を作成する。
 (2)サイト間を結ぶためのリンク。最初のサイトの場合は、デフォルトの「DEFAULTIPSITELINK」を選択する。
 (3)これをクリックするとサイトが作成される。この後にサブネットやサイト・リンクを作成し、それらを関連付けるための作業が必要になるので、[OK]ボタンをクリックすると、その旨のメッセージが表示される。

サブネットの作成

 作成したサイトにはサブネット・オブジェクトを割り当てる必要がある(どのサブネットに属するかを決める)。新しいサブネット・オブジェクトを作成するためには、管理ツールで[Subnet]を右クリックして、[新しいサブネット]を選択する。このとき、作成したサブネット・オブジェクトをどのサイトに割り当てるのかを選択する必要がある。1つのサイトに複数のサブネットを割り当てることはできるが、1つのサブネットを複数のサイトに割り当てることはできない。

サブネットの作成
作成したサイトにはサブネット・オブジェクトを割り当てる必要がある(どのサブネットに属するかを決める)。
 [B]新しいサブネットを作成するためには、[Subnet]のポップアップ・メニューから[新しいサブネット]を選択する。→[B]

[B]

サブネットの設定画面
ここではサブネットのIPアドレスとそこに割り当てるサイトを定義する。
 (1)サブネットの最初のIPアドレス(ネットワーク・アドレス)。
 (2)サブネットのネットマスク。
 (3)このサブネットが属するサイト。

サイト・リンクの作成

 サイトとサブネットを定義したら、サイトとサイトを結ぶ働きをするサイト・リンク・オブジェクトを作成する。サイト・リンクを作成するときには、2つ以上のサイトを選択する必要がある。選択した2つのサイト間での複製処理には、サイト・リンクの構成値が使用されることになる。ここでは、東京本社と大阪支社を結ぶTokyo-OsakaLinkというサイト・リンクを作成してみる。

サイト・リンクの作成
サイトとサブネットを定義したら、サイトとサイトを結ぶ働きをするサイト・リンク・オブジェクトを作成する。
 [C]新しいサイト・リンクを作成するためには、[Inter-Site Transports]−[IP]を右クリックして、ポップアップ・メニューから[新しいサイト リンク]を選択する。→[C]

[C]

サイト・リンクの設定画面
サイト・リンク・オブジェクトと、そこに属するサイトを定義する。
 (1)サイト・リンク・オブジェクトの名前。
 (2)サイトの一覧。ここからサイトを選んで[追加]をクリックすると、サイト・リンクに追加される。
 (3)これをクリックすると、サイト・リンクに追加される。
 (4)このサイト・リンク・オブジェクトに含まれるサイト。サイト・リンク・オブジェクトを作成するためには、2つ以上のサイトが必要。

GCサーバの追加

 フォレストに複数台のドメイン・コントローラを配置したら、次は、検索処理の可用性(1台のコンピュータが停止した場合でも、サービスの利用ができる状態)の確保と負荷分散のために、グローバル・カタログ・サーバ(以下GCサーバ)を構成しよう。デフォルトでは、フォレストの1台目のドメイン・コントローラが自動的にGCサーバの役割を担うことになっているが、可用性確保のためにも各サイトに1台以上のGCサーバを設定しておくのがよい。GCサーバは、ログオン認証や検索要求の際に利用されるので、これが停止しているとユーザーがログオンできなくなってしまう。従って可能なら、2台以上のGCサーバを構成しておきたい。

 GCサーバの追加は次の手順で行う。

GCサーバの追加
負荷分散や検索処理の可用性を確保するために、2台以上のGCサーバを用意することが望ましい。
 [D]GCサーバを追加するためには、[Active Directoryサイトとサービス]管理ツールでサイト名の下にある[Servers]からDCを選び、さらにその下にある[NTDS Settings]を右クリックして[プロパティ]を表示させる。→[D]

[D]

NTDS Settingsのプロパティ画面
GCサーバの設定はここで行う。
 (1)このチェック・ボックスをオンにすると、このDCがGCサーバとして機能する。

 GCサーバはほかのドメイン情報のコピーを保持するため、あまり台数を増やしすぎると、複製用のトラフィックが増加する。そのため、各サイトに1台程度を目安として構成するのがよいだろう。

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