「Java FAQ(What's New)」の安藤幸央氏が、CoolなプログラミングのためのノウハウやTIPS、筆者の経験などを「Rundown」(駆け足の要点説明)でお届けします。(編集局)
米国Amazon.comは2002年8月にWebサービスによる情報提供を開始しました。それから約1年後の今年7月、日本のAmazon.co.jpもWebサービスを開始しています。
Amazonは現在7カ国(8カ国語)で展開しています。米国Amazon.com(英語、スペイン語)、イギリスAmazon.co.uk、ドイツAmazon.de、フランスAmazon.fr、カナダAmazon.ca、オーストリアAmazon.at、そして日本のAmazon.co.jpです。運用はそれぞれの国で行われています。
米国Amazon.comのWebサービスが運用を開始したときは、まだ世の中にはAmazon.comほどオープンで機能豊富なWebサービスは存在しませんでした。Amazon.comのWebサービスは高機能であるとともに、無料で利用できるため、開始当初から大きな注目を浴びました。
米国では、サービスが開始されると早速Amazonの品ぞろえを独自にピックアップしたWeb上のオンラインセレクトショップが登場したり、ニュースサイトで紹介されている書籍のAmazonでの情報、購買とのリンクが登場するなど、興味深い利用例が次々と登場したのです。この、Webサービスの活用例としては最先端を進むAmazon Webサービスが、日本にも上陸したのです。
Amazon Webサービス(AWS)は無料で利用できますが、条件としては利用のためにトークンの取得が必要です。またAmazonが提供するさまざまなサービスを享受するために、Amazonアソシエイトメンバーになっておくのも得策です。
Amazon Hacks:100 Industrial Strength Tips & ToolsはGoogle Hacksでご存じの方も多い、O'ReillyのHacksシリーズの書籍です。100種類に及ぶ、効果的利用方法、裏技などが紹介されています。すでにAmazonを使いこなしていると自負している方にとっても、これから効果的にAmazon Webサービスを利用したい方にとっても、とても有益な本です。
Amazon Web Servicesフォーラムは、開発者向けの掲示板、ディスカッションボードです。基本は英語ですが、ページの下の方にちょっとだけ日本語専用のフォーラムがあります。
日本語版Amazon Webサービスの利用事例には以下のようなものがあります。
Amazon Webサービスを十分に活用するにはSOAP/XMLをはじめとするWebプログラミングに長けているに越したことはありません。しかし、簡単なホームページ作成ツールがあるように、Webサービスにも簡単に活用、構築できるツールが存在します。現在はまだまだ英語版のものが多いですが、多少の修正で流用することも難しくありません。これらの数々のツールを目にすると、細かな部分のアイデアに感心するとともに、Webサービス構築ツールだけでも1つのビジネス分野として確立していることに驚きます。
先日、米国Microsoftと米国Amazonの提携の発表がありました。オフィスのドキュメントツール(ワープロ)としては定番のMicrosoft OfficeからAmazonのサービスを直接呼び出したり、検索したりできるようになるそうです。Wordドキュメント内の書籍紹介をクリックするとAmazonの情報と連携したり、ドキュメント内でAmazonの参考文献一覧を引用したりと、シームレスな協調が期待されています。
以前どこかのレポートで読んだ話があります。それは、Amazonのライバルは書店でもなく、ほかのオンラインショップでもないというのです。「顧客の満足度」が一番のライバルだというのです。
その意味は、Amazonを使えば次の日にすぐ本が届く「1クリック購買」という、とても簡単な操作で手軽に本やCDを買うことができる利便性によって「機会創出」が生み出されるというのです。つまりは手軽さと満足度を提供することによって、いままで頻繁に書籍やCD/DVDを買わなかったような顧客をも引きつけ、より多くの購買に結び付けるというのです。
聞くところによると、Amazonはこれまでシステム開発に9億ドル以上の資金を投じているそうです。銀行系などさまざまなWebアプリケーションがいったいどれくらいの開発費を投じているか分かりませんが、Amazonの投資が驚くべき規模であることは確かです。Amazon Webサービスの活用、Amazonアソシエイトプログラムの展開によってWebビジネスのループがうまく回り始めている感覚が感じ取れます。
Webサービスを提供する者、Webサービスを利用する者両方が利益を得るWin-Win(双方共に勝ち)のビジネスモデルが確立してきているといえるでしょう。
次回は11月中旬の公開予定です。
安藤幸央(あんどう ゆきお)
1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元 CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。
ホームページ:
http://www.gimlay.org/~andoh/java/
所属団体:
OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)
主な著書
「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)
「これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)
「The Java3D API仕様」(監修、アスキー)
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