Javaでファイルや画像を扱う基礎から学ぶサーブレット/JSP(9)(4/4 ページ)

» 2003年11月07日 00時00分 公開
[山田祥寛@IT]
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ブラウザにイメージ画像を描画する―Graphics/BufferedImageクラス―

 ここまではアプリケーションが扱う対象のデータはテキストばかりでした。しかし、特にデータを出力するという局面で、一目見て直感的に訴えることができるのはビジュアルな画像データです。もちろん、テキストのデータとしての厳密性を前提としてではありますが、ほどよく視覚的な効果を織り交ぜることで、サイトにもアクセントをつけ、より見栄えの良い「見せ方」ができるはずです。

 ここでは、そのイメージデータをアプリケーションから動的に作成する方法を見てみることにします。もちろん、静的なイメージデータをその都度用意するのも悪くはありません。しかし、データベースのデータなどを基にして、日々変動する値をグラフ化したい場合などはやはり静的なデータよりも動的にデータを生成した方がリアルタイムに状況を把握できますし、何よりも「楽」です。

 リスト4は、アプリケーションから単純な画像を生成する一例です。次回に予定しているデータベース接続の記事とも併せて読むことで、日々の業務データをグラフ表示するなどにも応用できるはずです。

リスト4 image.jsp
<%@ page contentType="image/jpeg; charset=Shift_JIS"
 import="java.awt.*,java.awt.image.*,com.sun.image.codec.jpeg.*" %>
 <%
 BufferedImage objBi=new BufferedImage(200,200,BufferedImage.TYPE_INT_RGB);
 Graphics objGrh=objBi.getGraphics();
 objGrh.setColor(new Color(255,255,255));
 objGrh.fillRect(0,0,200,200);
 objGrh.setFont(new Font("HG丸ゴシックM-PRO",Font.BOLD,11));
 objGrh.setColor(new Color(0,0,255));
 objGrh.drawString("http://www.wings.msn.to/",10,180);
 objGrh.setColor(new Color(230,230,180));
 objGrh.fillRect(10,10,100,100);
 objGrh.drawOval(5,5,180,180);
 JPEGImageEncoder objEnc=JPEGCodec.createJPEGEncoder(response.getOutputStream());
 objEnc.encode(objBi);
 %> 

 リスト4の実行結果は以下のとおりです。

image.bmp image.bmp

 リスト4の内容を説明しましょう。BufferedImageクラスの役割とは、いわゆるメモリ空間のキャンバスを提供することにあります。インスタンス(オブジェクト)の生成に際しては、画像の高さ、幅、そして形式を指定します。

 Graphicsクラスは、このメモリ上のキャンバスに対して、実際に描画を行う絵筆であり、絵の具だと思っておけばよいでしょう。Graphicsクラスには画像を描くためのさまざまな道具が存在しますが、さほど難しいことはありません。絵筆を取り替え、絵の具を変え、また、描画する形が変わるだけで、パラメータの内容も直感的に理解できるはずです。以下では、Graphicsクラスの主なメソッドを挙げておきますので、詳細はAPIリファレンスなどを参照し、自分で実際にいろいろと試してみるのも面白いかもしれません。

Graphicsクラスの主なメソッド
メソッド 概要
draw3DRect(int x,int y,int width,int height,boolean raised) 3Dで強調された矩形を描画
drawArc(int x,int y,int width,int height,int startAngle,int arcAngle) 指定された矩形を包含するだ円弧を描画
drawLine(int x1,int y1,int x2,int y2) (x1,y1)-(x2,y2)の直線を描画
drawOval(int x,int y,int width,int height) だ円を描画
drawPolygon(int[] xPoints,int[] yPoints,int nPoints) 指定された座標を頂点とした多角形を描画(nPointは頂点の数)
drawPolyline(int[] xPoints,int[] yPoints,int nPoints) 指定された座標を結ぶ連続線を描画
drawRect(int x,int y,int width,int height) 矩形を描画
void drawRoundRect(int x,int y,int width,int height,int arcWidth,int arcHeight) 角が丸い矩形を描画
drawString(String str,int x,int y) 文字列を描画
fill3DRect(int x,int y,int width,int height,boolean raised) 3Dで強調された塗り潰し矩形を描画
fillArc(int x,int y,int width,int height,int startAngle,int arcAngle) 指定された矩形を包含する塗り潰しだ円弧を描画
fillOval(int x,int y,int width,int height) 塗り潰し楕円を描画
fillPolygon(int[] xPoints, int[] yPoints, int nPoints 指定された座標を頂点とした塗り潰し多角形を描画(nPointは頂点の数)
fillRect(int x, int y, int width, int height) 塗り潰し矩形を描画
fillRoundRect(int x, int y, int width, int height, int arcWidth, int arcHeight) 角が丸い塗り潰し矩形を描画
setColor(Color c) 描画色を指定
setFont(Font font) 描画フォントを指定

 BufferedImage上に描画されたイメージは、JPEGImageEncoderクラスによってJPEG形式にエンコードされたうえでクライアントサイドに出力されます。JPEGImageEncoderオブジェクトは、JPEGCodec.createJPEGEncoderメソッドを介して取得することができます。引数として、出力先を指定する点に注目してください。ここではHttpServletResponse#getOutputStreamメソッドが返すServletOutputStreamオブジェクトを出力先とします。

 ServletOutputStreamは、バイナリデータをクライアントに出力する際に使用するオブジェクトです。出力に際して、データに余計なエンコードなどを行いません。

 最終的に、エンコード処理を行うのは、JPEGImageEncoder#encodeメソッドです。encodeメソッド自体は戻り値を返さず、エンコード結果は上で指定されたServletOutputStreamオブジェクトに引き渡されます。

メモリ上に画像を保持するのはBufferedImageクラスの役割です。GraphicsオブジェクトはBufferedImageに対して、さまざまな加工処理を行います。最終的に生成された画像データを出力するには、JPEGImageEncoderクラスでエンコード処理を行う必要があります。


 以上、いかがだったでしょうか。第7回、第8回と併せて、自分のやりたいことを実現するためのさまざまな手法がイメージできてきたでしょうか。ここで扱うのは、あくまで断片的な知識ですが、皆さんはこの後、現実のサイトで実際にこれらのTIPSを活用してみてください。最初は、ちょっとした引数の変更などでも、構わないはずです。とにかく具体的なアプリケーションへの組み込みの過程で、ここで学んだ断片的な知識が総合的なノウハウとして、きっと昇華されるはずです。本稿がその1つのきっかけとなれば幸いです。


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