コンテンツマネジメントとBPMはどう違うのかを聞いてみた続く合併・吸収でマーケットに混乱も

「コンテンツマネジメント業界全体をめぐる状況はこれまで、関連企業の吸収、合併などでマーケットの混乱が続いており、そのためか顧客が採用を見送るケースが多かった」と、米ファットワイヤ・ソフトウェアのCTO アリ・カーン(Ari Kahn)氏は振り返る。

» 2004年03月03日 18時00分 公開
[新野淳一,@IT]

 「コンテンツマネジメント業界全体をめぐる状況はこれまで、関連企業の吸収、合併などでマーケットの混乱が続いており、そのためか顧客が採用を見送るケースが多かった」。こう振り返るのは、コンテンツマネジメント製品を提供する米ファットワイヤ・ソフトウェアのCTO アリ・カーン(Ari Kahn)氏。

「われわれの顧客は戦略的エンタープライズコンテンツ・マネジメントを求めている」(アリ氏、左)、「企業内の成功事例を広げていくことが大事だ」(ファシアーノ氏)

 同社は「1996年の創業以来、一貫してコンテンツマネジメント・ソフトウェアにフォーカスしてきた」(CEO兼社長のマーク・ファシアーノ[Mark Fasciano]氏)企業だが、ディバイン社のコンテンツ管理部分を買収するなど、業界の状況に関与もしている。来日した同社の2人に、コンテンツマネジメントと同社の戦略について聞いた。

 ファシアーノ氏によると、コンテンツマネジメントは企業においてWebサイト上でのプレゼンスを管理するツールであり、かつ、社内のビジネスプロセスの運用においてもさまざまなコンテンツが求められる。そのためにコンテンツ管理は戦略的重要性を担っているという。ただし、コンテンツマネジメントのためのツールの導入は、スケーラブルはない、管理が複雑になる、習得が難しいといったリスクを抱えている。

 同社の製品群は、こうしたリスクを回避するために標準技術を採用してJ2EEサーバ上で運用され、WindowsのクライアントPCやWebブラウザから操作できる。また、既存のコンテンツ作成環境やデータソースに対して透過的に振る舞い、容易に管理、運用できるように作られているという。ワークフローエンジンを備え、ビジネスプロセスの流れをコンテンツ中心に定義可能。ポータル機能、パーソナライズ機能、レプリケーションやキャッシュなどの機能も備える。今年9月に登場が予定されている新バージョンでは、ワークフローをモジュール化して再利用する機能や、より高度なページデザインツールなどが採用される予定。

 システム・インテグレータ(SIer)はこれらの機能を持つコンテンツマネジメント製品に対して、コンテンツのテンプレートの作成、業務システムとのデータ接続、シングルサインオンなどの付加価値を提供する。

 しかしSIerによって基幹統合などが行われたコンテンツマネジメント・システムが、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)やEAIの機能と異なるのはどのような点なのだろうか。カーン氏は、「BPM/EAIは、主に企業におけるビジネスプロセス全体に渡ってクリティカルな情報を扱うのに対し、当社の製品は情報を中心にしており、プロセス全体というよりもコンテンツにかかわる部分にフォーカスしている」という。

 では将来的にコンテンツマネジメントとBPMやEAIが統合される可能性はあるのか。ファシアーノ氏はそれを否定した。「統合し過ぎるとより複雑になり、導入も運用も難しくなる。われわれは、コンバージェンス(統合)を意識しつつも、引き続きコンテンツマネジメントにフォーカスしていく」と述べた。では、これまで合併や吸収を繰り返してきたコンテンツマネジメントの歴史は今後も続くのだろうか? 「機能を補完するような買収であれば、今後も実行していくつもりだ」(ファシアーノ氏)。

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