第1回 SharePointの概要SharePointアーキテクチャ入門(1/3 ページ)

次世代チーム・コンピューティグ環境SharePointで何が変るのか? 内部アーキテクチャを理解し、活用への一歩を踏み出そう。

» 2004年04月15日 00時00分 公開
技術解説 SharePointアーキテクチャ入門 ―― 次世代情報共有環境の内部を知る ―― 
Windows Server Insider

 

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連載目次

 ホワイトカラーの生産性向上は、企業経営者ばかりではなく、現場で働く人たちにとっても一大関心事である。それには、メンバー間での効率的な情報共有が欠かせない。情報は、いくら使っても使い減りすることがない。また効果的な情報共有は無駄を省くというだけでなく、まったく新しい価値の創造につながる可能性を秘めている。

 コンピュータとネットワークの普及は、情報共有のための器として最適である。恐らくこの記事の読者の多くも、LANベースのファイル共有などを便利に利用しているだろう。

 しかし本当に効果的な情報共有ができているかというと、十分でないと感じている人が多いのではないか。確かにファイルは共有できるが、排他制御などはないので、同じファイルを複数のユーザーが同時に編集してしまうかもしれない。共有ファイルが更新されたらそれを通知してもらいたいと思っても、そのような機能は用意されていない。更新した人が律義にメールで通知してくれればよいが、うっかり更新者がこの通知を忘れたりすると、知らないうちに情報共有から取り残されてしまう。互いに声を掛け合うなど、小さな組織であれば運用で回避することも可能だが、いずれにせよ限界がある。単なるファイル共有から一段進んだ、よりスマートな情報共有のしくみが必要とされている。

 このニーズに対するマイクロソフトの答えが今回取り上げるSharePointテクノロジである。SharePointにより、比較的小規模なチーム向けの情報共有サイトから、全社的なエンタープライズ・ポータル(EIP:Enterprise Information Portal)までを構築することができる。このようにSharePointは、高いスケーラビリティを持つテクノロジであるが、あまりに守備範囲が広いために、かえってつかみどころがなく、理解を困難にしている部分がある。

 SharePointテクノロジを実装した製品としては、Windows SharePoint Services(以下WSS)とSharePoint Portal Server(以下SPS)がある。このうち小規模なチーム・サイト構築を支援するWSSは、Windows Server 2003ユーザーなら無償でダウンロードして利用できる(インストールにはWindows Server 2003が必須)。一方のSPSは、複数のWSSをとりまとめてエンタープライズ・レベルのポータル・サイトを構築するためのミドルウェアだ。

 SharePointでは、データ・ストレージとして機能するリストとWebパーツと呼ばれるプレゼンテーション・コンポーネントを利用してポータル・サイトを作成する。提供されるリストやWebパーツをユーザーが任意に組み合わせて、独自のポータル・サイトを作成可能だ。

 また先ごろ、日本の企業を意識して、日本のマイクロソフトが企画、開発したSharePoint向け追加テンプレートである「GroupBoardワークスペース」も発売された(マイクロソフトのGroupBoardワークスペースのホームページ)。このGroupBoardワークスペースには、行き先掲示板や電話メモ、回覧板などといった、日本の会社でよく使われる情報共有用のリスト/Webパーツがまとめられており、WSSに追加インストールすれば、SharePointベースの情報共有をすぐに開始できる。

「GroupBoardワークスペース」で作成したチーム・サイトの例
GroupBoardワークスペースを利用すれば、行き先掲示板や電話メモ、スケジュールなど、会社での典型的な情報共有をすぐに開始できる。画面はGroupBoardワークスペースをインストールした直後のサイト・ホームページ。ここから、必要なコンポーネントを取捨選択して独自のポータル・ページをデザインできる。

 本稿の目的は、WSSとGroupBoardという安価で身近なソフトウェアを利用して、実際にこれらをインストール、運用してみることで、SharePointテクノロジを理解し、その積極的な活用について検討するための一歩とすることだ。詳しくは以後で述べるが、SharePointはまだ新しいテクノロジであるためか、用語などがあまり整理されておらず、ドキュメントを読むだけでは内部構成を理解するのが難しい。本稿では、実際に利用して調査した結果も踏まえて、この点も整理していく。

【コラム】SharePointを知るための参考リンク

■Windows Server Insider

■マイクロソフト


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