64bitファイルシステム XFSの実装Linuxファイルシステム技術解説(7)(3/3 ページ)

» 2004年08月24日 00時00分 公開
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XFSの利用方法

 最後に、XFSを使う方法を紹介する。例では、Fedora Core 1環境でカーネル2.6.7を使用した。

 まず、カーネルがXFSをサポートしているかどうかを確認する。サポートしていない場合は、カーネルのコンフィグレーション時に「XFS filesystem support」を有効にして、カーネルの再構築を行う。

画面1 カーネルコンフィグレーションで「XFS filesystem support」を有効化 画面1 カーネルコンフィグレーションで「XFS filesystem support」を有効化

 また、XFSを使用するには、3つのシステムユーティリティを下記バージョン以降にアップデートしておく必要がある。

  • modutils-2.4.0
  • autoconf-2.13
  • e2fsprogs-devel-1.18

XFSコマンドツールのインストール

 カーネルのXFSサポートを有効にしたら、XFSコマンドツールをインストールする。XFSコマンドツールには、以下のようなものがある。

  • xfsdump
    xfsdumpパッケージは、xfsdumpやxfsrestore、XFSファイルシステムを管理するユーティリティなどを含んでいる。xfsdumpは、ファイルシステムのファイルを調べ、バックアップを取る必要があるファイルをディスクなどにコピーする。xfsrestoreは、ファイルシステムの完全なバックアップからファイルを修復する。

 上記の中で、XFSファイルシステムを扱う際に最低限必要なツールはxfsprogsである。

 例として、xfsprogsをRPMパッケージでインストールしてみる。

http://public.planetmirror.com/pub/sgi-oss/xfs/Release-1.2/cmd_rpms/SRPMS/からxfsprogs-2.3.5-1.src.rpmをダウンロードし、以下のコマンドを実行する。

rpm -ivh xfsprogs-2.3.5-1.i386.rpm

XFSファイルシステムの作成

 次に、XFSファイルシステムを作成する。XFSファイルシステムの作成は、ほかのLinuxファイルシステムと同様に、mkfsコマンドを使用する。

mkfs -t xfs /dev/<device_file>
または
mkfs.xfs /dev/<device_file>
mkfsコマンドの書式。<device_file>はXFSファイルシステムを作成するパーティション

# mkfs -t xfs /dev/hda6
meta-data=/dev/hda6        isize=256    agcount=8, agsize=142222 blks
data     =                 bsize=4096   blocks=1137772, imaxpct=25
         =                 sunit=0      swidth=0 blks, unwritten=0
naming   =version 2        bsize=4096
log      =internal log     bsize=4096   blocks=1200, version=1
         =                 sunit=0 blks
realtime =none             extsz=65536  blocks=0, rtextents=0
mkfsコマンドの実行例

XFSファイルシステムのマウント

 XFSファイルシステムをマウントするには、mountコマンドに-t xfsオプションを指定する。

mount -t xfs /dev/<device_file> /<mount_point>
mountコマンドの書式。<device_file>はXFSファイルシステムが存在するパーティション。<mount_point>はマウントする位置

# mount -t xfs /dev/hda6 /mnt/xfspart
mountコマンドの実行例

 dfコマンドで、XFSファイルシステムがマウントされていることを確認する。

# df -T

Filesystem    Type   1K-ブロック    使用   使用可 使用% マウント位置
/dev/hda3     ext3    14175560   2709904  10745568  21% /
/dev/hda2     ext3      102486     21679     75515  23% /boot
/dev/hda6      xfs     4546288       144   4546144   1% /mnt/xfs

/etc/fstabの編集

 システム起動時にXFSファイルシステムが自動的にマウントされるようにするため、/etc/fstabにXFSの設定を記述する。

LABEL=/              /                    ext3    defaults        1 1
LABEL=/boot          /boot                ext3    defaults        1 2
/dev/hda5            swap                 swap    defaults        0 0
/dev/hda6            /mnt/xfs             xfs     defaults        0 0

xfs_freezeコマンド

 xfs_freezeは、XFSファイルシステムへのアクセスを一時的に停止(停止解除)するコマンドである。この機能は、例えばLVM(論理ボリュームマネージャ)で構成されたボリューム(ディレクトリ)に対し、スナップショットを作成する際に用いる。

xfs_freeze [ -fu ] mount-point
xfs_freezeコマンドの書式

 -fオプションで、ファイルシステムを凍結する。このオプションを選択すると、実行中のトランザクションは完了するが、新たな書き込み操作は停止される。

 -uオプションで、ファイルシステムの凍結を解除する。ファイルシステムへのアクセスを再開し、ブロックされていた処理を完了する。

# xfs_mkfile 10k /mnt/xfs/test.txt ←10kbytesのファイルを作成する
# ls
test.txt
# xfs_freeze -f /mnt/xfs ←-fオプションで/mnt/xfsにマウントされているXFSファイルシステムへのアクセスを凍結
# rm /mnt/xfs/test.txt ←test.txtを削除
rm: remove 通常ファイル `/mnt/xfs/test.txt'? yes
xfs_freezeコマンドの実行例

 上記の例のように、rmコマンドは完了せず停止する。ここで、ターミナルをもう1つ立ち上げ、アクセスの停止を解除する。

# xfs_freeze -u /mnt/xfs ←-uオプションでXFSファイルシステムへのアクセス凍結を解除
# ls ←ファイルの削除が完了したことを確認

コラム スナップショット

 スナップショットとは、その時点におけるファイルのコピーをスナップショット領域に作成する機能で、バックアップなどの目的で用いられる。

 通常のファイルシステムの場合は、スナップショット作成時にファイルアクセスを停止させる必要がある。そのため、Sambaデーモンを停止させたり、OSをシングルユーザーモードに変更しなければならない。しかし、XFSを利用している場合はxfs_freezeコマンドを使うことで、一時的にファイルアクセスを停止してスナップショットを作成できる。つまり、XFSとLVMを組み合わせれば、Windows Server 2003と同じように業務運用中に(Sambaを止めずに)シャドーコピー(スナップショット)を作成できる。


xfs_infoコマンド

 XFSファイルシステムを作成したときと同じように、iノードやアロケーショングループのサイズなどの情報が得られる。

# xfs_info /mnt/xfs
meta-data=/mnt/xfs        isize=256    agcount=8, agsize=142222 blks
data     =                bsize=4096   blocks=1137772, imaxpct=25
         =                sunit=0      swidth=0 blks, unwritten=0
naming   =version 2       bsize=4096
log      =internal        bsize=4096   blocks=1200 version=1
         =                sunit=0 blks
realtime =none            extsz=65536  blocks=0, rtextents=0

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