第2回 Exchange Server 2003のインストール : 基礎から学ぶExchange Server 2003運用管理 (3/4 ページ)
[
松本美穂 ,
IT Training Studio ]
ここからは、実際にExchange Server 2003のインストールを行う手順を説明していく。
Exchange Serverをインストールするには、次のコンポーネントがインストールされている必要がある(サービスは開始されていなくてもよい)。
ASP.NET
World Wide Web Publishing Serviceサービス
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サービス
NNTP(Network News Transfer Protocol)サービス
これらのコンポーネントをインストールするには、コントロール・パネルの「プログラムの追加と削除」から行う。
コンポーネントのインストール Exchange Serverをインストールするには、あらかじめWindows Server OSに対して、IISと関連コンポーネントを導入しておく必要がある。コントロール・パネルの「プログラムの追加と削除」で「Windows コンポーネントの追加と削除」を実行し、「アプリケーション サーバー」でこれらのコンポーネントをインストールする。 (1) 「アプリケーション サーバー」のサブ・コンポーネントから「ASP.NET」を選択する。 (2) 「インターネット インフォメーション サービス(IIS)」のサブ・コンポーネントから「WWW(World Wide Web)サービス」「SMTP Service」「NNTP Service」を選択する。WWWサービスとASP.NETはOWA(Outlook Web Access)とOMA(Outlook Mobile Access)、SMTPサービスはSMTPメール送信、NNTPはニューズ・グループ機能を使う際に内部で利用される。
この手順ではExchange Serverを実際にインストールする。前述したようにExchange Serverのディレクトリ情報はActive Directoryと統合されているため、インストール中はActive Directoryのスキーマを拡張したり、Exchange Server用のドメイン・グループを作成したりする作業が行われる。このため、インストール作業を実行するユーザーは次のグループに属している必要がある。
Schema Adminsグループ
Enterprise Adminsグループ
Exchange ServerをインストールするマシンのAdministratorsグループ
フォレスト内のルート・ドメイン(最初にインストールしたドメイン)の管理者アカウント(Administrator)は、デフォルトでこれらのグループに属しているので、このアカウントを使ってインストールを実行するとよいだろう。以降では、ルート・ドメインのAdministratorアカウントでWindows Server 2003にログオンし、最初のExchange Serverをインストールするときの手順を画面ショットを交えて説明していく(別のアカウントで実行する方法については後述)。
まずは、Exchange Server 2003 のセットアップCDをCD-ROMドライブに挿入する。すると、次の画面が表示される(表示されない場合は「setup.exe」を実行する)。
インストールの最初のページ 「Exchangeデプロイメント・ツール」をクリックしてデプロイメント・ツールを起動する。 (1) ここをクリックしてインストールを開始する。
デプロイメント・ツールの最初のページ 「最初のExchange 2003サーバーの展開」をクリックして次のページへ進む。 (1) ここをクリックする。
実行する処理の選択ページ 「新しいExchange 2003のインストール」をクリックして次のページへ進む。 (1) ここをクリックする。
インストールの手順ページ このページではインストールが失敗しないようにするための推奨手順が一覧表示される。8つの手順が提示されるが、Active Directory環境における通常のDNS設定とネットワークが正常な状態であること、「Schema Admins」と「Enterprise Admins」グループのユーザーでインストールを実行していれば、(1) ~(7) の手順は省略して、(8) の「今すぐセットアップ・プログラムを実行」から行ってよい。その際、チェック・ボックスはチェックしてもしなくてもどちらでもよい。 (1) インストール先OSの確認。 (2) 手順1で説明した必須コンポーネント(NNTP、SMTP、WWW、ASP.NET)の確認。 (3) Windows Support Toolsのインストール。(4) の「DCDiag」と(5) の「NetDiag」を実行したい場合はインストールしておく。Windows Support Toolsは、Windows ServerのセットアップCD内の\Supportフォルダにある。 (4) DCDiag(Domain Controller Diagnostic Tool)の実行。ドメイン・コントローラを診断(Diagnostics)するためのコマンドライン・ツール。ドメイン・コントローラがDNS登録されているかどうかや実行中かどうかなどを確認できる。ドメイン・コントローラが原因でExchange Serverのインストールが失敗しないよう事前にチェックするためのツールである。 (5) NetDiag(Network Connectivity Tester)の実行。DNSサーバへの接続などネットワークの接続状況を診断するコマンドライン・ツール。ネットワークが原因でExchange Serverのインストールが失敗しないようにするためのツールである。 (6) ForestPrepの実行(省略しても(8) のステップで内部的に自動実行される。詳細は後述)。 (7) DomainPrepの実行(省略しても(8) のステップで内部的に自動実行される。詳細は後述)。 (8) 「今すぐセットアップ・プログラムを実行」をクリックすると、Exchange Serverインストール・ウィザードが起動する。
Exchange Serverインストール・ウィザードの最初のページ 「次へ」をクリックして次のページへ進む。
使用許諾契約書ページ 「同意します」をチェックして次のページへ進む。
コンポーネントの選択ページ ここでは、インストールするExchange Serverのコンポーネントを選択する。 (1) 「アクション」で「最小」を選択した場合は、管理ツールはインストールされず「Microsoft Exchangeメッセージングおよびコラボレーション・サービス」(Exchange Server本体)のみがインストールされる。「標準」を選択すると「Microsoft Exchange システム管理ツール」も追加される。「Microsoft Exchange 5.5 管理ツール」など、そのほかの機能を追加したい場合は「カスタム」を選択する。
インストールの種類ページ 既存の環境に旧バージョンのExchange 5.5が存在している場合以外は「新しいExchange組織を作成する」を選択する。
組織名ページ 64文字未満の任意の組織名(英数字)を入力する。
使用許諾契約書ページ すでに同意済みの「使用許諾契約書」はサーバ・ライセンスのページだが、こちらはExchange Serverに接続するためのクライアント・アクセス・ライセンス(CAL)の確認画面である(Exchange Serverは「接続クライアント数ライセンス」のみに対応)。
簡易管理グループ名ページ 管理グループ名(今後解説予定)に対する任意の簡易名(英数字)を入力する。
インストールするコンポーネントの確認ページ 「次へ」をクリックするとインストールが始まる。インストール時間は環境にもよるが30分程度の時間がかかる。
インストール中に表示される警告画面 この警告はPre-Windows 2000 Compatible Accessセキュリティ・グループが存在するため表示される。このグループはWindows NTなど下位互換のためのグループで、ドメイン内のすべてのユーザーとグループを読み取る権利を持っている。警告メッセージにある「不要なメンバ」とはEveryoneグループのことを指し、これを削除すればセキュリティを高められる。
インストール完了時に表示されるページ このページが表示されればインストールが正常に完了している。
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第2回 Exchange Server 2003のインストール