ここからは皆さんにとって最も肝心な、プログラミング言語としての面をクローズアップしていきます。大半の方が利用されているWindowsに準拠して開発方法を紹介します。
Javaプログラムの開発環境としては、最低限以下のものが必要になります。
J2SEは「Java 2 Platform, Standard Edition」の略です。
JDKには、開発に必要なコンパイラなどのソフトウェアと、Javaプログラムの実行環境JRE(Java Runtime Environment:クラスライブラリや、解釈・実行を担当するJVMなどのセット)が含まれています。
JDKはSun Developer NetworkのWebサイトから無償でダウンロードできます。
設定方法などはSun Developer Networkのインストールガイドで確認できます。
テキストエディタは、プログラムを記述するうえで必要になります。効率よく開発を行うための統合開発環境(IDE)も存在しますが、文法事項を一から学ぶのであれば簡易的なテキストエディタで十分です。無償で手に入る優れたテキストエディタも数多くあるので、ぜひご自分に合うものを探してください。手近で済ませるのであれば、お使いのPCにすでにインストールされているテキストエディタ(Windowsであればメモ帳など)でもプログラムを作成することができます。
無償でありながら、これだけの環境をそろえれば、実用的なネットワーク通信やデータベース接続なども可能です。このコストパフォーマンスの良さもJavaの魅力です。
各種ツールの設定が滞りなくできたでしょうか。それではソースコードの記述から実行までの手順を紹介します。
テキストエディタを開き、下記のプログラムを入力してください(ダウンロードも可能です)。
1 //User1(利用者1)クラスの定義 2 class User1{ 3 //mainメソッド(プログラムを開始する機能)の定義 4 public static void main(String[] args){ 5 //Vending(自動販売機)オブジェクトを作成 6 Vending drink = new Vending("Coffee", 130); 7 } 8 }
このプログラムは、自動販売機(Vending)とその利用者(User)をシミュレートしたものです。内容の解説は次回行います。
記述したものは、適当な場所にJavaのソースファイルとして保存します。Windowsであれば、ローカルディスク(C:)に保存すると扱いやすいです。
ここでは、C:に[practice]という名前のフォルダを作成して、そこに[User1.java]というファイル名で保存することにします。
ファイル名の「.java」は、このファイルがJavaのソースファイルであることを表す拡張子です。
このとき、ソースコード2行目の「class」というキーワードの後に記述した「User1」と保存するファイル名が、大文字・小文字の区別も含めて同一になるようにしてください。
保存されたソースファイルは、あくまでも人間が理解できるレベルで記述されたものです。実行するにはJavaの実行環境であるJVMが解釈できるように変換する必要があります。このコンパイル作業は、Windowsではコマンドプロンプトを利用して行います。
コマンドプロンプトを開くと、下記のようにコマンドの入力待ち状態になります(「User」の部分は設定によって異なります)。
C:\Documents and Settings\User>
これは、C:の[Documents and Settings]フォルダの中にある[User]フォルダのファイル、あるいはフォルダに対して何かコマンドを実行できる、ということを意味しています。今回作成したJavaのソースファイルはC:の[practice]フォルダにあるため、このままではコンパイルすることができません。よって、まずファイルが保存されている場所に移動する必要があります。
「cd」(チェンジディレクトリ)というコマンドを利用して下記のように入力すると、ファイルが保存されたフォルダに移動することができます。
C:\Documents and Settings\User>cd C:\practice
結果、コマンドプロンプト上での現在の場所は、下記のように表示されるはずです。
C:\practice>
今回のプログラムの実行には、もう1つのプログラムが必要です。
Vending.zip([Vending.java]というソースファイルを圧縮)をダウンロードして、[practice]フォルダに保存してください。[Vending.java]の内容は次回解説します。
次はソースコードをコンパイルするコマンドを実行します。コンパイルのコマンドは「javac」で、下記のように、コマンドに続けて対象のファイル名を拡張子まで含めた状態で入力します。
C:\practice>javac User1.java
このコマンドを実行すると(エラーが発生しなければ)、作成したJavaのソースファイルがコンパイルされ、「.class」という拡張子を持つファイルが生成されます。
このファイルは「クラスファイル」と呼ばれ、JVMが解釈できるバイトコード形式の実行可能ファイルになっています。
[practice]フォルダ内に[User1.class]と[Vending.class]というファイルが出来上がっているはずです。確認してください。
いよいよプログラムの実行です。JVMに対して生成されたクラスファイルの実行を依頼します。
実行のコマンドは「java」です。下記のように、コマンドに続けて対象のファイル名(クラスファイル名)を「.class」という拡張子を書かずに入力します。
C:\practice>java User1
このコマンドにより、インタープリタ(プログラムを逐次解釈しながら実行するソフトウェア)がクラスファイルを実行します。
正しく実行できた場合、下記のようにコマンドプロンプトに出力されるはずです。
Vending was constructed! Goods: Coffee Price: 130 yen
いかがでしょうか。Javaで実装されたソフトウェアの開発から実行までの手順は、規模の大小にかかわらず基本は同じです。しっかりと押さえておいてください。
次回は、今回実行したプログラムを解説して掘り下げ、Javaのアプリケーション開発における最も重要なファクター「オブジェクト指向」を見ていきましょう。
佐藤賢一郎
「Java/XML塾」講師。1974年東京都生まれ。一般企業に勤務後、2001年6月ケンソフトに入社。KEN IT Engineer School プログラムコースのインストラクターを担当。Webアプリケーション開発を経験した後に、同スクールにて企業向けの新人研修や個人向け研修の主任講師として従事。著書に『OMG認定 UML技術者資格試験対策問題集ファンダメンタル』(秀和システム刊)がある。
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