Windows OSでは、プリンタとの通信プロトコルとして、LPR以外に、標準TCP/IPポート・モニタが利用できる。これはLPRプロトコルを拡張したもので、詳細なプリンタ状態の確認や効率的なデータ転送が可能になっている。
対象OS:Windows 2000/Windows XP/Windows Server 2003
TIPS「LPR(LPD)プロトコルでプリンタを公開する」「LPRプロトコルでプリンタへ接続する」では、Windows OSにおけるLPRプロトコルを使ったプリンタの設定方法について述べた。Windows OSでサポートされている、プリンタとの接続プロトコルにはさまざまなものがあるが、一般的によく使われる「LPRプロトコル」のほかに、Windows OSでは「標準TCP/IPポート・モニタ」と呼ばれるポート・モニタが標準的に利用されている(「ポート・モニタ」とは、印刷データを送信するためのコンポーネントのこと)。本TIPSでは、この標準TCP/IPポート・モニタ(とLPRの違い)について解説する。
標準TCP/IPポート・モニタ(OSのコンポーネント名としては「Standard TCP/IP Port」という名称が利用されていることがある)は、LPRプロトコルに代わり、Windows 2000で導入された、ネットワーク・プリンタとの通信プロトコルである。LPRプロトコルに準じているが、その機能は拡張され、より詳細なエラー状態の通知などが行えるようになっている。
プリンタのプロパティ設定画面で[ポート]タブを選択すると、そのプリンタが使用しているポートが一覧表示されるが、標準TCP/IPポートを利用している場合は、次のような画面が表示される。
標準TCP/IPポート・モニタはLPRプロトコルの拡張であり、両者は似てはいるが、相互接続性はない。Windows OSや、主にパソコン向けのプリント・サーバでは標準TCP/IPポート・モニタで通信するのがよいが、UNIXやLinuxベースのコンピュータへ印刷データを送信する場合は、LPRプロトコルしか利用できないことも多い。
この2種類のプロトコルの違いをまとめると次のようになる。
名称 | LPR(LPD)プロトコル | 標準TCP/IPポート・モニタ |
---|---|---|
標準規格 | RFC1179で定義されている | RFCで定義されておらず、Windows OS独自 |
あて先ポート番号 | TCPの515番 | デフォルトでは9100番。LPRモードではTCPの515番 |
送信元ポート番号 | RFCでは721〜731番に限定。ただしこれでは同時に最大10コネクションしか利用できないので、この制限を外している実装も多い | 特に制約なし |
ポートのタイムアウト | 4分 | タイムアウトなし(スプール速度が遅くてもタイムアウトしない) |
エラーの通知 | LPRプロトコル中での簡単なエラー通知のみ | SNMPを利用した詳細なプリンタの状態などの確認が可能 |
送信データ | テキスト・モードかバイナリ・モードの2種類が選択可能 | バイナリ・モードのみ |
送信データ・サイズ | データ送信時に、先にデータ・サイズを送信する必要があり、そのためにスプール・ファイルを2度スキャンする必要がある | データ・サイズは送信しないので、1パスで送信可能 |
LPRと標準TCP/IPポートの違い |
通常は、特に理由がない限り、Windows OS同士や(標準TCP/IPポートをサポートした)プリント・サーバへの印刷には、LPRではなく、標準TCP/IPポートを利用するほうがよいだろう。なお、バイナリ・モードとテキスト・モードの違いについては、TIPS「lprコマンドでバイナリ・ファイルを印刷する」を参照していただきたい。
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