Recovery Managerのチューニング・ポイント集:Oracleバックアップ/リカバリ講座(10)(3/4 ページ)
Oracle SQLチューニング講座の第1回「パフォーマンス向上の最短コースを知る」のパフォーマンス・チューニング概要でも説明しましたが、バックアップでもその処理時間がシステム要件を満たしていれば、処理効率が悪くても特にチューニングする必要はありません。もちろんシステム構築時から要件を満たすために最大限のパフォーマンス・チューニングを行いたい場合や、例えば当初予想していたデータ量以上にデータが増え続けているシステムなどで、将来的にバックアップが許容時間内に終わらなくなってしまう場合などもあると思います。そこでここからはRMANのバックアップにおけるパフォーマンス・チューニングに関して説明していきます。
RMANによるバックアップでは、ディスクもしくはテープのI/O処理が大きなウエートを占めているため、まずそれぞれにおけるパフォーマンスの妥当性について確認する必要があります。
動的パフォーマンスビューのV$BACKUP_ASYNC_IO(非同期I/Oが使用されている場合)、V$BACKUP_SYNC_IO(同期I/Oが使用されている場合)を参照することで、RMANを介したバックアップ・デバイスへのスループットがどれくらいなのか、読み出し、書き出しのどちらにボトルネックがあるかを確認できます。
SQL> select type, filename,
2 to_char(open_time,'YYYY/MM/DD HH24:MI:SS') open_time,
3 to_char(close_time,'YYYY/MM/DD HH24:MI:SS') close_time,
4 elapsed_time,
5 effective_bytes_per_second e_b_p_s,long_waits/io_count lw_ic
6 from v$backup_async_io
7 order by type;
TYPE FILENAME
OPEN_TIME CLOSE_TIME ELAPSED_TIME E_B_P_S
LW_IC
---------- -------------------------------------------------------
-------------------- -------------------- ------------ ----------
----------
AGGREGATE
2006/12/18 19:31:41 2006/12/18 19:37:01 32000 1605632
0
AGGREGATE
2006/12/18 19:36:14 2006/12/18 19:36:15 100 7340032
0
INPUT /opt/app/oracle/oradata/v102/indx101.dbf
2006/12/18 19:31:50 2006/12/18 19:31:54 400 2621440
0
INPUT /opt/app/oracle/oradata/v102/undotbs01.dbf
2006/12/18 19:31:41 2006/12/18 19:37:01 32000 1540096
0
INPUT /opt/app/oracle/oradata/v102/sysaux01.dbf
2006/12/18 19:31:48 2006/12/18 19:35:54 24600 1065626
0
・・・
OUTPUT /opt/app/oracle/oraback/inc_db_2gi59hsu_1_1
2006/12/18 19:31:46 2006/12/18 19:35:54 24800 754226
.245810056
OUTPUT /opt/app/oracle/oraback/inc_db_2ei59hss_1_1
2006/12/18 19:31:40 2006/12/18 19:37:01 32100 1532823
.24893617
OUTPUT /opt/app/oracle/oraback/inc_db_2fi59hss_1_1
2006/12/18 19:31:42 2006/12/18 19:36:56 31400 1170099
.247863248
18行が選択されました。
SQL> |
リスト4 v$backup_async_ioからバックアップ時のパフォーマンスを確認する |
TYPE列が「INPUT」の場合はディスクからの読み込み時の処理、「OUTPUT」の場合はバックアップ・デバイスへの書き込み時の処理を表しており、処理速度を表す「EFFECTIVE_BYTES_PER_SECOND」列や、バックアップ時のI/Oのパフォーマンスを表す値(「IO_COUNT」列/「LONG_WAITS」列)を確認することで、どこにボトルネックがあるのかを見つける手掛かりになります。
リスト4を見ると、TYPE列が「OUTPUT」の「LW_IC」列の値が約「25%」となっています。一般的な目安としてこの値が定常的に「30%」を超えている場合には、書き込み時のI/O処理で問題がある可能性が考えられます(v$backup_async_ioとv$backup_sync_ioの詳細についてはマニュアル「Oracle Database リファレンス 10gリリース2(10.2)」を確認してください)。
RMANのバックアップにおいて、パフォーマンスの妥当性に問題があった場合には、以降で挙げるポイントを確認し、チューニングを進めていくことになります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.