以下に、「トランスポート・チャネル・サービス」の主なチューニング・パラメータを解説します。なお、以下はV6.1をベースにしており、V6.0.xでは画面が一部異なっております。
[Web コンテナー・トランスポート・チェーン]の設定画面では、[TCP インバウンド・チャネル][HTTP インバウンド・チャネル][Web コンテナー・インバウンド・チャネル]という3つのトランスポート・チャネルが設定できる画面へのリンクがあります。順に見ていきましょう。
3つのトランスポート・チャネルの設定の前にまず、スレッド・プールの設定について見てみましょう。「トランスポート・チャネル・サービス」は特定のHTTPポートに対して、スレッド・プールを割り当てられます。
例えば、HTTPのポート9080番を使用しているアプリケーションにはスレッド・プール1を割り当て、ポート9081番を使用している別アプリケーションにスレッド・プール2を割り当てられます。デフォルトでは、すべてのHTTPポートに対して「WebContainer」というスレッド・プールが割り当てられています。
アプリケーションへの同時アクセスを最適化するために、各スレッド・プールで設定するスレッド数を調整します。多くのケースにおいて、V6.xはV5.xと比較して、必要とするWebコンテナスレッド・プールサイズを小さく設定することにより性能向上を得られます。
次に紹介する[TCP インバウンド・チャネル]の設定画面でも、[スレッド・プール]は「WebContainer」と設定されています。
編集部注:DoS攻撃について詳しく知りたい読者は、セキュリティ用語事典の[DoS攻撃]をご参照ください
WAS 6.1では、多くのプラットフォームにおいて、Native AIO(Asynchronous I/O)機能を提供するようになりました。Native AIO機能は、パフォーマンスおよびスケーラビリティという面で、WAS V6.0で提供していたJavaのNew I/O APIよりも優れた性能を提供しています。
以下のプラットフォームには、IBM提供のネイティブ・ライブラリがWASに同梱されており、ネイティブなI/O機能を使用することによって、プラットフォーム特有の優位性を提供しています。
WAS 6.1 Native AIOの特徴としては、
などが挙げられます。
WAS V5.xの「HTTPトランスポート」とV6.0の「トランスポート・チャネル・サービス」では、ベースとなる技術が大きく異なっていることがご理解していただけたと思います。さらに、V6.0で採用されたNew I/O APIからより前進し、V6.1ではネイティブなAIO技術を取り入れることにより性能向上を行っております。
これらの違いは、管理コンソール上の設定パネルだけでは理解するのは容易ではありませんが、適切なチューニングを施すために必要となる知識ですので、正しく理解しておくべき内容といえます。
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日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所 アドバイザリー・リサーチャー
上野 憲一郎(うえの けんいちろう)
kenueno@jp.ibm.com
日本アイ・ビー・エムに入社後、システム・エンジニアとして10年ほど活動した後、米国IBMへ赴任。米国IBM Raleighソフトウェア開発研究所にて、WebSphere Application Server開発部門のパフォーマンス専門グループのメンバーとして活動。2003年に帰国後、IBM東京基礎研究所にて、XML、Web サービス、SOA関連技術の研究開発に従事。WebSphere Application Serverパフォーマンス専門家として、セミナーなどで講演も実施。
主な著書
「WebSphere V3.5 Handbook」(Prentice Hall)
主な訳書
「Webサービスプラットフォームアーキテクチャ」(エスアイビーアクセス)
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