RAC構築に不可欠なLinux OSの設定ポイントOracle SE RACで手軽に高可用性システム(2)(1/3 ページ)

Oracle 10gからStandard EditionでもRACシステムを構築できるようになった。成功の鍵は、SE RACならではの制限事項や落とし穴をうまく乗り越えること。そのための情報を提供しよう。(編集部)

» 2007年06月13日 00時00分 公開
[松下雅株式会社コーソル]

 前回「SE RACのメリット、デメリットをしっかり把握する」では、Oracle Real Application Clusters(以下、RAC)を導入する際の考慮事項について記しました。今回は、Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)にRACを導入する際に、OSで必要となる設定について触れたいと思います。

 具体的な手順は、オラクル社からリリースされているインストレーションガイドに記載されていますが、ここではその中でも注意が必要な設定や、それ以外でも推奨される設定について取り上げます。

Raw Deviceの構成 〜udev〜

 前回解説したように、Standard Edition RAC(以下、SE RAC)ではAutomatic Storage Management(以下、ASM)を使用します。ASMの登場によりCluster File Systemを用意する必要がなくなり、かつRaw Deviceの管理方法が激変しました。

 RACではこのASM以外にも、Raw Deviceを必要とする「Oracle Cluster Registry(以下、OCR)」と「Voting Disk」があり、Oracle Clusterwareの構成に必要となります。それぞれの役割をまとめておきましょう。

  • OCR
    Oracle Clusterwareが管理するリソース(インスタンスやVIP)や、管理に必要なパラメータ(稼働するノードや依存関係)を登録する。
  • Voting Disk(投票ディスク)
    RACを構成するサーバ間で異常が発生した際(Split Brain)、その解決のために使用する。

 このように、ASM、OCR、Voting Diskを構成するためにRaw Deviceを使用しますが、RHEL 4.0から「udev」という管理方法が登場し、少々設定方法が変わりました。

 udevは、デバイスファイルの格納先である/devディレクトリを管理する手法です。そもそもRHELでは、OSを再起動する際にデバイスファイルが再構成されます。その際udevでは、Raw Deviceの所有者や所有グループがrootとなるように初期設定がされています。ASM、OCR、Voting DiskはRACを管理するユーザー・グループが所有する必要があるので、udevに設定を加える必要があります。

図1 udevのデフォルト設定とカスタム設定 図1 udevのデフォルト設定とカスタム設定

 udevのパーミッションの設定は、デフォルトでは/etc/udev/permissions.d/50-udev.permissionsファイルに記載されています。しかし、そのファイルはOSが作成するものであり、ユーザー指定の設定は別ファイルへの記載が推奨されます。新たに設定ファイルを作成する際、2点ほど注意することがあります。

  1. /etc/udev/permissions.dディレクトリに作成すること
  2. ファイル名の最後に「.permissions」を付けること

 では、実際に設定する内容を記載します(リスト1)。ここでは「10-oracle.permissions」というファイルを作成し、表1のようにRACを構成することを想定します。

Oracleインストールユーザー oracle
Oracleインストールグループ oinstall
OCRとVoting Disk /dev/raw/raw1〜5
ASM Diskgroup /dev/raw/raw6〜8
表1 udevに加えるカスタム設定の内容
raw/raw[1-5]:root:oinstall:0640
raw/raw[6-8]:oracle:oinstall:0660
リスト1 /etc/udev/permissions.d/10-oracle.permissionsの記述

 ファイルを作成したら、udevstartコマンドを実行します。ユーザーが追加/変更した設定はudevに通知する必要があり、udevstartコマンドがこれを行います。OS起動時に/etc/rc.d/rc.sysinitの中でも実行されますが、udev設定ファイルを作成/編集する際の一連の流れとして実行しておきます(リスト2)。

# udevstart
リスト2 udevstartコマンドの実行

 その後OSを再起動して、設定が反映されているか確認します。反映されていなければ、設定を見直します

ここではudevの解説のため、Raw Deviceの作成方法は割愛しています。実際には事前にRaw DeviceのServiceを起動し、Raw Deviceを作成しておく必要があります。


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