Oracle 10gからStandard EditionでもRACシステムを構築できるようになった。成功の鍵は、SE RACならではの制限事項や落とし穴をうまく乗り越えること。そのための情報を提供しよう。(編集部)
前回「SE RACのメリット、デメリットをしっかり把握する」では、Oracle Real Application Clusters(以下、RAC)を導入する際の考慮事項について記しました。今回は、Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)にRACを導入する際に、OSで必要となる設定について触れたいと思います。
具体的な手順は、オラクル社からリリースされているインストレーションガイドに記載されていますが、ここではその中でも注意が必要な設定や、それ以外でも推奨される設定について取り上げます。
前回解説したように、Standard Edition RAC(以下、SE RAC)ではAutomatic Storage Management(以下、ASM)を使用します。ASMの登場によりCluster File Systemを用意する必要がなくなり、かつRaw Deviceの管理方法が激変しました。
RACではこのASM以外にも、Raw Deviceを必要とする「Oracle Cluster Registry(以下、OCR)」と「Voting Disk」があり、Oracle Clusterwareの構成に必要となります。それぞれの役割をまとめておきましょう。
このように、ASM、OCR、Voting Diskを構成するためにRaw Deviceを使用しますが、RHEL 4.0から「udev」という管理方法が登場し、少々設定方法が変わりました。
udevは、デバイスファイルの格納先である/devディレクトリを管理する手法です。そもそもRHELでは、OSを再起動する際にデバイスファイルが再構成されます。その際udevでは、Raw Deviceの所有者や所有グループがrootとなるように初期設定がされています。ASM、OCR、Voting DiskはRACを管理するユーザー・グループが所有する必要があるので、udevに設定を加える必要があります。
udevのパーミッションの設定は、デフォルトでは/etc/udev/permissions.d/50-udev.permissionsファイルに記載されています。しかし、そのファイルはOSが作成するものであり、ユーザー指定の設定は別ファイルへの記載が推奨されます。新たに設定ファイルを作成する際、2点ほど注意することがあります。
では、実際に設定する内容を記載します(リスト1)。ここでは「10-oracle.permissions」というファイルを作成し、表1のようにRACを構成することを想定します。
Oracleインストールユーザー | oracle |
---|---|
Oracleインストールグループ | oinstall |
OCRとVoting Disk | /dev/raw/raw1〜5 |
ASM Diskgroup | /dev/raw/raw6〜8 |
表1 udevに加えるカスタム設定の内容 |
raw/raw[1-5]:root:oinstall:0640 |
リスト1 /etc/udev/permissions.d/10-oracle.permissionsの記述 |
ファイルを作成したら、udevstartコマンドを実行します。ユーザーが追加/変更した設定はudevに通知する必要があり、udevstartコマンドがこれを行います。OS起動時に/etc/rc.d/rc.sysinitの中でも実行されますが、udev設定ファイルを作成/編集する際の一連の流れとして実行しておきます(リスト2)。
# udevstart |
リスト2 udevstartコマンドの実行 |
その後OSを再起動して、設定が反映されているか確認します。反映されていなければ、設定を見直します注。
注:ここではudevの解説のため、Raw Deviceの作成方法は割愛しています。実際には事前にRaw DeviceのServiceを起動し、Raw Deviceを作成しておく必要があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.