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» 2007年07月11日 00時00分 公開

よく考えたら、いまの会社でいいみたい転職活動、本当にあったこんなこと(10)(1/2 ページ)

多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。

[藤本健,アデコ]

 転職を考えて実際の行動に移した後、転職活動の勢いにまかせて、そのまま会社を辞めてしまう人。一度冷静になり、転職するべきかいまの会社にとどまるべきか考える人。どちらの人が得をするかは、長い目で見れば明らかでしょう。

 今回は、会社に対するちょっとした不満から転職を考えたものの、結局転職を思いとどまった2人の事例についてお話ししたいと思います。

Javaで開発がしたいのに

 大川さん(仮名)は26歳。私立大学の情報学部を卒業後、中堅ソフトハウスであるA社に入社して4年目のプログラマです。メーカーに常駐し、生産システムの開発を担当していました。

 独学でJavaを勉強しながら、今後いろいろな案件に携わり、将来はプロジェクトマネージャとして活躍することを夢見る大川さん。常駐先では人間関係も良好で、これといって不満はありませんでした。

 しかし大川さんは、自社には不満を持っていました。自社が請け負う案件はC言語やVisual Basicのものが中心で、なかなか自分の希望であるJavaにかかわる仕事ができないと感じていたのです。自社にはJavaでの開発案件は少なく、あまり積極的に受注しているようにも見えませんでした。そのため、仕事に面白みを感じられなくなっていたのです。

 「この会社にいると、自分がしたい仕事ができなくなるのでは?」。入社3年目を迎えるころから、大川さんは転職を考え始めました。

上司の口から思いがけない言葉が

 大川さんは転職サイトに登録し、転職情報を収集しました。そんな中で私は大川さんとお会いしたのです。大川さんの転職理由は明確でした。「Javaの開発ができる企業に転職したい」、この1点でした。

 私はJavaでの開発を主に行っている企業を何社かご紹介し、大川さんは転職活動を始めました。選考はおおむね順調に進み、結果として1社から内定を得ることができました。「これで、Javaで開発ができる」。大川さんは喜び、この企業に入社する決意をしたのです。

 それから大川さんは、上司に退職の話を持ち掛けることにしました。

 客先に常駐していると、自社の上司とはなかなか話す機会がないこともあります。大川さんの場合はまさにその状態で、自分のことがどう評価されているかさえ分かっていませんでした。なのでいきなり「退職します!」という前に、今後どういうビジョンを持って案件を取りにいくのか聞いてみることにしました。それを聞いた後でいまの不満を話し、退職の意思を伝えることにしようと思ったのです。

 すると、思いもよらぬ話が上司の口から出てきました。「Java系の開発の仕事が取れたよ。そのプロジェクトに加わらないか」。上司は大川さんのスキルを評価し、今後の希望についても考えてくれていました。

 会社はしっかり大川さんを見ていたのです。逆に大川さんの方が、自分の会社とのコミュニケーションを取れていなかったのです。

 大川さんはプロジェクトの詳細な内容を上司から聞き、そのときは転職の意思を伝えずに、もう一度じっくりと考えました。結果、この環境なら無理に辞めなくてもスキルアップができるのではないかと思い、会社にとどまる決意をしました。

 大川さんは内定を辞退し、現在も元の会社で頑張っています。

 続いて、もう1人の事例をお話ししましょう。

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