実は現行仕様で拡張機能が1つあります。それはOpenID Simple Registration Extension 1.0です。
この拡張機能はEnd Userの登録情報を照会する機能で、実際にConsumerがEnd UserをIdPのエンドポイントURLにリダイレクトさせる際に所定のクエリーパラメータを追加しリクエストを送り、認証手続きを行い再びリダイレクトでConsumerサイトに戻ってきたときのURLに含まれるクエリパラメータの一部として返ってきます。
このリダイレクトURLのクエリパラメータに含める事ができる値として、
があります。
IdPのエンドポイントURLに対するリダイレクト時に、どのような項目を照会したいかConsumerは選択する事ができますが、End Userは認証結果だけ伝え、この照会要求だけ拒否するといった事もできます。
この機能は、Web上のサービスによくあるユーザー登録フォームなどで使われることを想定しています。
特に入力項目が多い場合、毎回使用するようなプロフィールデータに関しては、あらかじめどこかのIdPに登録済みのプロフィールを参照し、適宜フォームを埋めれば済む話です。この機能だけでも十分OpenIDを導入するメリットがあると思います。
次回は実際にEnd UserとConsumer、そしてIdPとの間で、この手続きが具体的にどのように行われているかについて解説します。
@IT編集部
宮田 健
2007年7月19日、OpenID提唱者の1人である米ベリサイン デビッド・リコードン(David Recordon)氏が来日しました。すでにNewsInsightでもインタビューの模様をお伝えしていますが、そこでは取り上げられなかった、より技術的な話題をご紹介します。
——OpenIDの次期仕様ではURLだけではなく、新しいリソースを識別の仕様、XRI(Extensible Resource Identifier)を利用するとお聞きしていますが、このねらいは?
リコードン氏 OpenID 2.0はURLだけではなく、XRIもサポートする予定です。XRIは利用者にとってシンプルでユーザーフレンドリーな表記を提供できるため、よりOpenIDが利用しやすくなるでしょう。
XRIを採用することで、OpenIDで自分の名前と同じような表記ができるようになります。URLがMACアドレスなら、XRIではIPアドレスというような関係になるのではないかと思います。またXRI採用により、IDのポータビリティやセキュリティも機能追加がされていく予定です。
OpenIDでのXRI利用については、今後もXRIプロバイダと話し合っていく予定です。
——OpenIDの仕様の中に、アクセスコントロールの概念が追加される可能性は?
リコードン氏 アクセスコントロールのためにOpenIDの仕様を変える必要はないと考えています。なぜなら、OpenIDのアクセスコントロールはアプリケーション側で作り込むことができるからです。
例えばGoogleドキュメントのようなオンライン文書を誰かと共有したい場合、共有したい相手にメールを送って、相手がGoogleアカウントを持っていればそれを利用して、もし無ければアカウントを作ってもらって共有します。これはまだ存在しない仕組みですが、もしこれがOpenID対応となっていれば、相手のOpenIDを「許可する」とすればいいことになります。シンプルでしょう? これが一種のアカウントコントロールのかたちになるのではないでしょうか。ぜひ実現して欲しいと思っています。
——OpenIDの現仕様から“ドラフト”の文字が無くなるのはいつごろ?
リコードン氏 はっきりとした日は分かりませんね(笑)。しかし、すでに仕様は実質的に最終版となっており、現仕様をもとに大手プロバイダとも協業しているところです。
山口 徹(やまぐち とおる)
サイボウズ・ラボ株式会社のプログラマー。
バーテンダーからIT業界に転身後、様々なWeb制作を行い、大規模コミュニティサイトの開発・運用を経て、現在は研究開発の日々。Perl使い。
Perlを中心とした開発のノウハウやネタをShibuya Perl Mongersのイベント等で発表するなど講演活動も行う。
個人の開発日記は「Yet Another Hackadelic」、仕事のブログは「log4ZIGOROu」
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