5分で絶対に分かるSIP5分で絶対に分かる(4/5 ページ)

» 2007年11月16日 00時00分 公開
[佐藤和紀株式会社ソフトフロント]

SIPがいま抱える問題

 クライアント対サーバだけであったこれまでのインターネット通信のありようを変え、多くの可能性を秘めるSIPですが、弱点もあります。

 その1つが相互接続性という問題です。SIPの特徴である柔軟性・拡張性の高さ故に、あいまい性があり、多くの拡張が存在しメーカーや製品が異なると正常に機能しない場合があります。SIPを規定したIETFでは現在、草案段階のものを含めると約190もの拡張規格が存在する状況となっています。業界ではこのような状況に対応するために、海外ではSIPitや日本においてはVoIP推進協議会での相互接続試験といった活動により、SIPベンダが集まって製品の相互試験を行い、問題の解決に努めています。

 また、SIPはNATとの相性が良くないという問題もあります。SIPは、RTPのIPアドレス情報などをSDPとしてメッセージ・ボディに含めて送信しますが、NATルータはパケットのIPヘッダのみを変換するので、このSDP情報の中身までは変換されません。従って、NAT環境下でSIPを使用すると、“自分の音は相手に聞こえるが相手の声は聞こえない”や“音がまったく聞こえない”、そもそも“着信できない”など、ネットワーク構成によってさまざまな問題が発生します。

 現状ではすべてのNAT構成に100%対応できる技術は存在せず、UPnPやSTUN、TURNといった“NAT越え”の技術や、RTPの“中継装置”をインターネット上に設置するなどの対応を組み合わせて、NAT問題を回避しています。

NAT環境ではまだ課題が残る NAT環境ではまだ課題が残る

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。