ウィジェットは機能の追加・削除がとても手軽にできます。一般的なデスクトップ・アプリケーションは「ソフトのダウンロード」→「解凍」→「インストール」→「起動・設定」といった手順が当たり前です。しかし、ウィジェットを使うと、ダウンロードサイトからインストールしたいものを見つけ、「追加」のボタンを押せば導入されます(Windows VistaやMac OS X 10.4以降以外ですと、あらかじめ実行環境をインストールしておく必要はありますが)。
アンインストールもボタン一発で手軽にできます。レジストリやプログラムフォルダをいじられることなく、機能を追加したり消すことができます。
新しい機能を搭載したウィジェットが日々リリースされています。Googleのウィジェットの例ですが、時計やシステム監視といった定番のものから、悩みや選択に迷ったときにYes/Noの答えを出してくれる「AnswerBall」や数分ごとにヨガのポーズを教えてくれる「Desktop Yoga」といったユニークなものもあります。
新しく開発されたウィジェットはすべて1カ所のWebサイトに集められ、機能別に分類され公開されています。なので、自分が欲しいウィジェットを楽に探すことができるのも魅力の1つですね。
後述しますが、ウィジェットの開発は手軽にできます。開発用キットやツールを購入しなくてもウィジェットを作れます。開発が容易にできるため、多くのウィジェットがリリースされているのです。
ウィジェットと似たようなものとして、「アプレット」(ここでは、Javaアプレット以外も含みます)がありますが、アプレット類は無骨なデザインが多く、正直なところあまり万人受けするものではないように思います。その点ウィジェットは、機能はもちろん素晴らしいデザインのものが多くあります。
いろいろなウィジェットサービスが提供されていますが、無料で利用でできるものが多いです(もちろん、Windows VistaやMac OS X 10.4以降のウィジェットは有料のOSが必要ですが)。
無料で利用できるからといって、使用しているときに広告が表示されたり頻繁にアンケートが来ることも、いまのところはあまりありませんが、広告を表示させる仕組みは今後増える気配があります(参考「『検索連動だけがAdWordsではない』――リッチ化するGoogle広告」)。
以上のように、ウィジェットの利点をいろいろと挙げてみました。ウィジェットを使えば、より多くの情報・知識を手間や時間をかけずに得られることが、お分かりになったと思います。
先ほど「簡単にウィジェットが開発できる」と書きましたが、ウィジェットはどのように開発され、動いているのでしょうか? さまざまなWebサイトからウィジェットがリリースされていますが、実は基本となる仕組みはどれもほぼ同じだったりします。
ウィジェットの定義はいろいろとありますが、これらの仕組みは多くのウィジェットにも共通するものです(FlashやJavaなど違う仕組みのものもいくつかあります)。
JavaScriptでプログラムが書かれ、XMLやHTML、CSSが表示部分で使われ、サーバとは非同期通信でデータのやりとりをしている…… なんだかこの組み合わせは聞いたことがありませんか? そう、以前この連載で解説をした「Ajax」と同じですね! 実はウィジェットと「Google Map」は見た目が違うだけで、仕組みは同じだったりします。
JavaScriptやXML、HTML、CSSはテキストエディタがあればすぐに開発ができてしまう言語です。なので、開発ツールや環境を購入/導入しなくてもウィジェットを作ることができるのです。
各ウィジェットサービスは開発に関していろいろとチュートリアルやサポートが公開しているので、興味ある人はそれらを見てすぐにチャンレンジできます。空いた時間を利用して試してみてはいかがでしょうか。
さて、現在いろいろな企業/団体がウィジェットを提供し、どんどん普及をしていますが、なぜここまで急にウィジェットが広がっていったのか? その背景について考えてみましょう。
Mac OS X v10.4 (Tiger)のときにウィジェットである「Dashboard」が搭載され多くの人がウィジェットの存在を知りました。そして、Windows Vistaでウィジェットが標準装備されたことで、「Vistaの新機能の1つ」として注目され、MacユーザーだけでなくWindows Vistaに触れたユーザーはウィジェットの便利さを知りました。
前述のとおり、ウィジェットは主にJavaScript、XML、HTMLといった技術で動いています。これらの技術はWeb 2.0の1つとしてブームを呼びました。その際に多くのエンジニアがWeb 2.0関連の技術に興味を持ち、JavaScriptやXMLを扱う開発者が増えました。その結果、JavaScriptやXMLを使っているウィジェットは、技術者たちにとって受け入れられやすいツールといえます。
ウィジェットはその性質上、基本的には常にデスクトップの画面上で表示されます(Mac OS Xの「Dashboard」など違うものもありますが)。いくら小さいとはいえ、15や17インチのモニタではウィジェットのスペースは邪魔です。
しかし、近年ワイド画面を採用した液晶モニタが増え、以前に比べて左右のサイズが大きくなっています。その結果、ウィジェットを常に画面に表示させていてもそれほど邪魔にはなりません。
ウィジェットは常にインターネットとデータ通信して、情報を更新しています。そのため、常時接続環境が必須です。10年ほど前のダイヤルアップ全盛期では、常時接続は難しかったのですが、ADSLや光接続がこれだけ普及した環境もウィジェットを利用するには適しています。
いろいろな機能を持ったウィジェットが続々と開発され、初心者でもボタン一発でインストールできる手軽さは魅力的です。また、PCのリソースをあまり消費せず、あまりスペックに左右されすに動くのも、売りの1つといえます。
続いて次ページからは、ウィジェット実行環境をいろいろ紹介していきます。いろいろあり過ぎて目移りしてしまいます。
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