数値の小数点以下の端数を切り捨てるにはMathクラス(System名前空間)の静的メソッドFloorを使う。切り上げるには静的メソッドCeilingを使う。C#およびVBでの使い方を解説する。
数値の小数点以下の端数を切り捨てるにはMathクラス(System名前空間)の静的メソッドFloorを使い、切り上げるには静的メソッドCeilingを使う。
ちなみに、“Floor”は「床」を意味し、“Ceiling”は「天井」を意味する英単語だ。そのイメージから、端数をより小さい値に切り捨てるならFloorメソッド、より大きい値に切り上げるならCeilingメソッドと覚えておけばよいだろう。
本稿ではこれらのメソッドを利用する方法を紹介する。
そのMath.Floor/Math.Ceilingメソッドのシグネチャは次のとおりだ。
Math.Floor (Decimal)
Math.Ceiling (Decimal)
第1パラメータには切り捨て/切り上げを行うDecimal型*1もしくはDouble型の数値を指定する。
戻り値は、切り捨て/切り上げられたDecimal型もしくはDouble型の整数値となる。
*1 .NET Framework 2.0以降ではDecimal型が使えるが、.NET Framework 1.xでは常にDouble型を使う必要がある。
次のコードはMath.Floor/Math.Ceilingメソッドを使用したコンソール・アプリケーションのサンプル・プログラムである。このプログラムでは「正の数値の切り捨て/切り上げ」を行っている。
using System;
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 正の数値の「切り捨て/切り上げ」
Console.WriteLine("正の数値の切り捨て/切り上げ");
decimal plusFloor15 = Math.Floor(1.5m);
Console.WriteLine(plusFloor15); // 出力:1
decimal plusCeiling15 = Math.Ceiling(1.5m);
Console.WriteLine(plusCeiling15); // 出力:2
}
}
Module Module1
Sub Main()
' 正の数値の「切り捨て/切り上げ」
Console.WriteLine("正の数値の切り捨て/切り上げ")
Dim plusFloor15 As Decimal = Math.Floor(1.5D)
Console.WriteLine(plusFloor15) ' 出力:1
Dim plusCeiling15 As Decimal = Math.Ceiling(1.5D)
Console.WriteLine(plusCeiling15) ' 出力:2
End Sub
End Module
Math.Floor/Math.Ceilingメソッドは、「TIPS:数値を四捨五入するには?」で紹介したMath.Roundメソッドと異なり「小数点第何位までを求めるか」という指定ができない。つまり小数点第2位以下の位で数値の切り捨て/切り上げを行うことはできず、常に整数値に切り捨て/切り上げが行われる。
そこで、例えば小数点第2位で切り捨て/切り上げしたい場合には、いったん数値を10倍して小数点の位置を動かしたうえで切り捨て/切り上げを行い、その後10で割って小数点の位置を戻す、というような小数点のけたをずらす処理が必要となる。例えば次のコードのようになる。
// 小数点第2位で「正の数値」の切り捨て/切り上げ
decimal dotAlign = 1.25m;
dotAlign *= 10; // 小数点の位置を右に1けたずらす(12.5m)
dotAlign = Math.Floor(dotAlign); // (12.0m)
dotAlign /= 10; // 小数点の位置を左に1けた戻す (1.20m)
Console.WriteLine(dotAlign); // 出力:1.2
' 小数点第2位で「正の数値」の切り捨て/切り上げ
Dim dotAlign As Decimal = 1.25D
dotAlign *= 10 ' 小数点の位置を右に1けたずらす(12.5D)
dotAlign = Math.Floor(dotAlign) ' (12.0D)
dotAlign /= 10 ' 小数点の位置を左に1けた戻す (1.20D)
Console.WriteLine(dotAlign) ' 出力:1.2
最後に「負」の数値の端数を切り捨て/切り上げを行った場合の例を示しておこう。
// 「負の数値」の切り捨て/切り上げ
Console.WriteLine("負の数値の切り捨て/切り上げ");
decimal minusFloor15 = Math.Floor(-1.5m);
Console.WriteLine(minusFloor15); // 出力:-2
decimal minusCeiling15 = Math.Ceiling(-1.5m);
Console.WriteLine(minusCeiling15); // 出力:-1
' 「負の数値」の切り捨て/切り上げ
Console.WriteLine("負の数値の切り捨て/切り上げ")
Dim minusFloor15 As Decimal = Math.Floor(-1.5D)
Console.WriteLine(minusFloor15) ' 出力:-2
Dim minusCeiling15 As Decimal = Math.Ceiling(-1.5D)
Console.WriteLine(minusCeiling15) ' 出力:-1
このコードの実行結果を見ると分かるように、負の数値の「-1.5」を切り捨てると(Floor)、「-2」という値が得られ、切り上げると(Ceiling)「-1」という値が得られる。
カテゴリ:クラス・ライブラリ 処理対象:数値関数
使用ライブラリ:Mathクラス(System名前空間)
使用ライブラリ:Double構造体(System名前空間)
使用ライブラリ:Decimal構造体(System名前空間)
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