本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。CCNAは、2007年12月に改訂されたばかりで、2008年1月現在、新試験の情報がまだ少ない状況です。よって本連載は、改訂前の試験(640-801J)で解説をしますが、新試験の解説が可能になり次第、新試験(640-802J)も含めて解説していきます。
前回の記事「LANの基礎を丸かじり」では、LANの伝送技術や規格、ケーブル、接続形態などを学習しました。今回は、ネットワークでデータを送受信する際に起こる、“データの衝突”を中心に解説します。データを衝突させずに送るための通信方式、データの衝突が発生する範囲、ブロードキャストが届く範囲に注目して見ていきましょう。
ネットワーク上にデータを送信する場合に従うルールのことを「アクセス制御方式」といい、Ethernet環境では、「CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection:キャリア検出多重アクセス/衝突検出)」という方式を使用します。データを送信したいコンピュータはケーブルの通信状況を監視し(Carrier Sense)、ケーブルが空くと送信を開始します。このとき、もし複数のコンピュータが同時に送信を開始するとケーブル内でデータが衝突して壊れるので(Collision Detection)、両者は送信を中止し、ランダムに時間を待って送信を再開します。この方法に従うことで、1本のケーブルを複数のコンピュータが共有して、互いに通信する(Multiple Access)ことができます。
データが衝突することを「コリジョン」と呼び、CSMA/CD方式は、バス型のトポロジでは同軸ケーブル上の電圧の変化でコリジョンが検出されます。同軸ケーブル上のMAU(Media Attachment Unit)やトランシーバによって衝突検出が行われます。
「半二重(half duplex)」とは、双方向通信において、同時に双方からデータを送信したり、受信したりすることができず、時間を区切って片方向からの送信しかできない通信方式のことです。双方向にデータをやりとりするためには、定期的に通信の向きを切り替えて対応することになります。ハブを使用したスター型のトポロジでは、ハブの内部がバス型の構造のため、10BASE2や10BASE5の同軸ケーブルと同じようにコリジョン(データの衝突)が発生します。同軸ケーブルに接続したMAUやトランシーバの代わりに、ハブに内蔵されたトランシーバ機能がコリジョンを検出します。
つまり、半二重通信の場合は送信と受信を同時に行うことができません。また、ハブに接続されたLAN環境の場合、ハブに接続されたコンピュータでネットワーク上の帯域を共有するため、1台のPCで使用できる帯域幅は台数に応じて少なくなります。
そこで、スター型のトポロジでスイッチを使用すると、スイッチ内のバッファの使用により、送信と受信を同時に行うことが可能になります。この送信と受信が同時に行える通信方式が「全二重(Full duplex)」です。スイッチの場合、スイッチに接続されたコンピュータの接続形態が送信元と受信先で1対1になるポイントツーポイント接続になるためです。ほかのコンピュータと、ケーブルを共有せずに帯域を占有できるよう構成できます。
UTPケーブルを使用してルータやスイッチ、ハブなどのネットワークデバイスを接続する場合、全二重方式で適切に動作させるために正しいケーブルを選択する必要があります。通常、OSI参照モデルで同じ層に属するデバイスはクロスケーブルで接続し、異なる層の場合はストレートケーブルで接続します。例外として、物理層とデータリンク層(ハブとスイッチ)やネットワーク層以上の層(ルータとPC)などはクロスケーブルで接続します。
クロスケーブルで接続することができる組み合わせとして正しいものを2つ選択しなさい。
a.PCとスイッチ
b.ルータとPC
c.PCとハブ
d.ルータとルータe.ルータとスイッチ
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