私は関谷さんに、職務経歴書の改良を提案しました。
「関谷さん、この職務経歴書ですが、より良いものにできると思いますよ。やってみましょう」
「そうですか……。具体的には、どのように直せばいいでしょうか」
「せっかくさまざまな経験をお持ちなのですから、そのことを詳しく書き込みましょう。その際、今後希望されているのはインフラ系の業務ですから、『業務内容』欄でそのスキルを強調しましょう。『自己PR』欄にも、希望職種に合致した内容を書くようにするんです」
改良のポイントをまとめると、下記のようになります。
これに基づき修正したものが、図2の職務経歴書です。
(Wordファイルのサンプル)
ぐっとアピール力を高めた職務経歴書で、いよいよ企業へ応募します。前回、転職サイト経由で応募した企業よりひと回り大きいSIerを含め、5社の企業に応募を行いました。今度こそ、関谷さんの転職活動は非常に順調に進み、5社とも面接を受けることができました。
その後も順調に選考をクリアし、5社のうち、2社から内定を獲得。最終的に関谷さんは、大規模なサーバ構築からネットワークまでを担当できる、金融系のユーザー系システム開発会社に入社することを決めました。
このように、職務経歴書の書き方1つで、書類選考の状況は大きく左右されます。手を抜かず工夫することが必要です。
特に経験の浅い若手や、キャリアチェンジやキャリアアップを考えている人にとって、職務経歴書の重要度はさらに高くなると思います。
職務経歴書の書き方に、特に決まりはありません。重要なのは今回解説したように、応募する企業の求人を理解し、自分がその求人や企業の特色にマッチしていることを、企業の担当者に伝えられる内容にすることだと思います。
これから企業に応募しようと考えている人は、もう一度その点に留意し、職務経歴書を作成することをお勧めします。身近な友人に意見を求めたり、関谷さんのように人材紹介会社に相談するのもよいかもしれません。
アデコ 人材紹介サービス部 シニアコンサルタント
人事系コンサルティング会社にて人事採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに従事。その後、IT専門の人材サーチ会社にてITコンサルタントやSEを中心とした人材のキャリアコンサルタントを経験、現職に至る。これまで、IT業界を中心に3000名以上の転職支援を行った実績あり。現在、@ITジョブエージェントのパートナーとしても活躍中。
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