PMの人間力が試される、「人的資源マネジメント」メンバーに贈るプロマネ基礎講座(7)(2/3 ページ)

» 2008年05月29日 00時00分 公開
[田中亮グローバル ナレッジ ネットワーク]

プロジェクト・チームのマネジメント 〜「プロジェクト・チームのマネジメント」プロセス(第9章4項)

 プロジェクトマネージャは、プロジェクトの期間を通じて、チームがより良いパフォーマンスを挙げているかを確認し、必要に応じて是正処置を取る必要があります。そのための活動を定義したのが「プロジェクト・チームのマネジメント」プロセスです。

 プロジェクトの活動はさまざまな文化、思想、バックグラウンドを持ったメンバーが集まって行いますので、意見の対立(コンフリクト)が発生することがあります。基本的に対立は当事者同士で解消することが望ましいため、プロジェクトマネージャは手を入れる必要はありませんが、対立関係が大きくなった場合に、適切な方法を用いて対立を解消する必要があります。

 対立解消の方法には、「強制」「鎮静」「撤回」「妥協」「対峙(たいじ)」などがあります。以下にこれらの解決法の概要を説明します(表2)。

解決方法 概要
強制(Forcing) 例えばプロジェクトマネージャなど、権力を持って入る人が一方の解決法を強制します
鎮静(Smoothing) 同意していない点に目をつむり、2つの意見の共通部分を強調して対立の解消を行う方法です。一見解決したように見えますが、対立が再燃する可能性があります
撤回(Withdrawal) 当事者の一方が自分の意見を取り下げて、対立を解消する方法です
妥協(Compromising) 双方が譲歩して解決点を見いだす方法です。双方が同意をして解決をしますので、対立が再燃する可能性は低いといえます
対峙(Confronting) 対立点に対して当事者双方が客観的な調査結果を基に徹底的な議論を行い、1つの解決点を見いだす方法です。この方法が最も良い方法ですが、時間などの制約によってはほかの方法が採用されることがあります。「対決」「問題解決」と呼ばれることもあります
表2 対立解消方法

【補足】チームメンバーのモチベーションを上げるためのモチベーション理論

 プロジェクト・チーム育成プロセスに関連して、チームのパフォーマンスを上げるために、メンバーのモチベーション向上が必須となります。プロジェクトマネージャは、うまくリードしてメンバーのモチベーションを上げなければなりません。そのための知識として、モチベーション理論があります。

 代表的なモチベーション理論には、「マズローの欲求5段階説」「ハーツバーグの衛生理論」「マクレガーのX理論/Y理論」「期待理論」などがあります。以下にその概要を3で紹介しておきます(詳細は、専門の解説を確認してください)。

モチベーション理論 理論の概要
マズローの欲求5段階説 人の欲求は、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、自我欲求、自己実現欲求の5つに分類することができ、低次の欲求が満たされると、高次の欲求が生まれるという説
ハーツバーグの衛生理論 人間を動機付ける要因には、「不満足(衛生)要因」と「満足(動機付け)要因」の2つがあると定義。不満足要因は、それがなくなると不満を覚える要因で継続的に動機付けを行うことができないもの。満足要因は、それによって満足感が得られ動機付けにつながっていくもの。人を動機付けるためには、満足要因の充足が必要であるという説
マクレガーのX理論/Y理論 人間は元来怠け者であり、厳しく監督しないと働かないというX理論と、人間はもともと働き者であり、自ら働くので、厳しく監督する必要はないというY理論の2つの見方があるというもの。一般にY理論によるマネジメントの方が良いという説
期待理論 人は自分の努力によってより大きな成果が得られ、その大きな成果によって、より大きな報酬が得られると期待する。人のやる気は得られる報酬の高さによって決まるという説
表3 代表的なモチベーション理論

 最後に、今回の範囲のおさらいで、演習問題を解いて終わりましょう。

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