「ITパスポート試験は初級シスアドよりも簡単」とIPAIPAが新試験の試験範囲を発表

» 2008年06月26日 00時00分 公開
[荒井亜子,@IT]

 情報処理推進機構(IPA)は6月26日、来年春に始まる「ITパスポート試験」の出題範囲・試験形態を発表した。

 ITパスポート試験は、情報処理技術者試験の改革で創設された試験の1つで、2009年春から試験を開始する。2009年4月の試験で廃止される初級システムアドミニストレータ試験の範囲を含む、基礎的なIT知識を広く問う。ITスキル標準(ITSS)では最下位のレベル1に当たり、業種・職種を問わずITを活用する職業人すべてと情報系学科を中心とする学生を対象にしている。

IPA 情報処理技術者試験 センター長 川口修氏

 試験の出題範囲は、初級システムアドミニストレータ試験の範囲全部に、基本情報技術者試験の3分野(「プログラミング/プログラミング言語」「基礎理論」「アルゴリズム」)を追加。IPA 情報処理技術者試験 センター長 川口修氏によると、「いまの初級システムアドミニストレータ試験よりも難易度が下がった分、試験範囲は広がった」と説明する。

 試験問題は、次の3つの分野から出題される(括弧内の割合は出題量の目安)。企業と法務、経営戦略、システム戦略などの理解を問う「ストラテジ系」(35%程度)、ソフトウェア開発の基本的な流れ、プロジェクトマネジメント、システム監査などの理解を問う「マネジメント系」(25%程度)、基礎理論、コンピュータの基礎、ネットワークなどの理解を問う「テクノロジ系」(40%程度)の3つだ。

 初級システムアドミニストレータ試験で出題しているケーススタディを扱った問題は、引き続きITパスポート試験でも出題する。現在IPAのWebページでは、ITパスポート試験のサンプル問題(PDF)を掲載している。

 出題数は100問。合格基準は総合得点の60%以上、分野別得点の30%以上で、満遍なく理解していることが求められる。合格証書には総合得点および分野別得点が記載される。試験時間は165分で、初級システムアドミニストレータ試験よりも短い。

 川口氏は「英語に英語検定があるように、ITにも基礎力を検定する試験があっていいと思う。試験範囲や対象が広すぎるという意見はあるが、ITパスポート試験は壮大なスケールの試験として、社会に浸透することを期待する」と新試験への意気込みを語った。ITパスポート試験の認定者数の目標は特に掲げない。「数字は決める意味もないと思っている」(川口氏)。昨年の制度改訂の発表を受けてか、今年4月の初級システムアドミニストレータ試験の応募者数は前年同期比で22%減少している。

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