日本オラクルは7月22日、同社研修サービス部門オラクルユニバーシティにおける2009年度の事業戦略を発表した。2009年度の重点施策は、「Edge Applicationsへの人材育成促進」「オラクルのSOA技術者育成」「データベース管理者(DBA)の価値の変革」の3つ。
1つ目の施策、Edge Applicationsへの人材育成促進とは、米オラクルが最近買収をしたHyperinion、Demantra、Siebel、agileといった製品を使用し、企業間のシステム連携を最適化するデータベースエンジニアの育成を意味する。日本オラクル 執行役員 オラクルユニバーシティ 本部長 保々雅世氏は経済産業省のIT活用度調査を例に挙げ、「現在の日本企業は、企業内・部門内システムの最適化は進んでいるが、企業の壁を飛び越えた形でのシステムの最適化はいまだ課題である」と説明する。企業活動は社外に多くのステークホルダーが存在するため、企業間の業務最適化がこれからの企業の競争力を決定付けるとのこと。保々氏は「ORACLE MASTER Expertをとんがり資格と呼んだが、Edge Applicationsはとんがりソリューション。講師の早期育成などの取り組みを行い、Edge Applicationsに対応できる人材育成をなるべく早く進めたい」と意気込みを語った。
Oracle Applicationsの対応資格について、昨年度はSiebelなど買収製品の資格を4カテゴリで5つリリースした。今年度の後期にはE-Business Suite(R12)対応資格をリリースする予定。
2つ目の施策は、オラクルのSOA技術者育成。米オラクルは今年1月にBEAシステムズを買収し、ミドルウェア市場での首位を狙っている。日本オラクル オラクルユニバーシティ ビジネス推進部 担当シニアマネージャ 西部正義氏は「データベースエンジニアの数に比べ、SOA技術者は少ない。SOA技術をいち早く習得することで、ほかのエンジニアと差別化が図れ市場価値を得られる」と説明する。そのために、SOAアーキテクト、SOAのインフラとなるWeb Server管理、システムを連携する対象であるWebアプリケーション開発で研修コースと認定資格を用意する。認定資格は今後BEAからオラクルのブランドに変えていく。
3つ目の施策、データベース管理者(DBA)の価値の変革では、DBAの呼び名を新たに「DBA 2.0」とし、次世代のDBAの形を提案している。DBAの業務は従来、保守・運用が中心であったが、今後は運用業務をさらに効率化し、空いた時間をデータモデリングやシステム設計といった上流工程に割く、新しいDBAの形。西部氏は「ビジネスのスピードの変化が速くなるにつれ、ITシステムにも俊敏性が求められている。データベースエンジニアにとって保守・運用にかける時間は高いウェイトを持ち、効率化を図る必要がある。加えて、コンサルティングなどより上流工程でデータベースエンジニアのスキルが求められている」と述べる。保守・運用業務効率化には、Data Recovery AdvisorをはじめとしたOracle Database 11gの新機能のスキルが有効とのことで、対応資格はORACLE MASTER Gold Oracle Database 11gとする。データモデリングやシステム設計においても研修コースや対応資格を用意する。
オラクルユニバーシティの2008年度(2007年6月〜2008年5月)の売り上げは対前年度比20.7%増の25億5100万円。飛躍的な伸びを見せた。2008年度の実績は、研修コースのタイトル数が対前年度比の1.5倍、研修コース総受講者数も1.5倍増えた。ORACLE MASTERの資格保有者数は累積で2007年度の16万7691人から18万3011人まで増加。保々氏は「今年度はオラクル関連の資格保有者が累積で20万人を超えるのではないか」と予測する。2009年度の売り上げは、対前年比7.8%の成長、27億5000万円を目指す。
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