仮想マシンの実行環境を提供するソフトウェアには、その実装の形態として大きく2つのアーキテクチャが存在している。ホスト型と呼ばれるものと、ハイパーバイザー型と呼ばれるものだ。
ホスト型の仮想化は利用経験があるという方も多いのではないだろうか。ヴイエムウェアの製品としては「VMware Workstation」や「VMware Server」がある。まず物理マシンが存在する。これは当然であるが、その上ではWindowsやLinuxなどの一般的なオペレーティングシステムが動作している。そして、その上で動作するアプリケーションの1つという位置付けで仮想化ソフトウェアをインストールする。サービスを提供する個々の仮想マシンはさらにその上で動作する。
ホスト型の仮想化では、デバイスドライバや仮想マシンの構成データを配置するファイルシステムなどはすべてホストOSより提供されるため、手軽に使え、かつ広範なハードウェア上で利用できるというメリットがある。一方で、その構造上性能、スケーラビリティ、信頼性などはホストOSのそれに依存せざるを得ない。
次にハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアについて説明する。ハイパーバイザーとは図の通り、ホスト OSを介在せず、物理マシン上で直接動作する仮想化ソフトウェアレイヤのことである。このため性能的なオーバーヘッドが非常に小さく、スケーラビリティに優れ、かつ非常に堅牢な仮想化環境を実現している。ヴイエムウェアから提供されている製品としては VMware ESXがこのハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェア製品となる。なおヴイエムウェアではVMware ESXiという次世代型ハイパーバイザー製品も既に出荷を開始しているが、これについては別稿で解説させていただきたい。
第1回の今回は、サーバ統合における課題を解決する 1 つのソリューションとして仮想マシンの活用があるということを紹介した。また、エンタープライズ・クラスの ITインフラを仮想化する基盤ソフトウェアとして VMware Infrastructure 3を紹介し、ハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアの構造的な特長について説明した。
次回は、VMware ESXそのものについてもう少しその構造を解説し、さらにVMware Infrastructure 3で構築されるインフラの全体像についても説明する。
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