サーバ仮想化技術を用いてサーバ統合を実施する際、だれもがサーバの利用効率を高めることを考えるが、バックアップについて事前に深く考慮する人は少ない。本連載では、運用を始めた後になって、「こんなはずではなかった」と悩まないですむように、サーバ仮想化におけるバックアップの課題と対処方法を紹介する
乱立するサーバの管理を容易にし、コスト効率を高める技術として今注目を集めているのが、サーバ仮想化だ。サーバを統合することによって、物理的な台数を減らすことができ、消費電力も抑えられるというメリットがあり、最近では重要なサービスを提供するサーバに使用されることが多くなっている。一方で、物理サーバ上に複数のOSが稼働しているというサーバ仮想化環境ならではの、考えるべき課題も多い。
その中でも、特に本連載で取り上げるのはバックアップだ。仮想化されたサーバでは、通常のサーバのバックアップと異なる考慮すべき点がいくつかある。ディザスタリカバリのための最も基本的な手法として、データのバックアップは必須だが、設計段階からバックアップを考慮してサーバ統合が計画されることはあまり多くないのではないかと思う。本連載では、見過ごされがちなバックアップに焦点を当て、サーバ仮想化ならではのバックアップにおける問題点と適切な手法の導入について解説する。
近年、サーバ・ハードウェアの高速化が進む背景で、多くのサーバではハードウェアがオーバースペックになってしまい、大半のシステムリソースが有効に使われていないという状況がある。
サーバ統合の最も大きな目的は、サーバのシステムリソースを無駄なく使うことにある。従って、リソースを使い切ってしまうことなく、かつ負荷を高い状態に維持するのが、設計上、最もコスト効率が良く、理想的な環境であると言える。
通常、新しくサーバを追加する際には、ラックスペースや冷却装置などを効率的に使用することを考えたり、電源が足りなくならないよう注意したりするだろう。それと同じように、サーバ仮想化では、CPUリソースやメモリ、ディスクI/Oなどの共有されたリソースをいかに配分するかを考えることになる。
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