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» 2008年08月26日 00時00分 公開

妻の仕事の都合上、転勤はできません!転職活動、本当にあったこんなこと(21)(1/2 ページ)

多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。

[原田福二,アデコ]

 私は、名古屋を中心とした中部エリア(愛知・岐阜・三重)を担当している人材紹介会社のコンサルタントです。今回は首都圏とは違った観点から、「地方ならではのITエンジニアの転職失敗事例」を紹介します。

事例1:「妻の仕事の都合上、転勤はできません」鈴木さんの場合

 鈴木さん(仮名・29歳)は地元である中部地区の理工系大学を卒業後、名古屋に本社を置く独立系システム開発(SI)会社に入社し、約6年間Visual Basicをベースとしたオープン系システムのプログラマおよびSEとして勤務していました。しかし会社の業績不振によって将来に不安を感じ、転職活動を開始しました。

 鈴木さんが転職先に希望していたのは、次の2点でした。1つは同じ不安に悩まされたくないので、なるべく大手の安定した会社で仕事をしたいという点。もう1つは、中部地区は自動車関連メーカーが多いため、今後は自動車関連のECU(電子制御ユニット)ソフトウェア開発に携わりたいという点でした。

 私は、鈴木さんの希望を受け入れてくれる企業として、大手自動車メーカー100%出資のエンジニアリング子会社を推薦しました。この会社は、オープン系システム開発の経験があってポテンシャルが感じられる人であれば、組み込み系開発の経験がなくても採用していく方針で、まさに本人の希望にぴったりの会社でした。

 応募した鈴木さんは、WebでのSPI試験をクリアし、順調に面接に進みました。

 この会社の面接は1回のみで、担当役員、担当部門長、人事担当者がすべてそろったものでした。転職を考えた理由、6年間オープン系システム開発で培ってきたスキルについて、今回組み込み系ソフトウェア開発に携わりたい理由などを聞かれたそうです。質問には明確に答えることができ、担当部門長から説明を受けた仕事内容も希望どおりで、大変満足のいくものでした。

 しかし、最後に担当役員から「この会社では、将来転勤の可能性がありますが、問題ないですか?」と質問されたときのことです。鈴木さんは「妻の仕事の都合上、転勤はできません」といい切ってしまったのです。奥さんが地元の小学校の教師であるため、転勤はできないとの理由でした。

転勤拒否のため……

 翌日知らされた面接結果は、不合格。理由はただ1点「転勤拒否のため」とのことでした。

 その後も鈴木さんは、ほかの自動車関連部品メーカーの組み込みソフトウェア開発職に応募しましたが、「組み込み開発の実務経験がない」および「転勤不可」という理由で、すべて不合格になってしまいました。

 現在、鈴木さんは元の会社にとどまり、引き続きオープン系システム開発のSEとして勤務しています。

 私は、1度目に不合格になったとき、彼に質問しました。「君の人生はたった一度だけですよね。なぜ、奥さんに自分の思いをぶつけないの? 説得しないの? 愛知県が本社の会社なら、転勤してもいずれ戻ってくるのは間違いないのに。絶対、後で悔やむことになるよ」

 彼はこう答えました。「すごく残念です。後々悔いが残るかもしれません。でも、自分は妻の家に養子として迎えられました。だから、あきらめるより仕方ないんです」

 この返事を聞いたとき、私はいいようのない複雑な思いにとらわれました。

勇気とチャレンジ精神を持って

 私は、転職を真剣に考えるなら、もっと勇気が必要だと思います。

 ITエンジニアとしてもっと研さんを積み、もっと自分を高めたいのなら、簡単にあきらめるべきではないと思います。鈴木さんがITエンジニアとして大成することは、家族にとっての幸せでもあるのだから。なぜ、自分の熱い思いを奥さんにぶつけなかったのでしょう?

 最初に応募した企業は、不合格の理由を「転勤拒否」としていますが、果たしてそれだけのことだったのでしょうか。担当役員は、こんな受け身の姿勢が仕事にも表れるのではと思い、不合格にしたのではないでしょうか。鈴木さんのことを、自分の意思に従って行動できない消極的な人と判断したのではないでしょうか。

 私から皆さんへアドバイスしたいのは、「いつもチャレンジ精神を持ち、誠意と情熱を持って人と接すれば、必ず自分の希望する仕事は見つかる」ということです。

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