米シスコシステムズと米ヴイエムウェアは9月16日(米国時間)、米国ネバダ州ラスベガスで開催中のVMworldで、VMware ESX用のソフトウェアスイッチを共同開発中であることを発表した。2009年初めに、「Cisco Nexus 1000V」という名称で、シスコが提供開始する。
ヴイエムウェアのハイパーバイザVMware ESXは、内部に仮想スイッチを搭載している。ESXでは個々の仮想マシンが仮想NICを持ち、これがソフトウェア的なスイッチを通じて、サーバに搭載された物理的なNICと接続されている。Nexus 1000Vは、このESXに備わっている仮想スイッチに入れ替えて利用するもの。「これまでネットワーク管理者はESX内の仮想スイッチの内部を見ることができなかったため、接続性の問題が発生しても関与できなかったが、Nexus 1000Vを通じて自らの管理対象とすることができる」とシスコのマーケティング担当副社長 ソニ・ジアンダーニ(Soni Jiandani)氏は説明した。
Cisco Nexus 1000Vはハードウェアのスイッチと同様な機能を提供する。各仮想マシンの仮想NICをポートとして扱って、仮想マシンIDと関連付ける形で、802.1Qタグ付けや帯域幅制限、ACL、NetFlowによるトラフィック情報の取得などを実行できる。
Nexus 1000Vはハイパーバイザごと(つまり物理サーバごと)に導入されるが、あたかも複数の物理サーバを1台のスイッチで接続したかのように、複数のNexus 1000Vに共通のポリシーを適用して実行することができる。このため、ESXのVMotionという機能によって、物理サーバ間で仮想マシンを移動するような場合にも対応可能だ。仮想マシンが移動しても、これに関連付けられたQoSやセキュリティなどのポリシー設定が追従できる。
Nexus 1000Vの提供形態は未定だが、有償になるという。
Nexus 1000Vにはシスコのデータセンタースイッチシリーズ、「Nexus」の名称が与えられているが、シスコは現在提供中のハードウェアスイッチ「Nexus 3000」「Nexus 5000」にも、同様の機能を搭載する予定という。この場合は、外部のスイッチからハイパーバイザ内部の仮想NICを見ることはできないため、ハイパーバイザ側に小さなソフトウェアモジュールを組み込むことになるとしている。
シスコは併せて、同社のファイバチャネルSANスイッチ「MDS 9000」における8Gbps ファイバチャネルSANモジュールの提供開始を発表した。同製品は、VMotionなどをきっかけとした仮想サーバのファイバチャネル接続の動的な変更に対応できるMPIV技術を実装している。また、MDSシリーズが搭載しているSAN-OSは、NexusシリーズのOSと同一の「NX-OS」という名称に変更された。
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