新 情報処理技術者試験、全試験科目をまとめて解説新・情報処理技術者試験はこう変わる(2)(2/4 ページ)

» 2008年12月19日 00時00分 公開
[加藤浩TAC]

新試験区分と旧試験区分の変更点

 以下の説明では、出題範囲については概要のみとしています。新試験の出題範囲は、共通キャリア・スキルフレームワークのBOKとの整合性を取るため、具体的な項目例はIPA情報処理技術者試験センターのWebサイト(新試験制度特集ページ)で公開中の「試験要綱Ver 1.0」でご確認ください。

【基本系試験(レベル1〜3)】

(1)ITパスポート試験(IP)

[出題範囲]

 公表されている出題範囲(分野)は、表5のとおりです。

分野
大分類
 
旧AD
IP
ストラテジ系
1
企業と法務 企業活動
法務
2
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
3
システム戦略 システム戦略
システム企画
マネジメント系
4
開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
5
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
6
サービスマネジメント サービスマネジメント
システム監査
テクノロジ系
7
基礎理論 基礎理論
×
アルゴリズムとプログラミング
8
コンピュータシステム コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
9
技術要素 ヒューマンインターフェイス
マルチメディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ
表5 ITパスポート試験 出題範囲

 100問出題のうち、ストラテジ系:35問、マネジメント系:25問、テクノロジ系:40問。初級シスアドの範囲に「7.基礎理論」が追加されています。基礎理論は、これまで基本情報技術者以上のレベルで出題範囲とされてきた分野です。主な内容は、

7.基礎理論

  • 基礎理論:2進数や基数など数の表現、集合、確率と統計の基礎、ビット、バイトなど情報量の表現など

  • アルゴリズムとプログラミング:アルゴリズムとデータ構造の考え方、流れ図の基本、プログラミングの役割など

です。また、初級シスアド(AD)の過去の出題内容を考慮すると、「5.プロジェクトマネジメント」「6.サービスマネジメント」も実質的には新規範囲と考えて差し支えないでしょう。

[レベル] 旧初級シスアド午前よりも低い

 初級シスアド午前よりも易しく、基礎的な用語・知識が問われます。IPA情報処理技術者試験センターのWebサイト上にサンプル問題が公開されています。こちらをご覧いただければ、レベル感の違いが分かりやすいと思います。

(2)基本情報技術者試験(FE)

[午前出題範囲]

分野
大分類
旧FE
FE
テクノロジ系
1
基礎理論
2
コンピュータシステム
3
技術要素
4
開発技術
マネジメント系
5
プロジェクトマネジメント
6
サービスマネジメント
ストラテジスト系
7
システム戦略
8
経営戦略
9
企業と法務
表6 基本情報技術者試験 出題範囲

 午前出題範囲は、旧試験と同等とされていますが、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントの知識項目例を見ると新規範囲と考えてよいでしょう。基本情報技術者試験に再チャレンジする方は、要注意です。これら分野の出題に伴い、テクノロジ系の問題数が若干減少するものと思われます(表6)。

旧FE
解答数
 
FE
問1〜7
問8
問9〜13
問1〜3 ハードウェア 3問必須 ハードウェア 4問出題    
ソフトウェア ソフトウェア    
データベース データベース    
ネットワーク ネットワーク    
情報処理技術(セキュリティ、システム性能、開発工程など) 情報セキュリティ    
問4 アルゴリズム 1問必須 データ構造およびアルゴリズム   1問出題  
問5 プログラム設計 1問必須 ソフトウェア設計 1問出題    
問6〜13 プログラム開発 8問出題
2問選択
ソフトウェア開発(プログラム言語)     ※5問出題
プロジェクトマネジメント  1問出題    
ITサービスマネジメント    
システム戦略  1問出題    
経営・関連法規    
解答数 5問解答 1問必須 1問選択
※C、COBOL、Java、アセンブラ言語、表計算から1問
表7 新旧とも13問出題7問解答

 出題数、解答数、解答時間は全く同じですが、出題範囲は大幅に変更があります(表7)。

  • ソフトウェア開発(プログラム言語)の解答数は2問から1問に。表計算ソフトが追加されて5言語から1問選択となります。表計算は、初級シスアドとは志向が異なり「論理的思考力を問う」問題とされています。サンプル問題を見る限り、関数や計算式、条件式などを複雑に組み合わせた内容が問われそうです。
  • マネジメント、ストラテジ分野から各1問出題が追加。テクノロジ系5問と合わせて7問から5問選択となります。・テクノロジ系主体、マネジメント/ストラテジ系主体といった問題選択が可能となります。

[レベル] 基本的に旧試験と同程度

 午前・午後ともに、マネジメント/ストラテジの出題追加分野は無視することはできません。再受験の方には、新たな知識の追加が必要です。午後試験はプログラム言語の配点割合が減少しますので、プログラム言語をやや不得意としている方には朗報かもしれませんが、半面、他分野の対策が重要となります。試験対策で考慮すべき範囲が広がると考えた方がよいでしょう。

(3)応用情報技術者試験(AP)

 出題範囲の変更が一番大きいのが、応用情報技術者試験です(表8)。

[午前出題範囲]

分野
大分類
旧SW
AP
テクノロジ系
1
基礎理論
2
コンピュータシステム
3
技術要素
4
開発技術
マネジメント系
5
プロジェクトマネジメント
6
サービスマネジメント
ストラテジ系
7
システム戦略
×
8
経営戦略
×
9
企業と法務
×
表8 応用情報技術者試験の試験範囲

 出題対象となる分野は、ITパスポート、基本情報技術者と共通となり、ソフトウェア開発技術者(SW)では対象外であった、ストラテジ系の分野が追加されました(マネジメント系は、旧試験でも開発管理、運用などが出題されています)。

[午後出題範囲]

表9 表9

 マネジメント系、ストラテジ系分野が追加されるとともに、テクノロジ系でも新たに「組み込みシステム開発」が加わりました。12問出題中で6問解答、問1〜2と問3〜12両方から選ぶ必要があります。基本戦略系、SI開発系など受験者の専門分野に応じて選べる自由度があります。

[レベル] 旧試験と同程度

 午前試験は、マネジメント/ストラテジ系の問題に注意が必要ですが、基本情報技術者試験からステップアップしていれば大きな不利にはならないでしょう。午後試験は、(旧午後I試験に比べて)解答数が変わらずに解答時間が延びる(120分⇒150分)こと、午後II試験がなくなったことから、時間的に少し余裕が生じて相対的に負担は軽くなると思われます。午後試験のマネジメント/ストラテジ系問題についても、テクロジ系問題を選択受験するつもりであれば、午前対策のみでも構わないでしょう。

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