バックボーン・ソフトウェアは1月23日、高度なリカバリ機能を特徴とする継続的データ保護(CDP:Continuous Data Protection)製品、「NetVault Real-Time Data Protector」(NVRDP)を4月に国内出荷開始すると発表した。
データ保護対象はWindows ServerのファイルシステムおよびVSS(Volume Shadow Copy Service)対応のExchange Server、SQLServerに限られるが、VSSを活用したスナップショットのバックアップを行うほか、独自のフィルタドライバを使ってトランザクションログやファイルの書き込みを常時取得、これに基づいて任意の時点へのリカバリを実現している。従って、障害発生直前のデータを復旧できるという。
同製品の最大の特徴は同社が「30秒リカバリ」と呼ぶ機能。これはリカバリ作業を開始してから通常30秒以内にデータの利用を開始できるというもの。30秒で完了するのは、実際のデータのリカバリ作業ではなく、データの所在などの情報(同社では「スケルトン構造」と呼んでいる)の復旧。この時点でデータのマウントが可能になる。その後のデータリクエストについては、まだ復旧が終わっていないデータに関しては、透過的にリクエストがバックアップデータにリダイレクトされ、バックアップデータが読み出されることになる。
バックボーンはNVRDPの他社競合製品に対するほかの優位性として、別サーバでなく本稼働サーバへのリカバリが行えること、このためコスト効率に優れ、ユーザーもアクセス先を変えるなどの不便を強いられない点を強調する。ディザスタ・リカバリ用途で利用する場合には、バックアップ先のサーバへの切り替え時にActive DirectoryやDNSエントリをNVRDPが自動で更新するため、この場合もユーザーはデータアクセス先を変える必要がない。
細かな単位でのリカバリも可能。SQLServerについてはインスタンス、データベース、ファイル単位、Exchange Serverについてはインフォメーションストア、ストレージグループ、メールボックス、メールボックス内のメールなどの個別データを単位として復旧することができるという。Exchange Serverについては、管理者が全メールボックスを対象として任意のキーワードによる検索を行える機能も搭載しており、裁判などにおける電子開示にも使えるという。
価格は最小構成で396万円(税抜き)。NVRDPを稼働するサーバの要件は、2基のクアッドコア・プロセッサ、16GBのメモリ、ファイバチャネルあるいはiSCSI経由でのストレージ接続と、比較的敷居が高い。
NVRDPの発表に際して来日した米バックボーン・ソフトウェアCEOのジェームズ・ジョンソン(James Johnson)氏は、同製品を例にして同社がクラウド戦略を策定中であることを説明した。「例えばNVRDPを使って、企業は自社で運用しているExchange Serverをクラウドに対してフェイルオーバさせることができる」(ジョンソン氏)。@ITの取材に対して、同氏はこの場合のクラウドサービスを自社でやるか、他社と連携するかについての明言を避け、4月にクラウド戦略を発表する時点で明らかにすると話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.