第1回 ASP.NET MVCフレームワーク 基本のキ連載:ASP.NET MVC入門(3/5 ページ)

» 2009年04月10日 00時00分 公開

[3]ビューを作成する

 次に、アクションに対応するビューを作成しよう。Model−View−ControllerのViewである。

 新規にビューを生成するには、コード・エディタ上でアクション・メソッドにカーソルを合わせた状態でマウスを右クリックし、表示されたコンテキスト・メニューから[Add View]を選択すればよい*8

*8 ちなみに、すでにあるビューに画面を切り替えるには、コンテキスト・メニューから[Go To View]を選択すればよい。


 [Add View]ダイアログが表示されるので、ここでは[View name]欄が「Index」(アクションと同名)になっていることを確認したうえで、[Add]ボタンをクリックする。ほかのオプションについては、ここでは取りあえず未チェックのままとしておこう。

図9 [Add View]ダイアログ
[View name]欄が「Index」(アクションと同名)になっていることを確認して、[Add]ボタンをクリックする。

 [Add]ボタンをクリックした後、ソリューション・エクスプローラから「/Views」フォルダの配下に「Hello/Index.aspx」が生成されていることを確認してほしい。このように、ASP.NET MVCではビュー(.aspxファイル)を「/Views」フォルダ配下に「コントローラ名/アクション名.aspx」のように配置する必要があるのだ。

 コード・エディタ上でIndex.aspxが開くので、ここでは次のリスト2の要領でコードを追加しておこう。大部分のコードは自動生成されているので、自分で追加するのは太字の部分だけである。

<%@ Page Language="C#" Inherits="System.Web.Mvc.ViewPage" %>

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">

<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" >
<head runat="server">
  <title><%=Html.Encode(ViewData["msg"])%></title>
</head>
<body>
  <div>
  <%=Html.Encode(ViewData["msg"])%>
  </div>
</body>
</html>

<%@ Page Language="VB" Inherits="System.Web.Mvc.ViewPage" %>

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">

<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" >
<head runat="server">
  <title><%=Html.Encode(ViewData("msg"))%></title>
</head>
<body>
  <div>
  <%=Html.Encode(ViewData("msg"))%>
  </div>
</body>
</html>

リスト2 Hello/Indexアクションに対応するビュー(Index.aspx)
(上:C#用、下:VB用)

 ビューに動的な処理を埋め込むには、<%……%>、<%=……%>などのコード・ブロックを使用すればよい。ここでは、ViewDataプロパティを介して、先ほどアクション・メソッドの中で設定したmsgキーの値を取得しているわけだ。

 なお、Html.EncodeメソッドはHTMLヘルパーの一種で、与えられた文字列をHTMLエンコードするための役割を提供するものだ。冒頭で述べたように、ASP.NET MVCではビューを記述するために従来のサーバ・コントロールを利用することはできないが、その分、HTMLヘルパーを利用することで、ビューの開発を効率化できる。

 以下に、主なHTMLヘルパーをまとめておこう。それぞれの詳細については、今後、登場の都度に解説していくので、ここでは「こんなものがあるのか」という程度の感覚でご覧いただくだけで構わない。

分類 メソッド 概要
基本 Encode 与えられた文字列をHTMLエンコード
RenderPartial 指定されたユーザー・コントロールを出力
ActionLink 指定されたアクションに対するリンク(<a>要素)を生成
フォーム BeginForm フォーム(<form>要素)を生成
CheckBox チェックボックスを生成
DropDownList ドロップダウンリストを生成
Hidden 隠しフィールドを生成
ListBox リストボックスを生成
Password パスワードボックスを生成
RadioButton ラジオボタンを生成
TextArea テキストエリアを生成
TextBox テキストボックスを生成
検証 ValidationMessage 検証エラー時に個々で表示すべきメッセージを表示
ValidationSummary 検証結果をサマリしたものを表示
表2 ASP.NET MVCで使える主なHTMLヘルパー

[4]サンプルを実行する

 以上の手順を終えたら、サンプルを実行してみよう。デバッグ実行でブラウザを起動し、以下のようなアドレスを入力してほしい(ポート番号は環境によって異なる)。

http://localhost:4419/Hello/Index


 このようにHelloコントローラのIndexアクションを呼び出すには、「/Hello/Index」のようなアドレスとなるわけだ。ちなみに、デフォルトの設定ではIndexアクションの指定は省略可能なので、この場合には、

http://localhost:4419/Hello


でも同様の結果が得られる。

■ルーティングの設定を理解する

 最初のサンプル・アプリケーションを動作確認できたところで、ASP.NET MVCの理解には欠かせないルーティングについて解説しておこう。

 前述したように、ルーティングとは、リクエストURIに応じて処理の受け渡し先を決定することをいう。ASP.NET MVCでは、あらかじめGlobal.asaxで決められたルーティング・ルールに基づいて、ルーティングを行っている。Global.asaxで、実際にルーティング・ルールを定義しているのは以下のコードだ。

public static void RegisterRoutes(RouteCollection routes) {

  ……中略……

  routes.MapRoute(
    "Default",
    "{controller}/{action}/{id}",
    new { controller = "Home", action = "Index", id = "" }
  );
}

protected void Application_Start() {
  RegisterRoutes(RouteTable.Routes);
}

Shared Sub RegisterRoutes(ByVal routes As RouteCollection)

  ……中略……

  routes.MapRoute( _
      "Default", _
      "{controller}/{action}/{id}", _
      New With { .controller = "Home", _
                   .action = "Index", .id = ""} _
  )

End Sub

Sub Application_Start()
  RegisterRoutes(RouteTable.Routes)
End Sub

リスト3 ルーティング・ルールを定義するコード
(上:Global.asax.cs、下:Global.asax.vb)

 RegisterRoutesメソッドはアプリケーション起動(Startイベント・ハンドラ)のタイミングで呼び出されるメソッドで、ルーティング・ルールの追加を行っている。

 ルーティング・ルールを追加するには、ルールの集合を表すRouteCollectionオブジェクトからMapRouteメソッドを呼び出すだけだ。MapRouteメソッドの構文は、次のとおり。

MapRoute(ByVal name As String, ByVal url As String, ByVal defaults As Object)
' name:ルール名、url:ルーティング方式、defaults:初期値

MapRouteメソッドの構文(VB)

 引数urlは、ルーティングの際に実際にマッチングを行うURIパターンを表すものだ。ここでは、

{controller}/{action}/{id}


がそれである。「{名前}」の部分は変数のプレイスホルダで、{controller}はコントローラ名、{action}はアクション名を、それぞれ表す。{id}についてはあらためて後述するが、アクション・メソッドに引き渡される任意のパラメータ(ユーザー・パラメータ)を表すものだ。

 パラメータ名もデフォルトでは{id}となっているが、特に決まりはないので自由に変更しても構わないし、以下のように複数のユーザー・パラメータを定義することもできる。

{controller}/{action}/{category}/{id}


 これら変数のデフォルト値を指定しているのが、引数defaultsの部分だ。ここでは、

new { controller = "Home", action = "Index", id = "" }

New With {.controller = "Home", .action = "Index", .id = ""}

引数defaultsの記述(上:C#、下:VB)

としているので、コントローラ名のデフォルト値は「Home」、アクション名のデフォルト値は「Index」、idパラメータのデフォルト値は空文字列であると見なされる。

 つまり、この設定では「http://localhost:4419/」を呼び出した場合、HomeコントローラのIndexアクションが呼び出されることになる。先ほど「http://localhost:4419/Hello/」でHello/Indexアクションが呼び出せたのも、ここでアクション名のデフォルト値がIndexとなっていたからだ。

[注意]省略可能なアクション

 ちなみに、省略できるのは後方にパラメータの指定がない場合に限られる。例えば、コントローラ名だけを省略したつもりで「http://localhost:4419/Index」としても、これは「http://localhost:4419/Home/Index」ではなく、「http://localhost:4419/Index/Index」と見なされる。



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