データベース設計はいつ、何をポイントに行うかゼロからのデータモデリング入門(4)(3/3 ページ)

» 2009年04月27日 00時00分 公開
[沖冠吾株式会社アシスト]
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3つのデータモデルの役割を理解する

 「各工程におけるデータベース設計の役割」で述べてきたように、システム開発ライフサイクルの工程において必要となるデータモデルは3つあります。ここで各データモデルの違いについて再度確認しておきましょう。

  • 概念データモデル
    システム化対象範囲の業務プロセスをモデル化したものです。ビジネス活動全体を俯瞰的に捉えることができるため、概念データモデルから、システム化対象範囲を判断することができます。
  • 論理データモデル
    概念データモデルで確定した対象範囲に対して既存データベースやExcelファイル、帳票、画面など関連する情報から項目レベルでデータを捕捉し、企業が管理すべき対象「エンティティ」と、業務の流れを表す「リレーションシップ」をER図で表現します。データ重複の排除を行い、業務単位で必要となるデータを明確にし、ビジネスの将来的な変化に対応できる安定的なデータ構造を考慮し作成します。論理データモデルはビジネス活動を反映したものであり、ビジネスの視点で設計する必要があります。
  • 物理データモデル
    データベースの処理効率に留意し論理データモデルをシステムの視点で調節したデータモデルです。論理データモデルに対して処理効率上の施策を検討し、構造の変更を行います。
●図5 3つのデータモデルの関係 ●図5 3つのデータモデルの関係

 以上をまとめると、概念データモデルと論理データモデルはビジネス活動を、物理データモデルは、システムの処理効率を主眼にしてそれぞれ作成します。そのため、概念データモデル、論理データモデルは、自社でしかできないデータベース設計であり、物理データベース設計は外部へ委託できるデータベース設計ということができます。

まとめ

 情報システム部門は、システム化計画を立てる際にビジネス活動とデータモデルを把握しておく必要があり、システム設計時には対象となる業務の流れとデータの流れを理解する必要があります。

 RFP提示時には、概念データモデルを保持し、システム開発フェイズでは自社で作成した論理データモデルを元に外部委託会社と物理構造の検討を行い、設計時の論理データモデルと実装されるデータモデルの差異をきちんと把握しておくことが重要です。

 これらを行うことで、外部委託した場合においても、変化に強いデータベースを構築することができるのです。

 次回は、「概念データモデル」の作成について詳細に解説します。


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