情報系の学生は、大学・大学院で学んだ専門性が生かせるという点では親和性が高いといえます。学んだことを実際の仕事でどのように生かせるかが問われます。知っているだけではなく、学んだ知識をいつでも使えるようにしておくことが大切です。
技術革新の早い業界であるため、新しい技術は貪欲に吸収していく必要があります。情報系の学生は、ベースとなる知識を学生時代に学んでいるため、新たなことを学ぶときの立ち上がりが早いと期待しています。
ただし、現時点では実践的なシステム構築に関して教えている学校は少なく、入社後に学ぶ必要があるというのが実情です。
入社してすぐにプロジェクトのリーダーになることは困難です。最初はチームのメンバーとして仕事の進め方を覚えていくことが大事です。プロジェクトを通して経験を積むことで、メンバーからサブリーダー、さらにリーダーへとステップアップしていきます。
NTTデータでは、すべての新入社員は4月から2カ月程度、共通研修を受講します。会社の制度や社会人として知っておくべきこと、ITの基本的な知識を学ぶための場です。5月下旬には所属する担当への配属が行われ、事業分野ごとに個別の研修を受講することになります。配属後も専門分野に関する研修などを次々と受講していく必要があります。1年目は会社に来る日数の半分以上が研修です。
研修はOFFJTとして知識を体系付けて学ぶ場です。「トレーナ」と呼ばれる若手社員について、実際のプロジェクトを通して仕事を学ぶOJTもあります。この2つをセットに、スキルを身に付け成長してほしいと考えています。
最初は先輩の指示に従って仕事を進めていきますが、自分が任された範囲において責任を持って取り組んでいくことが何より大切です。
プロジェクトにはさまざまな専門家が必要です。PM以外にも、ITアーキテクト、ITスペシャリスト、業務スペシャリスト、ITサービスマネージャ、コンサルタントなど、異なる専門分野を持つ社員が力を合わせ、お客さまのために最適なシステムを構築することを目指しています。
NTTデータは、社員の能力を最大の財産と考えています。「プロフェッショナルCDP」という制度を導入し、社員自らが能動的にプロフェッショナルとしてのスキルを高める仕組みを作っています(下図を参照)。
自分で専門分野を決めてその分野でのスキルの向上を図ります。専門分野に関しては社内認定制度があります。認定は試験を受けるのではなく、実際の仕事をどのように行ってきたのかを証跡で説明し、上位資格レベルに相当する仕事ができていると判断されると認定されます。上位資格の認定を受けた人にはその能力を生かしてもらうために配置の変更が行われます。新しい環境でさらに上位資格を目指してほしいと考えています。
また、上位資格者のノウハウを知る機会を設けており、自分の目指す方向性を明確にし、さらなる研鑽(けんさん)に励むきっかけとして利用してほしいと思います。
複数の専門分野を持つことも可能で、途中で変更することもできます。例えば、システム開発を経験した後に、営業やビジネスデベロッパとして活躍する社員もいます。
ITシステムは、皆さんが意識せずに使用している社会インフラです。今日、ITシステムが存在しない生活というものは考えられない状況です。
SIベンダに内定している人、SIベンダを志望する人には、システムへの関心は当然として、お客さまとともにビジネスをつくり上げるという思いを持ってほしいと考えています。SIに関する知識を深めることは大切ですが、お客さまの業界や事業に関する知識を習得することも必要です。
読者の中には、システム開発に関して学校で学んでいる方が多くいると思いますが、現在の自分の専門分野に閉じず、情報を幅広く収集し、知的好奇心を持つことを心掛けてください。
NTTデータ 人事部 採用担当
福田昭弘(ふくだ あきひろ)
大学卒業後、NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。SEとして10年ほど法人分野のシステム開発に取り組む。数多くのお客さまにシステムを提供する中で、業務の改善を企画・提案することに興味を持ち、2005年に法人分野の営業担当となる。2008年10月に人事部に異動し、現在に至る。
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