この連載では、オープンソースの運用監視ソフトウェア「ZABBIX」ではどんなことができるのかを、実際の使い方とともに紹介していきます(編集部)
前回「あなたの運用管理が十分にうまくいかないワケ」ではシステム監視の必要性とソフトウェアの選定を行いました。今回は、CentOS 5.3の環境で、ZABBIX 1.6.5をソースコードからビルドしてインストールする方法を解説します。yumコマンドからインストールすることも可能ですが、今回はあえてソースコードからのインストールについて説明します。ここでは、RDBMSとしてMySQLを使用し、ZABBIXサーバおよびZABBIXエージェントのすべての機能を有効にしてインストールを行います。
ZABBIXサーバのインストールを行う前に、作業に必要となるアプリケーションをインストールする必要があります。まずその手順と設定を解説します。
ZABBIXの監視記録を保管するMySQLサーバとMySQL用開発パッケージをインストールします。rootユーザーでログインして次のコマンドを実行します。
# export LANG=C # yum install -y mysql-server mysql-devel
MySQLデータベースサーバの設定ファイルである/etc/my.cnfを以下のように修正します。
[mysqld] datadir=/var/lib/mysql socket=/var/lib/mysql/mysql.sock user=mysql # Default to using old password format for compatibility with mysql 3.x # clients (those using the mysqlclient10 compatibility package). old_passwords=1 default-character-set=utf8 ← この行を追加 skip-character-set-client-handshake ← この行を追加 [mysqld_safe] log-error=/var/log/mysqld.log pid-file=/var/run/mysqld/mysqld.pid
MySQLデータベースサーバを起動します。
# service mysqld start
MySQLデータベースにログインします。
# mysql -uroot
ZABBIX用のデータベースを作成します。
mysql> create database zabbix;
接続ユーザー「zabbix」を作成し、パスワードを設定します。下記の場合、接続ユーザーzabbixは、zabbixデータベースに対してすべての権限を有するように設定しています。
mysql> grant all privileges on zabbix.* to zabbix@localhost identified by 'zabbixpassword'; mysql> flush privileges;
MySQLデータベースからログアウトします。
mysql> exit
OS起動時に自動的にMySQLデータベースサーバが起動するように設定します。
# chkconfig mysqld on
ZABBIXサーバのWebインターフェイスを利用できるようにするために、ApacheとPHPをインストールします。
# yum install -y httpd php php-gd php-bcmath php-mysql php-mbstring
ソースコードをコンパイルしてビルドするために必要な、Cコンパイラなどの開発ツールをインストールします。yumのgroupinstallコマンドで「Development Tools」グループをインストールすると、必要な開発ツールを一括してインストールできます。
# yum groupinstall -y "Development Tools"
ZABBIXサーバが有している監視機能をすべて利用するためには、以下のソフトウェアやライブラリが必要です。
ライブラリ名 | 説明 |
---|---|
fping | pingによる死活監視を利用する場合に必要なソフトウェア |
iksemelライブラリ | Jabberによる障害通知を行うために必要なライブラリ |
curlライブラリ | Web監視を行うために必要なライブラリ |
LDAPライブラリ | LDAP監視を行うために必要なライブラリ |
OpenIPMIライブラリ | IPMI監視を行うために必要なライブラリ |
netsnmpライブラリまたはucdsnmpライブラリ | SNMP監視を行うために必要となるライブラリ |
unixodbcライブラリまたはiodbcライブラリ | ODBCによるデータベース監視を行うために必要となるライブラリ |
fpingとiksemelライブラリに関しては、日本のZABBIXコミュニティである「ZABBIX-JP」でパッケージが公開されています。そこで、ZABBIX-JPのリポジトリをyumコマンドで利用できるように設定ファイルをインストールします。
# rpm -Uvh http://www.zabbix.jp/rpms/rhel5/i386/zabbix-jp-release-5-1.noarch.rpm
次に、yumコマンドで必要なパッケージをインストールします。
# yum install -y fping iksemel iksemel-devel curl curl-devel openldap openldap-devel OpenIPMI OpenIPMI-devel net-snmp net-snmp-devel unixODBC unixODBC-devel
以上で、ZABBIXをビルドするための環境が整いました。
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