b、e
正解は選択肢b、eです。EIGRPがメトリックとして使用するのは、デフォルトで帯域幅と遅延ですので選択肢bが正解です。EIGRPは定期的なアップデートは行いません。トポロジに変更があった時に、差分アップデートを行います。
EIGRPは3種類のテーブルを保持します。
●ネイバーテーブル
●トポロジテーブル
●ルーティングテーブル
それでは、特徴を1つずつ解説していきます。
ネイバーテーブルには、ルータと隣接関係を持ち直接接続されたルータが登録されます。隣接関係を持つルータをネイバールータといいます。
このテーブルには、最適な経路であるサクセサ、2番目に最適な経路であるフィージブルサクセサ、そのほかあて先ネットワークまでのすべての経路が登録されます。
トポロジテーブルには、フィージブルディスタンスとアドバタイズドディスタンスという項目が含まれます。フィージブルディスタンスは、EIGRPのメトリックに相当し、そのルータからあて先ネットワークまでのメトリックの合計です。アドバタイズドディスタンスとは、ネイバールータからあて先ネットワークまでのメトリックです。
図2の各ルータ間のリンク上にある青字の数字(1000や1500など)がメトリックです。図2では、ルータCを基準にしています。
ルータCを起点にし、あて先ネットワークを10.1.1.0/24とします。ルータAを経由する経路だけに注目してください。あて先ネットワーク10.1.1.0/24までのフィージブルディスタンスは、ルータCからルータA間のメトリック1000と、ルータAからあて先ネットワークまでのメトリック1000を加算しますので、2000となります。
アドバタイズドディスタンスは、ルータCのネイバーである、ルータAからあて先ネットワークまでのメトリックなので1000です。
それでは、図2でサクセサはルータA経由、ルータB経由、どちらの経路になるでしょうか。サクセサは、あて先ネットワークまでのフィージブルディスタンス(メトリックの合計)が最小の経路ですので、ルータAを経由する経路がサクセサになります。
では、フィージブルサクセサはどうでしょうか。図2で、2番目にフィージブルディスタンス(メトリックの合計)が最小の経路は、ルータBを経由する経路です。よってルータBを経由する経路が、フィージブルサクセサとなります。
ただし、ここで注意が必要です。フィージブルサクセサとして選出されるには、サクセサのフィージブルディスタンスが、ほかの経路のアドバタイズドディスタンスよりも大きくなければなりません。
上記の式を満たすことができないと、その経路はフィージブルサクセサとなりません。図2の場合は、
になり、式を満たすことができます。もし、ほかの経路のアドバタイズドディスタンスが2500などで、“サクセサのフィージブルディスタンス 2000”を超過する場合には、その経路はフィージブルサクセサとなりません。
●ルーティングテーブル
このテーブルには、最適な経路であるサクセサが登録されます。もしサクセサがダウンした場合は、トポロジテーブルの中のフィージブルサクセサがルーティングテーブルに格納されます。あらかじめフィージブルサクセサを用意しておくことにより、コンバージェンスを高速にしています。ただし、トポロジによってはフィージブルサクセサが存在しない場合もあります。
EIGRPが保持するテーブルのうち、サクセサやフィージブルサクセサが含まれるテーブルはどれですか。1つ選択してください。
a.ルーティングテーブル
b.DUALテーブル
c.トポロジテーブル
d.ネイバーテーブル
c
正解は選択肢cのトポロジテーブルです。トポロジテーブルには、サクセサ、フィージブルサクセサを含む、あて先ネットワークまでのすべての経路が含まれます。
ルータにEIGRPを設定する手順は以下のとおりです。
(1)AS番号を指定し、EIGRPプロセスを起動する
(2)EIGRPを設定するインターフェイスを指定する
図3において、ルータA、B、Cで経路情報の交換をするため、AS番号100でEIGRPの設定をする場合を考えてみましょう。以下はルータBでの設定例です。
まず、EIGRPプロセスを起動するコマンドは以下のとおりです。
RouterB(config)#router eigrp 100
EIGRPのプロセスを起動する際には、AS番号を指定します。AS番号は1から65535までの数字を指定でき、経路情報を交換したいルータ間では、AS番号を統一する必要があります。ここではAS番号は100とします。
router eigrp 100コマンドを入力すると、モードはルータコンフィグレーションモードになります。
次にnetworkコマンドを使用し、EIGRPを設定するインターフェイスを指定します。networkコマンドの引数には、そのルータに直接接続されているネットワークをクラスフルな形式で指定します。ルータBのFa0/0側には172.31.2.0/24、Fa0/1側には172.31.3.0/24ネットワークが接続されています。クラスフルな形式で指定しますので、networkコマンドの引数は172.31.0.0とします。
RouterB(config-router)#network 172.31.0.0
上記の設定を行ったルータAのルーティングテーブルは以下のようになります。EIGRPで学習した172.31.1.0/24や172.31.4.0/24は、先頭にDが付いて表示されます。DはDUALの頭文字です。
RouterA#show ip route 〜一部省略〜 Gateway of last resort is not set 172.31.0.0/24 is subnetted, 4 subnets C 172.31.3.0 is directly connected, FastEthernet0/1 C 172.31.2.0 is directly connected, FastEthernet0/0 D 172.31.1.0 [90/156160] via 172.31.2.1, 00:00:52, FastEthernet0/0 D 172.31.4.0 [90/156160] via 172.31.3.2, 00:00:37, FastEthernet0/1
図3のルータBにおいて、EIGRPプロセスを設定するコマンドはどれですか。必要なコマンドを1つ選択してください。
a.RouterB(config-router)#router eigrp 100
b.RouterB(config-router)#router eigrp 0
c.RouterB(config)#router eigrp 100
d.RouterB(config)#router eigrp
c
正解は選択肢cです。EIGRPプロセスを起動するには、グローバルコンフィグレーションモードからrouter eigrp {AS番号}と入力します。
内藤佳弥子(ないとうかやこ)
グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部に在籍。IT業界でヘルプデスク、ユーザーサポートを経てトレーナーになる。現在は、Cisco認定トレーナーとして、CCNA、CCNPのコースなどのCisco認定トレーニングコース、ネットワーク系オリジナルコースを担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら。
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