vSphere 4.1の新機能「Network I/O Control」は、先述のような柔軟なネットワークの資源管理を実現するメカニズムである。Network I/O ControlはvSphere 4.1 Enterprise Plusエディションで提供される機能である。また、本機能は分散仮想スイッチ上でのみ提供される機能であり、標準仮想スイッチ上では利用できない。
Network I/O Controlではネットワークトラフィックを以下の6種類のクラスに分けて取り扱うことができる。
(1) FT Traffic
(2) iSCSI Traffic
(3) vMotion Traffic
(4) Management Traffic
(5) NFS Traffic
(6) Virtual Machine Traffic
ユーザーは上記のそれぞれのクラスに対して「リミット」ならびに「シェア」という値を設定することが可能になる。「リミット」はそのクラスのトラフィックが利用可能な上限値を設定するもので、Mbpsで設定する。「シェア」は「資源の取り合いになったときにバランスさせる値」で、1〜100の整数値を設定する。
Network I/O Controlはデフォルトでは無効化されている。分散仮想スイッチの「リソース割り当て」タブより「プロパティ」を選択し、チェックボックスを有効化する。システムの再起動などは必要ない。
デフォルトでは、リミット値は未設定、シェア値については仮想マシンのトラフィックは100、それ以外は50が設定されている。各トラフィックの右クリックメニューより設定画面を起動し、設定変更を行うことができる。以下の例ではiSCSI Trafficのシェア値を70に変更している。
リミット値、シェア値ともに、設定内容は即座に反映され、動的にトラフィック制御が行われる。
ここでは、Network I/O Controlがどのようにしてトラフィック制御を行っているのかを解説する。
まず、Network I/O Controlは「ESXから送出されるトラフィックに対してのみ適用される機構である」ということを認識しておく必要がある。従ってESXが受信するトラフィックについては制御対象ではない。あくまでも送出トラフィックの制御機構であるということに注意する。
また、「シェア値の計算は最終的に各ESXホスト単位で行われる」という点にも注意する。分散仮想スイッチを構成する場合は、通常各ESXに構成するアップリンクの数や物理アダプタの帯域などは共通にするが、そうでない場合は注意が必要である。1GbpsのNICのみで構成されるホストと10GbpsのNICを保有するホストが混在しているような場合は、シェアの計算の結果として保証される帯域が、ホストによって異なってしまうことになる。
「リミット」と「シェア」の設定は同時に有効化することができる。シェアの計算の結果獲得できる帯域がリミットで制限されている値よりも大きくなるような場合は、リミットの値が適用される。
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