転居のお知らせ、「仮想サーバへ引っ越しました」セキュリティ、そろそろ本音で語らないか(17)(1/3 ページ)

金曜日の夜に発生した障害を機に、これまで使ってきたホスティングサービスからVPSに乗り換えることに。その経緯から得られた教訓とは……?(編集部)

» 2010年11月01日 10時00分 公開

異変は金曜の夜にやってきた

 異変に気付いたのは金曜日の夜でした。

 当社で運用しているあるサーバは、ホスティングサービスを利用しています。サービス内容は、独自ドメインとWebサーバ、メールサーバです。ディスク容量には一定の制限(数GB)があり、月額980円です。大手プロバイダの提供するサービスなので、安心して利用していました。

 しかし、どうもそのドメインあてのメールが届いていないことに気付きました。困ったことに、そこで提供されているメールサーバからメールも送信できません。慌てて管理画面にブラウザからログインしたところ、容量オーバーが原因であることが分かりました。受信したメールをPOPで読み出していたのですが、サーバのメールを消去する設定にしていなかったために、いつの間にか容量オーバーしてしまったのです。

 通常、容量オーバーでメールを受け取れない場合には、受信エラーを知らせるメールが送信者に返ってくるものですが、今回はそのエラーが返りませんでした。いわゆる「吸い込み」です。受信されることもなく、エラーも返らず「消えて」いったのです。

 お客さまも利用されているドメインでしたので慌てました。管理画面からはメールの削除やWebコンテンツの削除ができないようになっています。

 通常のメールサーバであれば、POPで過去のメールを削除するような設定にして読み出せば、サーバに保存されているメールを削除でき、ディスク容量に余裕を持たせることができます。私もそう考えて過去のメールを読み出しましたが、なぜか空きディスクの容量が確保できません。ならばとPOPサーバにコマンドラインでログインして手動でメールの削除を試みました。その結果分かったことは、ログオフする際にメールが削除されるはずが失敗していたのです。

 通常のメールクライアントはメールの削除のコマンドを送るだけで、そのコマンドが最終的に成功したか失敗したかはチェックしません。つまり、メールボックスの容量がオーバーしたために、ドメイン全体のメールが機能しなくなっていたのです。

 そこで、管理画面にメールの転送設定があることを思い出しました。受け取れないなら、せめて転送くらいできないかと考えたのです。しかし、それもダメでした。転送設定も「受け付けられません」というメッセージが表示されるだけです。

まさか「平日昼間だけのサポート」じゃないよね……?

 これはもう手動ではダメだと思い、サポートセンターに、一刻も早くPOPによる削除を許可してくれるようにメールで依頼しました。金曜日の深夜でしたが、何らかのレスポンスがあるものと期待しました。というか期待するしかなかったのです。

 思い余って、Webのコンテンツを一部消そうともしました。ディスク容量のオーバーはメールおよびWebコンテンツの合計なので、Webコンテンツの削除をしても解決できるはずです。早速FTPしましたが、ログインが拒否されました。これはもう本当になすすべがない、という状態です。

 ジタバタしているうちに明け方になってきたので、サポートセンターからの返事を期待して浅い眠りにつきました。土曜日のお昼前に目覚めてメールをチェックしましたが、返事はありません。電話の問い合わせ窓口も探しましたが見当たりません。代表番号が記されているだけで、そこにかけても「平日の営業時間に掛け直すように」という録音メッセージが流れるだけです。

 いよいよ途方にくれて、いまさら約款を読み直しましたが、メールでの問い合わせ窓口が記載されているだけで、受付時間は24時間とあります。受付が24時間なら、メールが完全にストップするような緊急事態なら何らかの対応はあるだろう、と期待していました。何せ有名な大手のプロバイダですから、まさか、平日昼間だけのサポートじゃないだろう、と思っていました。

 ところがメールの返事は来ません。悶々と週末を過ごし、日曜日の夕方くらいになってやっと「ひょっとして平日の昼間にしかメールを返していないのではないか」と思い始めました。受付時間が24時間というのは、単純にメールを受信しているだけなのでは、と。

Index

転居のお知らせ、「仮想サーバへ引っ越しました」

Page1
異変は金曜の夜にやってきた
まさか「平日昼間だけのサポート」じゃないよね……?

Page2
そして「引っ越し」を決意
ホスティングサービスには使い込んでいくと不満も

Page3
ハードウェア障害からの解放
引っ越し前には「お試し」も重要


インデックス

「セキュリティ、そろそろ本音で語らないか」連載目次

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