ネットワーク・トラブルの原因を見つけるため、どんなデバイスがネットワークにつながっているのか調べたいことがある。そんな場合に役立つのがネットワークをスキャンするツールだ。特定のIPアドレスの範囲(サブネットなど)に対して、pingを送信したりや代表的な通信ポートをチェックして、デバイスが存在するかどうかを探る。
こうしたネットワーク・スキャン・ツールはiPod touch/iPhone用にも開発・販売されており、App Storeから入手できる。
ベンダまたは開発者 | 製品名(リンク先はAppStoreのページ) | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|
BananaGlue GmbH | iNet - Network scanner | 115円 | iNet Proのいわば廉価版で、ネットワーク・スキャンのほか限定的なポート・スキャンが可能 |
BananaGlue GmbH | iNet Pro - Network scanner | 700円 *1 | iNetに比べて、Pingや広範囲のポート・スキャン、Wake On LANなどの機能が追加された統合型ツール |
Paully A. Ahafonau | Scany | 700円 | ネットワーク・スキャンのほか、ポート・スキャンやping、traceroute、Wake On LANなどが可能な統合型ツール |
Nutec Network Tools | LANScan | 600円 | ポート・スキャンやWake On LANも可能なツール |
Blueswine | SubnetInsight - Wi-Fiネットワークスキャナ/マネージャー(iPhone用) | 450円 | 本表で唯一、日本語で表示されるツール。ポート・スキャンやWake On LANも可能 |
ネットワーク・スキャンが可能なツールの例 これまで紹介してきたpingやtracerouteのツールに比べ、やや高価でかつ多機能・高機能な製品が多い。 *1 iNetを購入済みの場合、+450円でiNet Proへのアップグレード可能とのこと。 |
ここでは最も安価な「iNet - Network scanner」(以後iNet)を紹介する。上位版の「iNet Pro」と比べ、PingやWake On LANといった追加機能はなく、またスキャン結果をメールで送信できない(アプリ内に保存することは可能)、NetBIOS名(コンピュータ名)の検出ができないといった制限がある。こうした機能が必要なら、iNet Proなど上表にある別の製品を検討した方がよい。
iNetを初めて起動すると、Wi-Fiで接続中のサブネットに対して自動的にネットワーク・スキャンが実行される。完了すると、検出されたネットワーク機器が表示される。
前述の5種類のネットワーク・スキャン・ツールは、いずれもポート・スキャン機能も備えている。iNetの場合、いくつかの標準的なポートをスキャンできる(NetBIOS/SMB、リモート・デスクトップ接続、telnet、IMAP、SMTP、DNSクエリ、Kerberosなど。POP3は非対応)。iNetでポート・スキャンを実行するには、ネットワーク・スキャン後に対象のネットワーク機器をタップして詳細画面を開き、「Scan for open ports」をタップする。数秒程度で開放されているポート、すなわちネットワークにサービスを提供しているポートが表示される。
iNet Proの場合、標準的なポートに加えてWell Known Ports(1〜1023)やPrivate Ports(49152〜65535)を選んでスキャンできるほか、手動でポートの範囲を指定することも可能だ。
iNet/iNet Proは同時に複数台のマシンに対して自動的にポート・スキャンを実行できないが、前述したほかのネットワーク・スキャン・ツールではネットワークをスキャンしながら、見つかったネットワーク機器に対して同時にポート・スキャンができるものもある。用途に応じて選んでいただきたい(ただし、複数の機器に対して同時にポート・スキャンを行うと、無線LANの帯域がスキャンによって占有されて通信ができなくなることもあるので注意する必要がある)。
Windows OSでもよく利用するネットワーク監視機能のうち、基本的なものはiPod touch/iPhoneでも、そう難しくなく実現できる。その一方で、例えばパケット・キャプチャ(スニファ)は実現が難しいようで、App Storeでは対応ツールを発見できなかった。また無線LANがないと監視ができない、情報量が増えると小さな画面では把握が難しくなる、といった根源的な欠点もある。何かネットワークにトラブルがあれば、まずはiPod touch/iPhoneで調査し、さらに詳細を探る必要があればPCに移行する、といった使い分けがよさそうだ。
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