Internet Explorer(IE)の次期バージョン。Windowsの次期バージョン「Windows 8」ではInternet Explorer 10(以下IE 10)が標準搭載される。
これまでWindows 7上で動作する内部機能と表示機能、最低限のメニューで構成された開発途中バージョン「Platform Preview 1」「Platform Preview 2」が提供されてきた。2011年9月14日(日本時間)には「Platform Preview 2」の提供を終了し、Windows 8の開発途中バージョン「Windows Developer Preview」にその役割を統合、「IE 10 Developer Preview」の提供を開始した。
IE 10 Developer Previewでは、これまで提供されてきたPlatform Previewに対し、IE 9と同様のメニューが追加されるなど、より製品版に近いものとなっている。ただしWindows 8のWindowsエクスプローラなどは、リボンUIを採用するなど、メニュー構成に大きな変更を受けている。これに対し、IE 10 Developer Previewは、IE 9と同様のUIであり、今後、大きく変更される可能性もある。Microsoftは、「8〜12週ごとにPlatform Previewを更新する」としており、そのほかの機能についても追加や性能の向上が行われる可能性がありそうだ。
IE 10 Developer PreviewはWindows Developer Previewに内蔵(統合)されてしまったため、機能や動作を確認するためにはWindows Developer Previewのインストールが必要となり、試すためのハードルが高くなってしまっている。Platform PreviewではWindows 7上で、IE 8やIE 9と並存して動作確認が可能であっただけに残念なところ。なおMicrosoftによれば、Windows 7向けのIE 10のプレリリース版は将来提供する予定があるということだ。
気になるIE 10に正式リリース時期だが、Windows 8に標準搭載されることから、Windows 8がリリースされる2012年中になりそうだ。なお対応OSは、Windows 7以降で、Windows XP/Vista向けには提供されない。
IE 10は、IE 9に対してCSS3への対応が強化されており、「CSS3 Grid」や「CSS3 Multi-Column」「Flexible Box」などを新たにサポートしている。またHTML5の描画性能も改善されているということだ。ただし、CSS3、HTML5の仕様自体が現時点では確定に向けた作業中であり、仕様変更や追加などが行われている。そのためIE 10(に限らずFirefoxやChrome、Safariなど)においても、プレビュー版がリリースされるたびに追加や変更などが行われている。
IE 10の対応状況は以下のページを参照するとよい。IE 10で新たに追加されるHTML5、CCS3の主な機能(IE 10 Developer Preview時点)を下表に簡単にまとめた。上述のようにHTML5、CSS3の仕様が確定していないため、正式リリースのIE 10では機能が削られる可能性があることにも注意していただきたい。
機能名 | 説明 | |
---|---|---|
■視覚効果 | ||
CSS Text Shadow | テキストに影を付ける機能 | |
CSS 3D Transforms | 立体的な表現を行う機能 | |
CSS3 Transitions | プロパティの変更をアニメーション化して変える機能 | |
CSS3 Animations | アニメーション機能 | |
CSS3 Gradient | 背景画像の代わりにグラデーションの色を指定する機能 | |
SVG Filter Effects | SVG(Scalable Vector Graphics:XMLで記述されたベクター画像)のフィルター効果 | |
■ページ・レイアウト機能 | ||
CSS3 grid | 格子状にレイアウト可能にする機能 | |
CSS3 flexbox | レイアウトの記述をシンプルにするために追加された機能 | |
CSS3 multi-column | 複数カラムのテーブル・レイアウトを簡単に記述するための機能 | |
CSS3 figures | 図表であることを示す際す要素 | |
CSS3 regions | テキスト領域で自由なレイアウトを実現可能にする機能 | |
CSS3 hyphenation | 単語途中での改行方法を指定できる機能 | |
HTML5 Forms | 入力フォーム機能 | |
HTML5 validation | 郵便番号、メール・アドレス、数値の範囲指定などのバリデーション機能 | |
■Webプログラム・モデルの拡張機能 | ||
IndexedDB | 内蔵データベース機能 | |
HTML5 Application Cache | オフラインでWebアプリケーションを実行可能とする機能 | |
Web Sockets | Webアプリケーション向けの双方向通信機能 | |
HTML5 History | JavaScriptからWebブラウザの履歴情報やロケーション表示を操作するためのAPI | |
HTML5 Async scripts | JavaScriptなどのスクリプト・ファイルを非同期に読み込む機能 | |
HTML5 File APIs | Webページの中からローカル・ディスク上のファイルを読み込めるようにする機能 | |
HTML5 Drag-drop | HTMLオブジェクトのドラッグ&ドロップや、デスクトップからドラッグ&ドロップで渡されたファイルを読み込む機能 | |
HTML5 Sandboxing | iframeで別のページを埋め込んだときに、Cookieの盗難や不用意なポップアップなどをブロックする機能 | |
Web workers | バックグラウンドでスクリプトを実行できる機能 | |
IE 10で新たにサポートする予定のHTML5、CSS3の機能 |
「用語解説」
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.