VMware vSphere 5で構成可能な仮想マシンの仕様もアップデートされた。
単一仮想マシン内に構成可能な仮想CPUコア数を最大32まで構成できるようになった。また構成時のユーザーインターフェイスが改善され、仮想CPUソケットの設定も構成ウィザードの中で行うことができるようになった。例えば、4コアの仮想CPUを8ソケットという形式で構成することもできるし、1コアの仮想CPUを32個作成するような操作もGUIから行うことができるようになった(以前のバージョンでは構成ファイルを管理者が編集する必要があった)。
また仮想CPU数の拡大に伴い、ホストマシン側のNUMAトポロジーをゲストOSにも認識させる技術が実装された。以前よりVMkernelはNUMA Kernelの実装を保有していたが、構成される仮想マシンは対称的なマルチプロセッサシステムであったため、ゲストOS側でNUMAアーキテクチャを意識したふるまいを行うことは不可能であった。vSphere 5では仮想マシンがNUMAトポロジーを構成するようになったため、ゲストOSはその情報を参照して動作することが可能になった。デフォルトでは、仮想CPUコア数が9以上の仮想マシンをパワーオンするときに、該当仮想マシン上で仮想NUMAの機能が有効化される。8個以下で構成された仮想マシンは従来と同様にUMAアーキテクチャの仮想マシンとして動作する。
仮想NUMA機能は、大規模な仮想マシンのスケーラビリティを向上させる上で大変有効であるが、vMotionを行う場合は注意が必要である。仮想NUMAトポロジーは該当仮想マシンのパワーオン中に変更されることはないため、vMotionにより異なるNUMAトポロジーを持つハードウェア上に移行した場合、必ずしも最適な性能を得られるとは限らない。このため、仮想CPUコア数を9以上の仮想マシンを構成し、かつvMotionを利用する場合は、移行元ホストと移行先ホストのNUMAトポロジーが同一であることが、性能的な観点からは望ましいということになる。
単一仮想マシン上に構成可能なメモリサイズの最大値が1TBに拡大された。
構成される仮想グラフィクスアダプタが3Dグラフィクスに対応するものになった。これにより、Windows Aeroなどの3Dグラフィクス機能を要求するアプリケーションを仮想マシン上で実行することが可能になった。なお、本機能はソフトウェアにより実装されているため、ホストの物理ハードウェア側が3Dグラフィクス機能を保有していたとしてもそれを活用しているわけではない。
最近のx86システムにはUEFI (Unified Extended Firmware Interface)と呼ばれるファームウェアの動作モードをサポートする製品がある。UEFIは従来型BIOSの後継にあたる規格であり、一部のOSはUEFIからの起動をサポート(もしくは必須と)している。
VMwareの仮想マシンでは、これまでは従来型のBIOSを仮想的に実装していたが、vSphere 5ではこれに加えて仮想UEFIをサポートする。従来型BIOSとUEFIとの動作モードの切り替えは仮想マシンのプロパティより行うことができる。
仮想マシンからUSBデバイスを利用する機能として、vSphere 4.1よりUSBパススルーという機能を提供していた。vSphere 4.1のUSBパススルーではESXホストに装着されたUSBデバイスを仮想マシンから利用することが可能であった。vSphere 5ではこれに加え、vSphere Client、もしくは後述のvSphere Web Clientを動作させているマシンに接続されているUSBデバイスを、仮想マシンに接続して利用することも可能になった。
なお、この機能の延長としてUSBスマートカードリーダーを仮想マシンに接続する機能もサポートされている。一般のUSBデバイスを仮想マシンに接続する機能との違いは、USBスマートカードリーダーに関しては1対多の接続が可能になっている点である。これにより、物理的には1台のUSBスマートカードリーダーを複数の仮想マシンに接続し、共有する形で利用可能になっている。
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